ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

深夜の訪問者

2017-07-08 23:06:29 | 日記
夜勤の午前0時。

ウチで最も介護力を必要とするマルオの排泄介助を
汗だくになってやっていると
エントランスのチャイムが鳴った。

なんだ? こんな真夜中に。
警戒心100%でピッチをとると
(どこでも緊急コールやチャイムに応答できるよう
職員はみんなピッチを持っている)
「すみません、開けてください」と男性の声。

家族なら鍵を持っているはずだし
それ以外の来訪者がこんな時間に訪ねてくるはずはない。

恐る恐る、聞く。
あの、どちら様でしょうか?

「サワダです」
サワダ? ああ、サワダといえば利用者のオトボケ・M三郎。
たまにやってくるM三郎の弟か。

こんな時間に不躾な!?と思いながらも
私は丁寧に対応する。

あ、サワダ様ですね?
申し訳ございませんがただいまワタクシ一人で
しかも利用者様の援助をしているところですので
10分ほどお持ちいただけますでしょうか。

「はい」

なんとかマルオのトイレを済ませ
汗を拭き拭きエントランスに向かう。

と、エントランスの自動ドアの前で私を待っていたのは
M三郎本人ではないか!

徘徊癖と脱走癖のあるオトボケ・M三郎は
その夜も車椅子でふらふらと建物から出て
しかし幸いにも敷地内から出ることなく、戻ってきた。
ところが出るのは自由だが
入るには鍵が必要なウチの建物。
鍵なんぞ持ち歩く習慣のない認知症のM三郎は
困り果ててチャイムを押したようである。

あらあらM三郎さん、アナタ、チャイムを押すことを覚えたのね?
徘徊しても、一人で帰ってこれるようになったのね?
偉いわ~!

じゃ、ねーわっ!

おいこら、ジジイ、この愛すべきジジイ
とぼけるのもいい加減にしろ!