温低の将棋でしょうか?

明鏡漏水。温帯低気圧ちゃんのとんちんかんブログです。小説書いてます。

証の代償(51)

2008-09-30 21:36:28 | Weblog
第五十一話 春遠し?

 ♪トゥルルンルン~
 「着たっ!」
 瞬の携帯が、瞬にメールが着信したことを知らせた。メールの差出人は真美に違いない。瞬のところにくるメールといえば、たまに千葉の実家からか、未来との連絡用か、登録している無料着メロサイトからだけであり、全くメールの来ない日もよくあるくらいだから、このタイミングでメールが着たということは、真美から以外には考え難かったのだ。
 瞬はドキドキと高鳴る胸を堪えながら、携帯電話を開いた。瞬の手がブルブルと震えているのが、誰の目から見ても明白だ。もっともそこには瞬以外の人間はいないのだが。
 『瞬君こんにちは! 突然のメールで驚きました。瞬君はあたしと気が合うと言いますが、あたしはまだ瞬君のことをよく知らないし、気が合うかどうかは軽々には判断出来ません。でも、瞬君は未来のいとこだし、あたしが遊びに行った時に、仲良くなれそうだねと言った覚えがあるので、友達になったら楽しいかも知れません。でも、未来に内緒で会うのはどうしてかな? それと、変なことはしませんってどういう意味ですか? そんなの当たり前じゃないですか? 変なことって…。とりあえず、メル友になりましょう! お互いを知ることから始めないとね!』
 瞬は真美からの、真面目過ぎる返信を読んで、自分が恥ずかしくなった。そして引いた。なにしろ瞬は、セックスの相手を獲得する目的で真美にメールを出したのだから。
 瞬はそのあと、真美にメールの返信を出さなかった。というか、出せなかった。自分と真美の意識のあまりのギャップの大きさに興醒めしてしてしまったからだ。

 そして、数日が過ぎたある日、未来が瞬に話があると言ってきた。
 「瞬、あんた真美にメール出したでしょ?」
 ギクッとする瞬。
 「だ、出したけど」
 「真美から返事がきたよね?」
 「着たよ」
 「それで?」
 「それでって、それだけだけど…」
 未来はため息をつきながら、やや口調を荒げて言った。
 「それだけ。じゃないでしょ! 真美ね、ちゃんと返事を出したのに、その後、瞬から何の連絡もないって気にしてたよ! あたしの出した返信の内容が気にいらなかったのかなって、すっごく気にやんでたんだから!」
 瞬はちょっと困ったような顔をした。
 「別に気に入らないとかそんなんじゃないけど、なんとなくそのままにしてるうちに時間が経っちゃって、ウヤムヤになったって言うか…なんちゅうか、本中華」
 未来はかなり声を荒げた。
 「あんたには女の子のデリカシーがわかんないのかな!? 突然、仲良しになってって言われて、それから放ったらかしにされてる真美の気持ちを考えてもみなよ! ちゃんと真美に返事を出しな! 謝るのも忘れないようにしてね! それがあんたの責任だよ!」
 瞬は、どういう理由で自分が真美にメールを出したのかを全く知る由もない未来の目を、冷めた目で見た。
 しかし瞬は、未来に言われた通りに、真美にメールの返事を出した。勿論、詫びの言葉も添えてだ。

 真美からのリアクションはすぐにあった。『良いお友達になりましょう! 瞬君はテニスはしないの? 今度、一緒にしようね!』

 外は久しぶりに雨が降っている。瞬の部屋の窓から見える紫陽花の葉の上をカタツムリが這っている。
 瞬は窓枠に肘をつき、そのカタツムリを見ながら虚ろな目で考えていた。
 「あーあ、早くセックスしたいな…」
 瞬は、真美と仲良くなれば、直ぐにでもセックスが出来るものだと決めつけていた。しかし、何通かのメールのやり取りからして、それはあまりに無謀な願いであることが判明してきた。
 思春期の男女の意識のギャップを思い知らせた瞬。と、思いきや、瞬の春は意外と早くやって来るのであった。

