IE Business School留学記(Class of 2017)

スペインのマドリッドにあるIE Business Schoolでの留学記です。受験時から生活のことまで書き綴ります。

Lab Period 総括②

2017-07-18 11:41:26 | MBA授業
ビジネスインパクトラボでは学校側から勝手にグループが割り当てられ、課題を進めていくことになる。
今回のメンバーは下記の通り。


日本人(男)
スペイン人(コンサル出身・男)
アメリカ人(医療系分野出身・男)
モロッコ人(IT系出身・男)
ブラジル人(コンサル出身・女)


皆今までとはセクションが違うので、組んでみるのは初めてのメンバー。
一応以前から知ってるメンバーもいたものの、基本的にはまた1からのスタートである。


ラボ期間は意外と授業量が多く、1日4コマとか入る日もざらにある。
5週間という限られた期間で、一定の成果を出す必要があるので、それなりに詰め込みにせざるを得ないのかもしれない。
授業以外にもコンサルの事務所に行って話を聞いたり、
Telephonica傘下のインキュベーター企業に話を聞きに行ったりと課外活動もあり、
それなりに毎日が早く経過してしまう。


一応ビジネスインパクトラボでは毎回会社の課題に合わせたお題がコーポレートチャレンジという形で提示され、
それに対して最終的にグループとしての提案を行っていくというのが一番の目標となる。
今年の課題は「The Circular Economy」に関わる提案を行うというものだった。
循環型経済とでもいうのであろうか?元々コンセプト自体あまり知らなかったのだが、
それをこの通信会社にどのように当てはめるのかというところでより皆混乱させられた思いが強い。
どうやら会社の既に保有する使われていない資産(遊休不動産、3G通信網等)を活用して、
何か新しいビジネスを提案してほしいということであったようだ。
ビジネスインパクトラボのある意味悪い点でもあるのだが、
このお題があまり面白くないと、そもそもラボ期間自体の最大のチャレンジが面白くなくなってしまう。
実際今回はあまり面白くなく、皆からの評判も正直良くなかった。


結局のところ、コンサルプロジェクトといっても会社を改善するというよりも、
新しいプロジェクトを提案するというところに主眼が置かれ、
なんだか制限のあるスタートアップラボといった印象をどうしても受けてしまった。
途中で実際のコンサルの人がメンターとしてつき、週1回相談をするという機会が設定されているのだが、
この制限がよく分からない、つまらないといった具合のことをグループで発言したメンバーがいたのだが、
それに対してこういったことはコンサルならばよくあると回答され終了。
本当にそうなのか分からないので、何となく納得のいかないまま皆最後まで走ることになった気がする。
これなら制限なく、好きなプロジェクトを、好きなメンバーでチャレンジ出来るスタートアップラボのほうが、
正直最終課題へのモチベーションという意味では高くなるのは仕方ない気がする。


ラボ期間中には一応授業も行われ、既存企業における人事論や交渉術、コーポレートガバナンスといった、
会社の変革者として求められるような知識を教える授業もあったのだが、
実は授業の大半はIT系の最近の知識(ビッグデータ、デジタルインターフェイス等)やそのビジネスでの活用方法についてや、
リーンスタートアップといったアイディア出しからビジネスに繋げる手法について等、
どちらかというとコンサル体験を主眼とするビジネスインパクトラボで学ぶべきことなのかというのが、
イマイチ腑に落ちない授業も個人的には多かった。(別にそれらの手法や知識を否定するものではないが・・・)
多分これもよりIT系の知識が求められる現代の企業に対する変革を与えるための知識等を、
生徒に与えようという考えから設定されたのだろうが、あまりにデジタル寄りになってしまった感は否めない。
実は今後は新たなラボとしてそういったIT寄りのことにより特化したラボが設定されるようなので、
そういった事を学びたい人にはより集中的にそういった事を学ばせ、
旧来のコンサル的なことをやりたい人にはよりそういった知識や手法をといった具合に、
ラボの授業の再編成も今後はあるようなので、これを読んでビジネスインパクトラボは避けようというのは短絡的かもしれない。


ラボ期間の頃になると、生徒の中には就活を進めだし、
日中でも面談等が入ってきてしまうことや、会社へのレジュメの作成などが忙しくなる者も多くなってくる。
また世界のMBAで優秀な成績を収めた人達が入れるベータ・ガンマ・シグマという団体があるのだが、
その成績(全体のTop20%)というのはコアのTerm1とTerm2までの成績で決定されるので、
ここから先の成績はその団体に入るためには影響しなくなるというのもあり、
それまではかなり頑張っていたにも拘らず、ラボ期間になってから手を抜き出す生徒も実際増えてくるのだ。
(一応それを防ぐためかは知らないが、学校独自のTop10%に入る生徒を表彰する制度があるが、
 そちらはラボ期間、エレクティブ期間を含めた成績での評価となっている)


今までのグループでは正直フリーライダーというのはいなかったので、
あまりそういった生徒がいることに気を付けたこともなかったのだが、
今回のラボ期間からグループワークの時間に集まると言ってるのに来ない、
課題をやらない、でも後から意見だけはするといったことをするメンバーが実際同じグループにいて、
今までそういった経験をしていなかった分かなりのストレスを感じた。
コアの時期にそういったことが発生するグループはよくあると聞いていたので、
自分のところにそれが無かった分ラッキーだと思っていたら、ラボ期間でこれである。
そのため正直グループ内の雰囲気はそこまでいいものではなかった。
それが最終的に最終課題への取り組みの差、出来栄えの差に繋がってしまった気もする。


こういった事態が発生した時に、どこまで軌道修正しようとコミットするのか、
それは人それぞれかもしれないが、そこがリーダーシップの差であり、主体性の差なのかもしれない。
正直日本人でこういった時に上手くコミットできているメンバーはそこまでいないのではないだろうか。
それが文化的な物なのか、言語能力的に難しいのかは議論の余地があるのかもしれないが、
それで結局不満をためるのは自分自身なので、本来ならば解決する方がいいことではあるとは思う。


ラボの最終日にTelephonicaの本社で、その社員に対して自分たちの提案を行い、
そのプレゼン、内容、展示手法等が総合的に評価され、
クラスの最優秀提案と、全体としての最優秀提案がプレゼン後1,2時間程度で最終的に発表され、ラボ期間は終了となった。


うちらの案は当然それに選ばれることもなく終了。
閉会式の時には全体の6割程度の生徒しか残っておらず、
これなら自分も午前中で抜け出して、早めの飛行機で日本に帰れば良かったとある意味後悔した。
(ラボ期間が終わると1週間のイースター休暇となるので、皆旅行の予定を入れている)
何となくそれほど満足感の得られないラボ期間であった。




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