杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・えん罪被害者の免田さん、やっと年金受給

2013-06-19 11:16:16 | 法律・法制度
免田栄さんは

1948年12月30日に起きた殺人事件で、犯人と疑われ、別件で逮捕しその間に警察が拷問と脅迫を加え、自白を強要し、
その自白をもって強盗殺人罪に問われ
1950年3月23日、熊本地裁八代支部で死刑判決。
その後上訴するが、最高裁は上告を棄却し、1952年1月5日に死刑が確定しました。
しかしながら、
1979年9月27日に再審が開始し、1983年7月15日、発生から34年6ヶ月後、再審無罪判決が言い渡された事件です。

えん罪被害を受けていた免田さんは、その間国民年金の保険料を支払ってきませんでした。
そのために、年金の給付を受けられないという事態が発生していたのですが、

本日(2013.6.19)、死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律案が、
第183回国会にて可決され、法律として成立しました。
この特別立法により、死刑判決を受け当該判決が確定した後に、再審で無罪が確定したえん罪被害者が、
国民年金を受給できることとなりました。
ただし、この立法的措置は、死刑再審無罪者に対し、遡って年金相当額の支払いをすることとしています。

えん罪被害者が無年金状態となる原因は、えん罪被害者が国のえん罪という過ちによって確定死刑囚とされ、
将来的に社会復帰を想定し年金生活を視野に入れた対応をとることを期待することが困難な状況が作出されたところにあるので
国民年金保険料の納付あるいは保険料免除の申請を行わなかったことの不利益を、
えん罪被害者本人に負わせることはおかしなことです。

この点で、えん罪被害者が年金保険料の負担をすることとなっている点は問題があると思いますが、
この点を除いては、えん罪被害者の救済の見地から評価することができるものです。。

なぜ、これまでこのような法律ができず、「保険料を払っていなかったから年金は受けられない」とされていたのか
ということの方がおかしかったのです。

なお、保険料を負担することについては、
えん罪被害の場合には補償金が国から支給されるので
所持金ゼロのところから保険料を払わせる=事実上年金受給は不可能ということにはならないわけです。

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