日記080929

2008-09-29 22:08:31 | Weblog
駒音掲示板につながりません。例のアダルト云々のエラーが出ます。

また精神状態が安定しません。こういう時はお馬鹿なテレビを見て気を紛らわせます。今はヘキサゴンのDVDを見ています。つるの剛士は相変わらず面白いです。

超短編 『愛の終わる時』

2008-09-28 22:33:25 | Weblog
 信次には憧れの女性がいた。会社の同僚の松下奈津子 23歳だ。
 信次は彼女を心の底から愛し、彼女に沢山の贈り物をし、彼女のためなら死ねるとまで思った。
 しかし…。
 彼女は交通事故で半身不随になってしまった。
 信次は、車イスに乗せられて移動する奈津子を見て思った。
 「あ、好きじゃない…」

【あとがき】
愛するなんて、そう簡単に出来るものじゃないという作品です。他意はありません。

日記080928

2008-09-28 22:06:13 | Weblog
【つぶら】

私は44歳の今まで、『つぶらな目』という言葉の、『つぶら』の意味を知らなかった。

たぶん、『小さな』みたいな事だろうなと思っていたのだが、辞典をひいてみたらこう書いてあった。

『まるくて、ふっくらしているようす』

へっ! また間違ってたぜ!

以前、『些か』(いささか)を、『とても』の意味だと思っていたのと同じパターンだ。

いいですか、皆さん! 温帯ちゃんの国語能力はこの程度です!!

新・夫婦の会話80

2008-09-28 21:39:07 | Weblog
女児妻は、自宅に帰るにあたって策を練った。これまで二度無人島から生還した女児妻だが、二度ともすぐに舞い戻る羽目になったからだ。

♪もう島や海には、帰りたくない~!

女児妻は尾崎豊のように、被害者意識のかたまりになっていた。

女児妻 「夫か母妻の弱味を攻めるのが成功への近道だね。夫の弱味は今までに二度、人を殺している事だ。一度目はあたし、二度目は児童妻。それをちらつかせて脅してやる! 母妻の弱味は便秘だね。それと、セコくて意地汚いから、そこの所を突いてやれ! こいつは面白い事になりそうだぜ。イッヒッヒ!」

女児妻は自分のたてた計画に酔いしれた。そして、ムフムフと笑いながら歩き出したら歩道の段差に足を取られて転んでしまった。

女児妻は頭をしこたま強打した。

女児妻 「はっ、ここは何処? あたしは誰? いや~ん!」

女児妻は記憶喪失になってしまった。

新・夫婦の会話79

2008-09-26 21:20:35 | Weblog
崖の下の女児妻。♪女児、女児、女児、誰かの子~。女児妻はもはや崖下になっていた。

地質学者 「ふーむ、この辺りの地層は地球上に生命が誕生した時代の痕跡を探るのに最適だな」

地質学者が島を訪れ、島の地質を研究していた。

地質学者は辺りを調査するうちに、女児妻が崖下になった場所にやって来た。

地質学者 「おや? この地面の模様は一体なんだろう!? よく見るとまるで人間の子供を型どったような形をしているではないか!」

普通の人なら見過ごす程に、崖下化した女児妻ではあったが、さすがは地質学者だけの事はある。それがただの崖下の地面でない事を見抜いてしまった。

地質学者 「よし、これを私の研究室に持ち帰って詳しく調べてみよう!」

地質学者は、崖下から、女児妻の体分くらいの地面を採取して、大学の研究室に運んだ。

助手 「先生、これは何ですか!?」

地質学者 「うむ、人間の子供の形に酷似しておる。しかもこれには根が張っていて、どうやら生命体であるらしい」

助手 「もしかして、人類の発生と深い係わりがあるのでは…?」

地質学者 「それは私が先に言おうと思っていたセリフだ。ちょっと配慮が足りぬぞ、助手!」

助手 「すみません」

地質学者と助手は、持ち帰った地面に、お湯をかけたり、音楽を聴かせたり、パンダの可愛らしい映像を見せたりした。すると地面は、表面の角質が流れ落ち、少しずつ動き出した。生えていた根っこが取れ、完全に人間の子供に戻った地面。

地質学者 「なんという事だ!! 人類の起源がこのような事だったとは!!」

助手 「先生、これはノーベル賞ものですよ!」

女児妻 「あれ? ここは何処? おじちゃんたち誰? あ、わかった! イタズラ目的で幼女を誘拐した変質者だね! 夫に言って、車にブラジャーって落書きしてもらうからね!」

地質学者 「しゃ、喋った!! お化けだーっ!!」

地質学者と助手は、驚いてその場から逃げ出した。

女児妻は、大学の研究室を抜け出して、自分の家を目指した。

証の代償(50)

