ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

きれいな肺・・・なのか?

2014-05-29 21:28:19 | 日記
就職して以来、初の健康診断を受けてきた。

会社指定の医療機関だから
同僚たちも同じ医師が診断に当たってくれるわけだが
先に受けた同僚たちは
みんな恐ろしい診断が下されたという。

一人は血圧が高すぎる、夜勤なんかとんでもない!と言われ
すぐさま薬が処方された。
もう一人は喫煙が原因で肺が真っ白。
このままだと一年後には酸素吸入器のお世話になるよ!と言われ
落ち込んで帰ってきた。

健康診断でそこまで言うか?
なんか信用できないね、あの医者。
職場ではその話で持ちきりだ。

そして今日が私の番。
飲酒、喫煙、夜勤もある不規則な生活・・・
どうしたっていいことを言われるわけがない。
覚悟して挑もう。

ところが、レントゲン写真を見て同じ医師が言う。
「肺はキレイですね、うん、いいですよ」
えっ、まさか!?
続いてこの質問。 
「タバコは吸いますか?」
せっかく肺がきれいだと言われたのに
ヘビースモーカーだと告白することもなかろうと
私は大嘘をつく。
「以前は結構吸っていましたが、今は一日に10本以下ですね」
すると医師がにこやかに私を振り返り、言った。
「なるほど。よ~く頑張りましたね」

36年間もケムリを吸い続けた私の肺がなぜきれいなの?
その上明らかなウソがばれるどころか
なぜこんなに愛想よく褒められちゃうの?

ヤブ医者なのか、それとも私の肺が特異なのか・・・

なんだかよくわからない健康診断だった。


髪切ってくんない?

2014-05-24 01:32:48 | 日記
おとぼけM三郎さんは、髪を切りたくてならないらしい。

おとといの夜、彼はパジャマ姿で事務所のドアをノックした。
ああら、M三郎さん、どうされました?

「あのさあ、髪切ってくんない?」

いやいやいや、ここは理髪店じゃないし・・・
明日訪問美容師さんを予約しましょう。

なんとか納得してお帰りいただいたが
彼はどうしても、髪を切りたくてならなかったらしい。

翌日のこと。
M三郎さんはまったくご縁のないSさんの居室を訪ねた。
ピンポ~ン!
ドアを開けると、車椅子に乗った見ず知らずの老人。
たまたまSさんのところに来ていた娘さんは驚く。
しかし怯む相手をものともせずに
M三郎さんは言ったそうだ。
「髪切ってくんない?」

実はSさんのドアには
お孫さんが作ってくれたというかわいいプレートが飾られている。
楕円に切った段ボールに、毛糸で描かれた“BarBa”という文字。
バーバ。おばあちゃんのことである。

おそらくそれを見て
M三郎さんは理髪店を意味する“バーバー”と思ったのだろう。

愛すべきおとぼけM三郎さんにしては
なんとも知的な勘違いではないか。

食事をしたこともすぐに忘れるほど認知症の進んできたM三郎さんだが
髪を切りたい!と思ったら一日も我慢できないなんてところは
私たちとオンナジだ。

無理だよ!

2014-05-22 01:15:43 | 日記
我が施設で「ゲーム教室」がスタートした。
体操教室や音楽教室と同じように
退屈している高齢住人のためにお楽しみを!というわけである。

ゲームの内容は麻雀と囲碁将棋で
わからない人のために先生が指導してくれる。

そしてきのうは2回目のゲーム教室。
援助の合間にわずかな時間が空いたので
ちょこっと覗いてみた。
2つの雀卓を4人ずつで囲み
その周りに数人のギャラリーが見学している。

先生が席についている雀卓は、スムーズに展開しているようだ。
しかしもう一つの雀卓を覗いてみたら
ありゃりゃりゃりゃ! なんてこったぃ???

4人のメンバーのうち
一人は認知症がかなりすすみ
一日中「何がなんだかわかりません」と言って徘徊しながらも
その耳元で“麻雀”とささやくと「うふふふふ」と笑うK子さん。
(入居一ヶ月になるが、未だこの“麻雀”という言葉にしか反応しない)
そして、残りの3人はというと
認知症の初期症状を抱え、しかも
麻雀はやったことがない!という方たち。

そんな4人が、なぜか雀卓を囲んでいる。
無理だろーが!?

