遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

スタンダートか ? 最先端か ? ・・・その 1. という話

2007-07-30 13:50:15 | Weblog
今年の夏、私はとても憑いている。
よく当たるのです。
状態の悪い故人様に ~~~~~(mーー;)m

前回同様「湯灌の依頼」で言われて行くと
もの凄い事になっていました。
≪ 処置当日1日目 ≫
死因は車内での練炭自殺。
一時期、集団練炭自殺がTVでよく報道されていた時
仲間のいない方でも、単独で練炭自殺のお仕事は時々ありました。
最近はあまり聞かなくなってきていたので
「ブームは去った」と胸を撫で下ろしていたのですが・・・・。

相方と葬儀場の湯灌室にエッチラ浴槽を抱えて行ったのですが
部屋に入ったとたん相方の一声が「クサッ!!」
相方よりは長くこの仕事をしているためか
私の鼻はかなりバカになっていて臭さに鈍感になっています。
故人様に巻かれているシーツをはがしてからやっと
“かなり熟成発行した濃厚なチーズ”のニオイ
顔も体も“ぱっつんぱつん”に膨れていて体中水泡だらけ
皮膚もどろどろで血だらけの顔そして開いた口から
「ぷくぷくぷくぷく・・・・・・・」
ガスを発生しながら血があわ立っています。
また、おそらく薬かアルコールを飲んで練炭を焚いたのでしょう。
故人様の陰部全体が普通の人の顔より大きく膨らんでいます。
(アントニオ猪木氏くらい)
お尻からは腐敗ガスのため、茶色い泡がブクブク出ています。

『今月で状態の悪い故人様何人目だろう・・・。私は憑いている…』

あまりに憑いているので、疲れてしまいました。



続きは次回。







遺体処置・エンゼルケア・湯灌サービス
ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。


徹底的に冷たくする話

2007-07-27 19:07:03 | Weblog
いつもは一人対応する“納棺”のご依頼が多い葬儀屋さんから
急の“湯灌”のご依頼を受けました。
同行するメンバーと現地集合でそれぞれ別方向から向かいました。
内心『なんだか怪しい』と感じつつ
「故人様のお体の状態いかがですか?」と伺うと予感的中!
「昨日は顔色が赤紫だったんだ、でも顔だけだから湯灌出来るかな?」


状況は更に進んでいました。
故人様は赤紫から真緑に変わっていました。
お顔の皮膚はズルズルで、体は変色はないのですが皮膚がやはりズルズルです。
臭いもかなりキツクてムセかえるほど。
「緑になってる!これでは葬家に見せられない!」
昨日よりパワーUPした腐敗状況にちょっと腰が引けてる担当さん
こちらとしても湯灌で洗体といっても顔の変色・出血もさておき
体の皮がズルッとむけ、体液があちらこちらから漏れ、感染症の危険もあります。
「では古式湯灌で対応させて頂きます」ということで
実際にはお湯を使う事のない処置+着せ替え・メイク+納棺に内容変更してもらいました。

それからは同僚と2人、緑の故人様に挑む事2時間
体中を体液が漏れないように処置
着せ替えて、緑のお顔を肌色に特殊メイクしました。
また気が付いた事にこの故人様死後4日のハズなのに体に【凍った形跡】がないこと。
ドライアイスを故人様に当てるとやはり体は“冷凍焼け”します。
痛ましい事ですが凍結する事で腐敗の進行をゆっくりにすることができるのです。
でもまったくそれがなく普通に痛んだ体です。
『あら?』と一瞬思い・・・『もしかしてこの4日間ドライアイス当ててなかった?』という疑問が沸き起こりました。
即効、持参したドライアイス20㎏をまだメイク前の故人様にどんどん当てて
部屋のクーラーを【地球に厳しい18℃】までさげて冷房をガンガンに効かせてお化粧しました。
とにかく徹底的に冷やさない事には緑の顔色は黒になり
顔の輪郭は1.5倍に膨らんでしまう可能性があるからです。

お化粧も終わり、ご親族の皆さんにご確認とご納棺に集まって頂きました。
「うっオジサンじゃない」
と厚化粧の故人様を見て親族の女性の方がショックを受けています。
担当さん、口答では緑の状態を説明されたかもしれませんが
実際にはご親族は誰も見ていないので緑色が完璧に隠れるほどの厚化粧にショックを受けられたようでした。
一応ナゼお化粧が濃いか胸元を少し見て頂きご説明しましたが
この致し方ない理不尽な現実にご親族も諦め顔でした。

