温泉クンの旅日記

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ルレ・エ・シャトー(2)

2021-12-19 | 旅エッセイ
  <ルレ・エ・シャトー(2)>

 九州は温泉もいいが、宿が抜群にいいと思う。その上、関東の箱根伊豆あたりと比べると宿泊料金が驚くほど手ごろなのが魅力である。
 出張で交通費が会社持ちで浮いた分、九州にいくとついつい背伸びしてせっかくだからいい宿に自費で一泊してから帰るかという気になってしまう。

 

(ここか・・・)
 バス停のある国道から天降川を渡ったところにある、「忘れの里、雅叙苑」。
 タクシーを使うような贅沢はしないのだが、鹿児島市内からバスを使ったのか、いったん空港にいってからバスだったのかは思いだすことはできない。

 

 さすがに「日本の原風景」というだけの雰囲気がたっぷりある宿である。茅葺屋根の古民家が十棟たらず移築されて集落のようになっていた。わたしは既に(生意気にも)黒川温泉とか湯布院温泉あたりの離れを経験していたので、それほどの感動は湧かなかった。

 
 
 宿にめぐらされた細い路にはチャボのような鶏が放し飼いにされていて、通行は客より鶏のほうが優先になっていたと思う。
 案内された離れは、階段を少しあがったところにある古民家だった。安い宿泊料金(たしか二万ちょっとだと思う)のせいか、内にも外にも温泉などはついていなかった。ただ黒川とか湯布院あたりであれば、小さな露天風呂くらいついたかもしれない。

 

 部屋の隅のほうに、殺虫剤のスプレーの缶がいくつか置いてあるのが眼に入った。秋にはいっているので蟲の出現は少ないだろうが、夏場には、蟲嫌いはかなりの覚悟が必要だ。

「建湯」と呼ばれる大浴場は川の近くにあった。

 

 重さ20トンの一枚岩を半年がかりでくりぬいたという。同じような浴槽は伊豆とか山形の赤湯とかでも入ったことがあるが、一番大きかったように思う。宿に到着後、食事後、早朝、朝食後と四回お世話になった浴槽だ。
 宿では三つの自家源泉を持っていて、炭酸水素塩泉の湯は循環させず常に新しい源泉が注がれ、贅沢に溢れている。
 夕食は「とにかく酒メイン」のわたしなのでまったく記憶にないが、たぶん地どりメインだったように思う。
 食事後に空いている「建湯」で入浴した帰り路、休み処になっている小屋に囲炉裏があって数本の短い竹が刺さっていた。

 

 

「がっぽ酒」という、いわゆる熱燗でたしか好き勝手に呑めたが、どれほど呑んでのかは定かではない。

 朝は、闊歩していた鶏の生みたての玉子がでた。生卵がお薦めだったが、わたしは目玉焼きにしてもらった。あっという間に朝食をすませると、また建湯にいき最後のひと風呂。
 チェックアウトのときに手渡された小さな包みが、バスのなかで開けてみるとなんと「おこげ」だった。あの釜の内側や底にへばりついたヤツ。きっと喜ぶ人も多いのだろうがね。わたしは、ちょっとガッカリ(失礼)。

 さて、おまけに、前回に“もしかしたら”と書いた城崎温泉「西村屋本館」の話をちょっとだけ。
 城崎温泉は七つの外湯を楽しむ温泉地で、内湯がない宿も多い。宿泊客は宿で無料券をもらって、日帰り客は一日券を買って入り放題に温泉を楽しめる。
 大正の但馬地震からの復興以来、宿と温泉街は強い共存関係があり、松葉蟹の季節でもなければ、素泊まりでもB&Bでも気楽に宿泊することができる。飲食店と土産物店が犇めく温泉街は賑わっている。

 

 西村屋でよく覚えているのが、門から玄関までのアプローチだ。あれれ、場違いのとこに来たかもと思ったような記憶がある。

 

 そして、城崎温泉では珍しく立派な内湯があったこと、この二つくらい思いだせぬ。夕食はきっと風情たっぷりの温泉街でだったのだろうし、いつもならすこしは覚えている朝食もまったく思いだせない。
 たぶん図々しく素泊まり(一万前後だったと思うが、いまはそんなプランがあるかどうかわからない)だったのだろう。
 この程度のあやふやな記憶なので、“もしかしたら”と書いたのだ。

 三軒ともルレ・エ・シャトー加盟前の記憶であるから、役にたたないと思う。
 ぐっと上がった宿泊料金に比例して、施設・部屋・食事・サービスなどすべては相当グレードアップしていることは間違いあるまい。
 三軒のうちもう一度いってみたい宿があるかというと、余裕があればの話だが、ジツはこのうちの二軒にはぜひともいってみたい。加盟前とどう変わったのか、ぜひ比べてみたいからだ。



  →「ルレ・エ・シャトー(1)」の記事はこちら



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