途中までは先生が指導してくれたらしく
それぞれ、手元に麻雀パイを積んでいる。
しかし、思わず我が目を疑う。
手元の牌が異常に多いのだ。
トランプのポーカーで言えば
持ち札が5枚のところ、7枚も8枚も持っている、というわけである。

たまたまひょっこり顔を出してしまった私に向かって
K子さん以外の3人が「教えてくださ~い」という眼差しを向ける。
(K子さんは重度の認知症とは思えないほどシャキッとし
賭博師さながらの顔つきだ)

困った。ここに長居するわけには行かぬ。
けれども、認知症でも何か楽しいことしたい!と集ってきたこのメンバーを
いったいどうすりゃいいんだ!?
実は麻雀大好きな私であるが
このメンバーに、短時間で麻雀を教えられるはずもなく・・・

他の仕事が待っている。
私を待っている利用者さんがいる。
「ごめんなさい、私、行かなくちゃならないから」
断腸の思いで去ろうとしたら
じゃ、とりあえずジャンケンしましょうか?
だなんて会話が背中越しに聞こえてくるではないか。

ジャンケンしてどーするよ!?

自分の援助を他のスタッフに頼み
4人の席を回っていい加減な麻雀をしながら
汗だくでゲームオーバーに持ち込む。

K子さんじゃあないが
何がなんだかわからない1時間であった。


ラクこそ夫婦生活の条件

2014-05-17 22:48:15 | 日記
これだけは見逃せない!というドラマがない。
いやそれ以前に
朝番・遅番・夜勤というシフト制の仕事に就いたものだから
決まった曜日・時間にテレビを楽しむことができなくなってしまった。
(ついでに言うと、DVDプレイヤーの録画機能が壊れて久しく
テレビが壊れたらそのときこそ・・・と思いながら今に至る。
まあ、どの道録画してまで見たい番組はないのだけど)

しかし、時折り恐ろしくヒマな夜があったりする。
小説も読んではいるが
たまにはテレビを見ながら笑ったり怒ったり、したい。

ならば動画配信を利用すれば?と、息子。
そうか、そういう手があるかと
さっそくあれこれ比較し
Huluというサイトをお試ししてみることにした。

海外ドラマに強い!という触れ込みどおり
面白そうなものがたくさんラインナップされており
きのうから夢中になっている。

さておっさんも私もともに休みであった今夜。
一応テレビの番組欄はチェックしたが
面白そうなものはない。
だったらこれこれ、と私はリビングのテーブルでノートパソコンを開き
動画配信で海外ドラマを見はじめた。
するとおっさんもおもむろにお宝であるi-Padを持ち出し
無料動画で見はじめた様子。

50代半ばの夫婦が同じリビングで憩いながら
それぞれノートパソコンとi-Padのディスプレイに目を釘付けにしている。
しかも
おっさんが見ているのは「トキメキ成均館スキャンダル」 という
韓国の青春コメディードラマで
私が見ているのは「ウォーキング・デッド」という
人間対ゾンビのアメリカドラマ。

ヘンだよなあ・・・

でも、若いころは互いの趣味、嗜好に付き合っていたけれど
結婚して30年も過ぎると
同じ空間にいながら違うことが楽しめる。
趣味、嗜好がぜんぜん違っても、それが苦でなくなる。

ヘンな奴!と、おっさんを見て思うことも少なくないが
もう愛や恋じゃあないのよ
“ラク”こそ最大の生活条件なのよ。


56回目の誕生日に寄せて

2014-05-15 01:00:32 | 日記
お陰さまで、56歳である。

実の母が同じ年であったころはどんなであったか。
27歳で私を産んだ母は
56歳のとき、1歳だった私の息子の子守り役を買って出て
“おばあちゃん”として安穏とした日々を送っていた。

当時私はフリーライターとして忙しく仕事をしていたのだが
家に帰ると
母と息子はぬくぬくと炬燵に足を伸ばしながら
「水戸黄門」なんぞ見ていたっけ。

思わずぞっとする。

56歳で孫と戯れることが生活の中心だなんて
ジョーダンじゃないぜ。

あのころ母は、パートで勤めていたクリーニング店が
コンピュータを導入したのについていけなくなって
仕事を辞めたばかり。
仕事や生きがいやお金がなくても
夫(駆け落ちして再婚したので私の父ではない)と孫さえいれば
それで満ち足りているようだった。

やだよ、そんなの。

孫は、かわいいらしい。
同世代でも孫を持つ人たちが増えてきたし
彼女たちの話を聞けば
きっと子どもとは違う愛おしさがあるんだろうと思う。

でも、やだよ、そんなの。

私はまだまだ、自分の人生を生きたい。
50代半ばで引退なんて
ジョーダンじゃあないぜ!