故人様が安置されるお寺さんには翌日もお部屋はクーラーをガンガンかけてもらうようにお願いし
葬儀屋さんには翌日もドライアイス20㎏当ててもらうようお願いしました。
幸いお直しの依頼が来る事もなく、無事にお葬儀は終了したと思われますが
大切な故人様だからこそ“上手に冷たくする”のも必要なようです。









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転落の話

2007-07-24 11:13:25 | Weblog
映画の日に『 ブリッジ 』を観てきました。
毎年900万人の観光客が訪れるサンフランシスコの象徴であり観光名所
そして約2週間にひとり命を絶っているという自殺の名所
そのドキュメンタリー映画です。
「行為に及ぶ前から欝傾向になっていました。」
映画の中でインタビューを受けた近親者の人は皆そのように証言していました。
肉体は生きていても、心が壊れてしまっている時
人は死んでしまっているのかもしれない。
そう感じた映画でした。


飛び降りの仕事も沢山あります。
やはり顔・体にむごたらしい損傷があるため湯灌をする事は難しく主にメイクが多くなります。
自ら飛び降りる人も沢山いますが、望まないのに落ちてしまった方もいます。
仕事中に階段から落ちてしまった故人様の納棺に行ってきました。
最初「損傷はない」という話だったのですがそれは
“肉に埋もれて目立たなかったから”損傷に気が付かなかったのです。
故人様、体重100kg
肋骨が折れて突き出ているらしいのですが
それは全て”体内での出来事 ”
多量の脂肪が壁となり折れた肋骨は体外に飛び出てきませんでした。
検視も亡くなった翌日になり、それまでドライアイスをつけてもらえず
自宅に帰ってからは葬儀屋さんも注意して30㎏ほどドライアイスをつけました。
でも時既に遅し
この蒸し暑さで体は凍ってもお顔が緑色に変わってしまいました。
普通の体型の人なら冷気もお顔に伝わるのかもしれませんが
何せ大柄、お顔も大きく足りなかったのでしょう。

男性であまり濃いお化粧をするのは申し訳ないのですが
よく見ると顎も骨折、皮膚も広範囲に切れて一部穴も開いていました。
とても時間がかかったのですがお化粧で変色も穴も埋めることができました。
でもお顔色具合をご葬家に確認取って頂かなければいけません。

喪主である奥様はたぶん私と同じか年下の方
まだ3歳と1歳のお子さんがいます。
「いかがですか?」と伺っても、言葉少なに「はい。いいです」とぽつり。
突然のご主人の死
何もわからない2人の子供
『 一番泣きたい人なのに・・・ 』そう思いました。

本当の喪失感に苛まれた時、涙は出なくなります。
      
「涙が出るのはそこにまだ希望があるから」
そんな名台詞を聞いたこともあります。
故人様のご冥福と
奥様が涙を流せる日そして心穏やかな日が戻る事をお祈りします。





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顔面にシャワーなお話

2007-07-20 19:50:19 | Weblog
湯かんは決められたとおりの工程を、決められたタイミングで行います。

故人様をネットを張った浴槽に横たえて

頭上にシャンプー係で司会進行する“ディレクター”

