おんらく館~のこぎりものには福がある~

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自動演奏ピアノ

2017-03-06 | 調律
今日はあいにくの雨模様ですが、だんだんと暖かさを感じている今日この頃です。


さて、先日自動演奏付きピアノをご購入されたお宅へ調律に行ってきました。
最近ではめっきり見なくなってしまいましたね。。。

二十数年前のヤマハ製で、アンティークショップで購入されたとか!

楽器店購入ではないので納調サービスもなく、正直状態に心配もありましたが、伺って作業した範囲では全く問題なく、ピアノも木目調のキレイなもので良い買い物をされたな、と嬉しくなりました。

なんでも自動演奏ピアノを持つことがご主人の長年の夢だったようで、それがかなって本当に良かったですね!
機械ものなのでいつ壊れるか分からない、という余計なひと言を添えてしまいましたが(申し訳ありませんでした)出来ることならいつまでも元気に動いていて欲しいものです。


たまたまですが、最近古本屋さんで「ピアノの誕生」という本を買って読んでいますが、そこにも自動演奏ピアノについての記述があります。

19世紀末に「ピアノラ」という商標で考案され、またたく間に世界を席巻したとのこと。

ちょうどレコード録音が発明されたのと同時期で、ノイズが多く、しばしば不鮮明なレコードの音よりも、自動演奏ピアノの方がはるかに鮮明な音を実現し、しかもレコードよりも劣化しにくいという比類なき特長を持っていた。
レコードがアナログなのに対して、自動演奏ピアノの録音方式ってある意味デジタルですからね。。


1900年のピアノ販売台数17万1千台に対して自動演奏ピアノが6千台。
この伸び率だけでもすごいのに
1909年にはピアノが33万台に対して自動ピアノは3万4千台。
更にこの頃すでに40種類以上の自動ピアノが製作されており、各社が率先して技術革新に努めていた。

そして1914年ではピアノ23万8千台に対して自動ピアノは9万8千台。
1919年ではピアノ15万6千台に対して自動ピアノは18万台を記録し、ついにピアノの販売台数を追い抜く!
1925年にはピアノ13万6千台に対して自動ピアノ16万9千台と市場をほぼ席巻したことになる。


この数字はこれまでピアノを購入してきた人の半分は、もっと受身のかたちで音楽享受を望んでいたことを語っている。
更に面白い報告として、ピアノは19世紀以来、子女を対象としてきた。それは20世紀に至っても変わることはなかった。
しかし、自動楽器を求めたのは女性ではなくて男性だった。


なんてことが書かれていました。


そう思うと、30年くらい前に自動演奏ピアノが出たときに、「おお~!」と食いついたのは女性より男性の方が多かったのではないでしょうか。
しかも娘にはピアノを習わせているけど、自分では弾けないお父さん。(笑)



ただし、この後レコード等の録音技術、ソフトが良くなるにつれ自動ピアノは下火になり、現在の自動ピアノも珍しさ、新鮮さがなくなるとともに減ってしまったのではないでしょうか。

それでも今でも自動演奏からの生演奏を楽しんでいる人は確実にいらっしゃいますし、せっかくあるのですから、とことん楽しみぬいてもらいたいと思う今日この頃であります。