2008-09-26 20:14:36 | Weblog
第五十話 二人

 梅雨入りも近いというのに、東京では連日 晴天が続いている。テニス部の新人戦は既に終わり、未来は見事な勝利を収めた。

 試合から数日後のこと。未来と真美は学校が終わり、二人で歩いて校門を出た。
 「お父さんが殺された場所に行ってみたい」
 突然の真美の提案。未来は戸惑った。
 「あの公園に?」
 「うん、事件があってからね、あそこのそばは通るんだけど、なんだか怖くて現場には入って行けなかったの。でも未来となら大丈夫だと思う。だから一緒に行って。あたしをあそこに連れて行って!」
 未来は返事をためらった。しかし、断るにしても、何を理由に断ればいいのだ。未来には真美を公園に連れて行かない理由など何もなかったのだ。
 「行ってみよっか?」
 未来は真美を、自分が真美の父親を殺した公園に連れて行った。

 「この辺りだと思うけど、詳しい事件現場の位置まではわからないよ」
 未来は嘘をついたが、そこは間違いなく殺害現場であり、未来は不安にさいなまれながらも、正直にそこに真美を連れて来たのだった。
 「怖い…。お父さんがここで死んだんだと思うと、全身が冷たくなって、息が苦しくなる」
 真美の手が小刻みに震えている。
 未来は早くその場から立ち去りたかったが、感極まっている真美の姿を見てしまっては如何ともし難く、真美の気持ちが落ち着くまでは、その場に残り、真美と亡き父親の心の再会を見届けなければならぬのだと、自分に言い聞かせて耐えた。
 真美が独り言を話し出した。
 「人間って、生まれたから死の苦しみや、恐怖と闘わなければならないのよね。でもお父さんは、あの日のあの時間まで、自分がその時死ぬなんて知らなくて、それが突然殺されたんだから、死の苦しみも恐怖もなかったのかもね。そうだよね、お父さん!?」
 「そうだよ真美! 真美のお父さんは苦しまずに死ねたんだよ! だから今、生きてるあたしたちより幸せだったんだよ!」
 真美の独り言につられてそう言ってしまったことを、未来はすぐに後悔した。
 「ご、ごめん真美! あたし、真美を慰めようとして変なこと言っちゃった…!」
 「いいよ。未来が意地悪言うような子じゃないことくらい、ちゃんとわかってるから」
 真美は振り向いて笑顔を見せた。
 真美の優しさや包容力に触れた未来は、自分のなんという白々しさに、宇宙の果てまで飛んでいきそうなくらいに恥ずかしい思いがした。

 「秋村、お前キスしたことないだろう? お前って純情そうだもんな!」
 瞬の友達の成田が訊いてきた。成田は瞬の高校のクラスメートであり、最近瞬が一番仲良くしている男子だ。
 「あ、あるさ!」
 瞬はムキになって答えた。
 「うそつけ! どうせ犬としたとか、そんなのだろ? 俺が言ってるのは人間の女とだぜ! お前みたいな内向的な奴が女とキスなんて出来るわけないじゃん!」
 内向的なのは当たっている。しかし瞬は確かにキスをした。しかも飛びきりのカワイコちゃんとだ。
 「成田あ、人をイメージだけで判断しちゃいけないよ。俺なんてキスどころかそれ以上のことだってバンバンやってるんだからね!」
 瞬は調子に乗ってハッタリをかましてしまった。
 成田がニヤリと笑った。
 「おい、みんなー! 秋村のやつ、女とバンバンやってるんだってさー!」
 教室中が大爆笑の渦に包まれた。瞬は一躍、時の人。1年A組秋村瞬の噂は全校に伝わり、帰宅するころには、瞬に「ジゴロ秋村」のニックネームが付けられていた。
 校門を出ていく瞬に、大勢が声を掛ける。
 「おいジゴロ、宿題忘れんなよ~!」
 「ジゴロー! 歯、みがいて寝ろよ~!」
 ジゴロ秋村は下を向き、足早に家路を急いだ。