故人様の体に平行して、洗体&メイク・納棺飾りつけなどする“アシスタント”です。



アシスタントの体の洗うタイミングに合わせて、ディレクターがご葬家に声を掛け話しかける言葉尻も全て決まっています。

演歌歌手の舞台のように毎日が同じことの繰り返しです。

このようにこれが”当たり前“と思ってやっている湯かんでもご葬家の突然の

”アドリブ要望“にびっくりすることもあります。





いつも通り普通に湯かんを進めていました。

男性の故人様で奥様が熱心にその工程を見つめています。

「お髭をお剃りしてもよろしいですか?」

頭上のディレクターはシェービングクリームを塗ってT字かみそりで剃ります。

次にアシスタントである私が一枚剃で細かい部分を剃ります。

お顔を剃った後、ディレクターが濡らして化粧水をつけたタオルを私にくれました。


お拭きあげしようとしたとき



「顔を洗ってくれないんですか?」と奥様



(??)と一瞬固まる私たち。



「顔は拭いて終わりなんですか?」と更に奥様

「今、このタオルにはお化粧水をつけたものでお拭きいたしますが」

「それで、終わりですか?ちゃんとお湯かけて洗ってほしいんですけど」

「え…っと、シャワーお顔にかけてしまってよろしいんですか?」

「普通、そうしますよね」



うーん。たしかに普通洗顔はバシャバシャお湯で顔を洗う。

今まで湯かんでの洗顔とは”お顔を拭くこと“であったので直にお湯をかけるなんて

考えたこともなかった。

第一、 鼻や口にお湯が入ってしまうかもしれないし

見た目なんだか失礼な事のように思っていました。

でも奥様はそのようにご希望されています。





ディレクターはまた、シェービングクリームを取り出し故人様のお顔をマッサージするように洗い

鼻・口・耳にお湯が入らないよう慎重に流していました。

横たわって寝ている故人様の顔面真上からお湯をシャワ~とかける姿は私にはちょっと新鮮な驚きでした。



洗顔で少し中断されたので、お体のお流しをしなければいけません。

私が始めようとしたとき私を見て「すみません」と奥様がすぅっとこちらにやってきて耳打ちします。



「アソコもよく洗ってくださいね」



一瞬ハッ(゜○ ゜;)としましたが「かしこまりました」といつもより多めにお流しさせて頂きました。

湯かんってお風呂ですから。

洗顔も体をくまなく洗うのも当たり前なんですよね・・・。










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ご遺髪の話

2007-07-17 07:09:33 | Weblog
たまにですが「ご遺髪」を希望されるご葬家がいます。
亡くなられた故人様の体の一部。
形見として残しておく為に、故人様の髪の毛を少し頂きます。
切った遺髪を半紙に包み、小さなガラス瓶に入れてお渡しするサービスを弊社ではさせて頂いています。
とても悲しみの深いご葬家様には、こちらからご遺髪のご案内する事もあります。
ただし、多くは“髪の毛のある故人様”です。
あまり毛量の少ない方の時、どんなに悲しみ深いご葬家でも
ご遺髪の話は進めたりしません。
故人様が悲しみますから・・・。

死因は聞いていませんでしたが、故人様とても痩せた男性の方でした。
髪の毛も坊主にされて目も落ち窪み、半分あいています。
『ご病気の闘病で痩せてしまったのかな・・・?』
そう思いました。
ご葬家が用意された洋服にお着せ替えさせて頂いたあとヒゲ剃りをしました。
とても濃いおヒゲの方でなかなか手こずりました。
そしてご葬家お立会いいただく為にお部屋へご案内。
ところが肝心の喪主様の奥様がなかなかお部屋にきません。
「どうぞ中へお進み下さい」とご親戚の方にも何度もご案内したのですが
主役(奥さま)が来ないので遠慮されて入ってきません。
『進まないな~困ったな~』と思い始めたところに奥様登場。

「あ、お父さんキレイになった」と奥様
「まだ、これからお化粧させて頂きますので」と私
「お化粧!?」
なんでそんなことするの!?と少し嫌な顔されました。

【 男性にお化粧なんて普通は変です。
ですが、亡くなられると時間の経過と共に初めきれいだった故人様も
お顔色は変わってきてしまいます。
変化をしたとしても極力わからないようにするのが男性のお化粧なのです。 】
と、長々ご説明してもパッとご理解いただけるとは思えないので
「口元にカサブタがありますよね、こちらをお化粧でお隠しするためのお化粧ですので」と別の視点からご説明。
ご理解頂き、極力うす化粧で対応する事に・・・。


お化粧の間中、奥様と息子さんは故人様の足をさすっていました。
お嬢さんたちは始終泣かれていました。
「遺髪って取ることできないのかしら?」と奥様と息子さんが話し始めました。
『遺髪?だって故人様丸坊主で髪の毛は・・・』と一瞬思うと
「腕の毛、ほらここ少し切ってみたらどうだろ?」
「変だよ、そこだけハゲになっちゃうよ」
「じゃあ足のすね毛から取る?」
「いいよ、いいよ」

『えーー(д゜;)!ウデ毛!?たしかにヒゲも濃くて毛深いけど遺髪にするの!?』と内心ビックリの私

「亡くなる、前の日に坊主にしちゃったからね~それで次の日にその角のところで倒れるなんて」
「まさか、父さんだなんて思わなかった…」
とウデ毛に続くその話を聞いてやっと理解できました。
すっかり私の見当違いでどうやら突然死だったようなのです。
奥様がこの納棺式でお化粧をする事をご理解していなかったのも
故人様の一部を感じ取りたくて遺髪にウデ毛を所望されるのも
目まぐるしく巡る葬儀の打ち合わせ・連絡・準備そして予測もしていない突然の事に動揺していたからからだったのでしょう。

