温泉クンの旅日記

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ばすちゃんとかけそば

2013-07-10 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <ばすちゃんとかけそば>

 陸の孤島と呼ばれるほど遠い和歌山までわざわざ足を伸ばさなくても、福島にも猫の駅長はいる。
 駅の脇にある原っぱみたいな駐車場に車をとめた。
 会津鉄道芦ノ牧温泉駅である。



 この駅に「ばす駅長」がいる。ばす、と言う名前はトトロに出てくる猫バスからとったそうである。
 特製の駅長室があるが、気まぐれな猫がおとなしくそんなとこにいるわけもない。



(いたいた・・・よしよし)
 まだ午前中だがさすがに猫である、もう昼寝をしているようだ。



「只今! ばす駅長は夜勤明けで・・・ZZZ・・・」
 と大書してある。
 大人げないが、ギャラリーを押しのけ一番前にしゃしゃり出た。
 ご尊顔を拝するのはこれが三度目になる。



(うぅぅ・・・触りたい、撫でまわしたい)
 猫好きの血が騒ぐが、注意事項が山ほど書いてあって、ここは子どももいるし我慢せねばなるまい。
「じゃあな、ばすちゃん。また来っからとにかく元気でいろよ」
 心のなかでそう呟いて、駅舎を出た。

 もうひとつのお目当ての牛乳屋食堂は今日も行列ができているので、あっさりあきらめ西会津に向かうことにした。
 過酷な山越えがとにかく好きなナビに従い、山をふたつ越えた。



 会津柳津駅の脇を抜け、ようやく沼田街道に出て、走っているうちにトイレにいきたくなってきた。そういえば腹も減っている。



 前方に蕎麦屋をみつけ、車をとめる。どうやら「あわそば」というのが名物なようだ。
 天井が吹き抜けの店内にはいるとけっこう混んでいる。



 入ってすぐの三人が座っている卓に相席をお願いする。
「かけそばをお願いします」
 珍しく温かい蕎麦を頼む。この日の気温はやたら低く、寒かったのである。
 注文を聞き終え引きあげようとする店のひとに、トイレの場所を尋ねた。
 席にもどり、お茶を呑んで待っていると順番がきてかけそばが運ばれてきた。



 かけそばなのに、採りたての色鮮やかなこごみが入っていて、なにかとても得した気分で嬉しい。枝豆もサービスでついていた。

 蕎麦を食べる前に、まずつゆを啜って温まる。ふぅ。生き返った気分だ。
 相席してくれた三人も温かい蕎麦を注文していた。
 五月になったというのに思いのほか寒い気温なので、温かい汁ものがなによりだ。会津も蕎麦はあんまりハズレがなく美味しい土地である。

 このあと角神温泉に泊り、図らずも見に行った「狐の嫁入り行列」でこの寒さを思い知らさせるのであった。


  →「つがわ、狐の嫁入り行列」の記事はこちら
  →「角神温泉」の記事はこちら

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