杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・日弁連コメント ~ 横浜裁判員裁判の死刑判決に

2010-11-16 16:36:23 | 法律・法制度
横浜地裁での2人殺害事件に裁判員裁判初の死刑判決が出ました。
この判決の重さについても問題、裁判長が「控訴を勧めます」と説諭したことなど
いろいろ考えるところのある判決でした。

この判決を受けて、即日、日弁連は下記のようなコメントを出しています。




裁判員裁判事件における死刑判決を受けて(日弁連コメント)2010年(平成22年)        11月16日  日本弁護士連合会


本日、横浜地方裁判所において、強盗殺人等に問われた被告人に対して、裁判員裁判事件で初めての死刑判決が言い渡された。

裁判員制度下では、法定刑に死刑が含まれる重大事件は裁判員裁判対象事件とされており、特に検察官が死刑を求刑する場合には、一般市民から選任される裁判員は、死刑を選択すべきか否かの極めて重い判断に直面することとなる。

当連合会はこれまで、死刑の選択には特に慎重な判断が必要であると主張してきたが、今回の判決を受け、改めて評決の在り方についての検討がなされるべきであると考える。

また、極めて重い判断に直面することになる死刑求刑事件の裁判員の精神的負担に対する配慮についても、十分な検討がなされるべきである。

さらに、本判決を受け、死刑制度の存廃を含む在り方についての国民的議論がより一層深められる必要がある。

上記の点について十分な検討が行われるためにも、当連合会は、政府に対し、死刑確定者に対する処遇の実態や死刑執行方法などの情報を、今後裁判員となりうる国民一般に広く公開することを求めるものである。
                                 以上
   




例えば毎日新聞では、社会面での判決報道に続けてこのコメントを要約して紹介しています。市民が法律に関わる機会が増え、とりわけ裁判員裁判は誰が我が身になるかも分からない状況の中で関心が高まり、それだけに、何をどう判断するべきかは、関心が払われているところだと思います。

法律の専門家集団である弁護士会が、それをどう評するかは、多くの人にとって大きな手掛かりになるのではないかと思います。

このコメントを出すためには、今日の横浜判決がどういう判断が出るのかをシュミレーションして、日弁連の関連弁護士たちが、おそらくここ何日かは夜中もメールのやりとりでそのコメントを検討して作成したことが想像されます。


日弁連は、これまでも、地味ですがそういった活動をしていました。
今年、宇都宮健児弁護士が日弁連の会長になり、このコメントを誰が発しているかの「顔」が見えるようになったことは大きいと思います。

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