仕上がったお化粧を見て奥様は
「ホント!傷がわからなくなったわ。ちょうど良い顔色です」とご安心されていました。
そして、ご納棺の時お棺に入れたい品物の一つに家族写真がありました。
念のため
「言い伝えですが、ご生前の方の写真を入れると連れて行かれると言う地方もあるのですが…」とお話しすると

「良いんです。だってこの写真撮ったばかりでお父さん、まだ見ていないから・・・」
そう言ってお供えになりました。

その写真は
ご家族で整列し普段着のままの何気ない光景なのに皆さんとても素敵な笑顔でした。







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葬儀屋さんの豆知識 な話

2007-07-14 09:23:16 | Weblog
滅多にお仕事をくれない葬儀屋さんのお仕事に行ってきました。

なぜくれないか?

葬儀屋さん皆さんが自分たちで「きれいに納棺できちゃうから」

なので伺うと大抵“故人様少々難あり”のことが・・・。



お化粧や湯かんはしなくても、多少の処置(含み綿)もお顔周りの飾りつけも

旅したくも“いい感じ”でされてしまう。

本来、葬儀屋さんはそれがお仕事なので当たり前なのですがちょっとサビシイ(;;)





担当者の方からは

「故人様4日間自宅で安置している間に変な“凹み”が出てきちゃって」とのこと。


たぶんご生前からあったのかもしれませんが、時間がたって目立ってきたのでしょう。

わかりやすく表現すると

漫画のヤ●ザ(▼へ▼♯)のほっぺの傷みたい。

のどの中央に呼吸器かタンを取り除くために空けられた穴があり、まだ器具がつけっぱなし。

たぶんそこへつながるチューブで圧迫されてできたものかもしれません。

へこみは白っぽくなってツレている感じ。

さらにそれを取り囲むように赤く輪になって色が変わっています。

グチュグチュしていないので普通に“どうらん”を使えば消える傷。

お顔立ちはきれいなおばあちゃんなので傷も消え肌色を整えると、とても美人さんになりました(^^)





お化粧終わった頃にやってきた葬儀屋さん

「ああ、よかった(^▽^)」とご安心

ではご焼香台を戻しましょうとなったとき

「あっ!気をつけて」

見ると全開したゆりの花から花粉がバリバリについていました。

たまーにやっちゃうことがあります。

ご存知の通り、ゆりの花の花粉が衣服につくと取れません。



危ない危ないと気をつけながら花瓶を戻すと

「花粉のとり方知ってる?」とニヤッ葬儀屋さん

例えばスーツに付いたとき

付いた部分と何も付いていない部分の生地どうしでこすり合わせる。

あら不思議!花粉が取れちゃうらしいのです。



「へえ~そうなんですか?なぜ知ってるんですか?」と聞くと

「葬儀屋10なん年やってりゃ、知ってるよ~」と得意げ

「へえ~サスガですね~私はまた“伊藤家の食卓”でやってたのかとばかり・・・」


「いやいやいや・・・伊藤家ってアンタ・・・」



上げて落としてしまったでしょうか?

“おいおいおいっ”て顔されたのは。

こんなプチ仕事の知恵をご存知なくらいだから、やはりなんでもできちゃうのでしょう。

お仕事がいただけないのもちょっと納得した日でした。






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男泣きの話

2007-07-11 16:03:08 | Weblog
葬儀担当者の待ち合わせに30分ほど早く到着し

ご葬家の近くで待機していました。

梅雨らしいじっとりしたお天気で近所のおじいさんでしょうか?

ふらふらと何をするわけでもなくボーっと表に立っています。

散らかってもいないのに、道路をホウキで掃いてみたり雨の不利そうな空を眺めてみたり・・・。

『退屈してるのねえ~老後って時間もてあましちゃってつまらないものかもなぁ』なんて思いながら眺めていました。





そうこうしているうちに、担当者が来て葬家入り。

対応してくれたのは奥さんで孫娘サン達も興味津々なご様子。

協力的っぽい穏やかなご家族だったのでスムーズに進みそう(^^)