 「やりゃあいいんだろ!」
 帰宅した瞬は、ベッドに仰向けに寝転がり、両手の平を頭の下に置き、天井を見つめながら吐き捨てた。
 しかし瞬には彼女はいない。内向的な瞬にはナンパなんていう暴挙も出来る見込みがない。瞬の周りに、瞬が声を掛けられそうな女の子がいるとしたら、ターゲットは唯一人! 真美だ。
 真美の携帯メールのアドレスは、このあいだ真美が家に来た時にゲットしていた。瞬は学校で冷やかされ、笑い者にされ、変なニックネームまで付けられた勢いで、真美にメールを打つことにした。
 『こんにちは! 未来のいとこの秋村瞬です! 最近、雨が降らないですね。先日はお会い出来て嬉しかったです。僕たちは、少し気が合いますね! 一度、未来抜きで会いませんか? 決して変なことはしませんから安心して下さい。僕は紳士です!』
 下心丸出しだ。しかし意気込んでいる瞬にはそんなことは大したことではなかった。一刻も早く、女の子を確保し、セックスというものをやり、自分のことを笑った成田以下、学校中のやつらを見返してやりたかったのだ。

 数分後、瞬の携帯に真美からの返信が着た。

新・夫婦の会話78

2008-09-25 15:21:44 | Weblog
ある日、女児妻が崖に咲いている花を摘もうと思っていたら足を滑らせて崖下に転落してしまった。

女児妻 「痛いよ、痛いよ。誰か助けに来て~」

しかしそこに女児妻が来た事は女児妻しか知らず、頼みのカラスも女児妻がそんな目に遭っていることなど知る由もなかった。

女児妻は何日も何日もその場で過ごさざるを得なかった。飲み水は崖からにじみ出てくる水を飲んで過ごしたが、食事は摂れず、怠惰な生活で太っていた女児妻は、みるみるうちに痩せていった。

女児妻 「くそう、なんであたしがこんな目に遭わなければならないんだ。何処かの他の幼児だったら別になんてことないのに、あたしはあたしにとって世界で一番大事な子供なんだぞ! in my life」

女児妻がいくら虚勢を張っても、いくら威張っても、そこでは何の役にもたちはしない。しかし女児妻は死ななかった。崖下で暮らすうちに、女児妻は崖下みたいになっていった。

崖下みたいになるとは、崖下に同化して、その一部になることだ。

女児妻には、崖下の一部として生きていくのに必要な適性が芽生えてきた。身体の至るところから根が生えてきて、その根から栄養を吸収出来るようになった。

段々と思考心理もなくなり、意識はあるものの、辛いとか、淋しいとかは感じなくなった。

姿形も崖下のそれと見分けがつかなくなった。

日記080923

2008-09-23 21:03:37 | Weblog
私は普段は温厚で人が良く、かわいいキャラクターを演じていますので、職場でもかわいがられています。

上司Aが、ある日、私に上司Bの事を「あの人は自分の事しか考えてないから」と言いました。

上司Bも、ある日、私に上司Aの事を「あの人は自分の事しか考えてないから」と言いました。

言葉も、言い方も、言われた場所も、全て同じでした。

二人は特に仲が悪くはないですが、人の良いふりをしている私にポロッと本音を言ってしまったのですね。

面白いなと思いました。

新・夫婦の会話77

2008-09-22 23:48:25 | Weblog
将棋も飽きてしまった女児妻。カラスと二人、退廃的な時間を過ごしていた。

カラス 「ねえ、女児妻ちゃん、君の本名はなに? まさか女児妻じゃないだろ?」

女児妻 「岡本万里子」

カラス 「ホントにーっ!」

女児妻 「ウソ」

カラスはズコッとこけた。生えかけの羽が皮膚を圧迫し、カラスは少し痛かった。

女児妻 「カラスだったらあたしにどんな名前を付ける?」

カラス 「う~ん、岡村秀子かな?」

女児妻 「古臭いね。あたしもっとハイカラな名前がいいな」

カラス 「ハイカラっていう言葉も古臭いけどね! そうだね、神妙時凜っていうのはどう? 古くて新しい感じが素敵だよ」

女児妻 「あたし女児妻のままでいい」

カラス 「色々言わせてそう言うつもりだったんたね。君のパターンはもう読めるよ」

女児妻 「カラスの…」

カラス 「カラスのくせにって言うんでしょ? それも想定通り!」

女児妻 「♪カラスの女房になるからね~」

カラス 「中澤裕子かっ!! くそう、それは考えてなかった! 悔しいなあ!」

女児妻 「悔しいと思う気持ちが、人を成長させるんだよ! 頑張れカラス! あ、カラスは人じゃないか」

カラス 「なんか、虐められるの癖になりそう…」

女児妻 「お主、ますますあたしに似てきたな」