準備が整い「では皆様お集まりください」と案内すると

「あれ?おじいちゃんは?」と孫娘

「外にいたよ」

さっきのフラフラしてた人こそ喪主さんのおじいさんなのでした。

とは言っても高齢すぎるとやはりお葬儀を取り仕切るのは

実際は息子さん達。

亡くなったお婆さんの連れ合いといっても何もやることがないのでしょう。

ボケちゃってる訳ではないのですが口数も少なく

“ぼぉーー”と眺めています。

そんなおじいちゃんに対してもご家族は皆さんとても優しくて何事も「お爺ちゃん最優先」

3人の孫娘さんは始終泣きっぱなしで、娘婿にあたる40代後半くらいの方もすっとウルウル(TへT)

自分も経験ありますが、お葬儀の時など人目を気にして

「声を出さないように泣く」というのは大変苦しくストレスがたまるものだと思います。

いくら納棺のご案内をしているとはいえ“第三者”である私がいることで泣けないのかもしれません。

故人様への旅したくを終え、棺の準備をするためにいったん外へ出ました。

ご家族だけの時間を長く取るために、お部屋へはゆっくり戻ることにしました。





いよいよ、ご納棺となりお棺に“お別れの品物”を皆さんに入れてもらいます。

好きだった洋服・靴・お菓子・バナナ

最後“守り刀”を故人様の胸元に入れもらいます。

「じゃあ親父入れて!」と息子さん

おじいさんに守り刀を渡し、供えてもらう寸前

「ちょっと!まった!!」と息子さん

一同『なにっ?』と思ったら

「オヤジ!ハナ垂れてる!」

全員で見るとおじいさん15㎝くらい「たら~~っ」と鼻水を垂らしてます。

「テッシュテッシュ!!」

「わあ!洋服で拭いちゃった!」と大笑い

でもおじいさんは何事もないように守り刀を供えてくれました。





納棺も済み、最後ご家族代表でご焼香頂くのはやはりおじいさん。

お線香を立て、合掌。

そしてお座布団から立つとき初めておじいさんの声を聞きました。

「うぉぉおおぉ…」

おじいさんはその場に静かに突っ伏して泣き崩れてしまいました。

先ほどの鼻水も最後に出た嗚咽も、おじいさんはずっと泣きたかったのかもしれません。

ご家族もおじいさんに寄り添って、背中をなでながら泣いています。





ご高齢になると“挙動が不明”といわれるそうです。

自分が思うよりも思考がゆーっくりになってしまって行動も感情も出てきにくい、というか…。

でも“泣ける”ということが“悲しみを消化する作業”なのならば

ゆーっくりでも沢山泣いてほしいなぁと思いました。

きっとご家族はおじいさんをずっと守ってくれるでしょうから。






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香りの話 ケース②

2007-07-08 11:57:42 | Weblog
ケース1の「お線香は絶やしちゃいけない!!」
と頑張るご葬家に相反し
「お線香を忌み嫌う」ご葬家もいらっしゃいました。
日本人には馴染み深いお線香の香りを嫌いという人はいないと思っていましたので
とても以外でした。
「キライ」というよりも「うけつけられない」のです。

ご葬家一家全員“線香アレルギー”のご葬家に伺った事があります。
特にヒドイ状態の女性の方々は口々に


「ツライ!ツライ!」
「目かゆい~」
「鼻痛い!」

と、目と顔を真っ赤にして鼻がズルズルでかなりイライラしたご様子。
湯灌・旅したく中にお線香が燃え尽きてしまったので幸いにも
みなさま鼻水も止まり、積極的にご参加頂いたのですが
ひと段落し、ふと我に返り“ピタリ”と鼻水が止まっているのに気が付くと

「やっぱり!あの線香だーー♯!!」と

憎憎しげにおっしゃっておりました。
大変辛いお葬儀だったろうと、察し申し上げます。



もちろんご葬家を泣かせていた線香は
日本香堂のお線香ではなかったのですが
まれにこのような体質の方がいるのを知れば
日本香堂の研究室長は全身全霊で“体に優しいお線香”とか作ることでしょう。
室長は“かおりのソムリエ”

【伽羅(キャラ)】という15cm~程で2000~3000千万する
最高級のお線香の香木の香りを例える時

  「スーっとした酸味がありながらも
      味わい深い甘み・酸味・辛味も含み
                   それでいて~~~」 と表現できる鼻の室長。
                   
室長曰く『世の中に嫌いな匂いはない』とのこと
                   
司会者が「どんな臭いもですか?」と聞くと
室長  「 嫌なニオイのなかにも“ 良さ ”がある 」そうです。
                  
室長のような方なら何がアレルギーのご葬家に影響しているのかも
すぐ察知する事ができそうです。
そして、世にある一般的なニオイだけじゃなく
もし私どもの職業のニオイの良さも感じ取れる方ならば
『 室長の鼻は世界を制覇している。』と思いました。











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香りの話 ケース①

2007-07-05 17:39:14 | Weblog
『お仕事の役に立つかしら?』と
6/18放送の“カンブリア宮殿”(テレビ東京PM10~)を見ました。
私たちのお仕事マストアイテム“線香”の業界最大手
【日本香堂】の会長がゲストでした。

番組を見て知った事はやはり
 ・CMでおなじみの青いパッケージの「青雲」の正式名は
  “青雲・バイオレット!!”という事・・・ちょっとカッコいい
 
 ・漆塗りの箱に入った最高級お線香が 20万(1本¥3300-・33本入り?也)
  なんでもワシントン条約で売買してはいけない原木が香木とのこと
  原木入手がかなり困難との事
 
 ・【 業界シェア50%!! 】(゜o゜ )∩
 

カンブリア宮殿

お線香の豆知識




仕事の日、お線香のにおいを嗅がないという日はない。
あまりに日常過ぎて
『癒される~』とか『良い香り』とか感じることもはやありません。
ですが時に大変役に立つ時があります。

言い方は変ですが 【 ご葬家におい探知機 】になるのです。
場所がわかりにくいご葬家に伺うとき
タイミングよく“お線香をモーモー”と焚いている香りがすると
大抵そこがご葬家だったりします(^o^)V

そんなご葬家に伺うと
香炉には針山のごとくグサグサとお線香が刺さっていて
「お線香は絶やしちゃいけない!!」
というご葬家の強い意気込みを感じます。
お通夜の時などは、たしかにそのように言われますが
そんな大変な思いをご葬家がされない為に
今は便利になっていての長時間焚き続けられる“うずまき状線香”もあります。


話は戻って
日本香堂会長に聞いた【 成功の条件 】とは

元々は商売の悪化と「お線香の暗いイメージを払拭したい」から始まったそうです。
そして

『 お線香は(商売の)わき道を歩き、大量に売れる物じゃない。
  正面突破は難しいので皆が考えるのとチョットずらして考える 』
 (ちょっと弊社と企業コンセプトが似ているような…)

その大胆な経営策としてTVCMや量販店販売を始めたそうです。
グルグルうずまき線香は日本香堂が作った物ではなさそうですが
『まごころをとどける~』という意味では
かなり日本人の心に浸透しているようです。










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謎が解けたかもしれない 話

2007-07-02 16:43:09 | Weblog
季節柄でしょうか?
ものすごく状態の悪い故人様のお仕事に行ってきました。


故人様を拝見する前に葬儀場館長さんが
「昨日は緑だったけど、今日はこげ茶色に変わってしまったよ」
「出血と臭いが止まらないんだよ」などなど
状況を教えてくれます。

私が女性だからでしょうか?
たまに葬儀社の方は冗談で
「故人様大変な事になってるよ!!」と
からかわれたりします。
もうそんなの慣れっこなのですが
「もう少し楽しい冗談言ってください」と内心思います。


ですがその日は実際に館長さんの言われたとおりでした。
ただ状態が悪いのは不思議なことに“お顔だけ”
鼻からぶくぶく出血していてこげ茶色でトロけそうな皮膚
お顔全体もやや膨張してきています。
対して、大柄な体は出血も変色もしていませんでした。

「時間いっぱいにかけていいので、何とかお願いします」と心配顔の葬儀担当者の方
「手伝える事があったらいってね」とも言われ
ご処置の間ずっと側にいるのですが
なんだか、やりずらく、はかどらない感じ。
私があまりにチンタラやっててご自分は手伝えるところはないと思われたのか
やっと席をはずしてくれました。。



なぜこのような事になったのか?伺うと
亡くなって丸一日ご家族は誰も気が付かなかったから。だそうです。
「一緒に住んでいても仲良くなかったのかな…」と思いましたが
そうではなさそうでした。

喪主様に当たる奥様“車椅子”の方でした。
奥様よりも亡くなった故人様のほうがお世話をされる立場だったのかもしれません。
死因は心筋梗塞。
ご本人もご家族もどうすることもできない事だったのかも知れません。


お葬式で故人様に唯一触れることのできる部分がお顔
そこが生前と180度変わってしまった事。
ご家族にとってやりきれない無念な想いを持たれたかも知れません。
せめてお顔色だけはキレイに整えさせて頂きました。








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