夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

きみにしか聞こえない

2007年07月26日 | か行の映画
Story
傷つきやすく内気な女子高生、リョウ(成海璃子)。友達のいない彼女はケイタイも持っていない。そんなある日、公園で拾ったおもちゃのケイタイから着信音が流れる。それは、見知らぬ青年シンヤ(小出恵介)からの電話だった。この時から、ずっと孤独だった2人の、不思議な交流が始まる。頭の中に直接聞こえてくる声で“電話”するうち、2人の心は打ち解け、互いの存在に励まされるようになっていく。そしてついに、2人は実際に会う約束をするのだが…。(goo映画より)
2007年/日本/荻島達也監督作品





評価 ★★★★

人気作家・乙一の感動作を、荻島達也監督がみずみずしい映像で映画化。

今、映画やドラマで活躍中の成海璃子ちゃん主演の映画ということもあって、ぜひ観に行きたいと思っていた作品でした。成海璃子ちゃんの出演している映画は今までに1本も観たことがなかったので、初めて観たことになります。

さて、感想はというと、実年齢よりもずっと大人っぽく見える女優さんですね。今回の映画は、頭の中でケイタイがつながるという設定なので、喋らないで表情だけで表現しないといけないのですが、成海璃子ちゃんの抑えた演技が、主人公リョウの気持ちをとても上手く表現していたと思います。
ケイタイがつながる相手・青年シンヤを演じた小出恵介もとても良かったです。彼は、「のだめカンタービレ」の真澄ちゃんや「キサラギ」のスネーク役など、コミカルな演技がとても上手いのですが、こういった静かな落ち着いた青年役もハマっていてとてもいいですね。成海璃子ちゃんと同様、これからの活躍が楽しみな俳優さんだと思いました。

物語の方は、ゆったりとしたテンポで進んでいくので、ハリウッド映画のような展開の早い映画に慣れている方は、ちょっとイラッとくるかもしれません。私は、このスローなテンポがとても心地よかったので、物語の世界にどっぷり入り込むことができました。
また、リョウとシンヤが頭の中のケイタイでコミュニケーションしていくうちに、お互いが少しずつ変わっていって、自信を取り戻していく過程がとても上手く描かれています。
シンヤが捨てられた物に愛着を感じて、もう1度修理して使えるようにしてあげるというシーンがあるのですが、彼の温かい優しい人柄が伝わってきて良かったです。シンヤがこういう優しい人だったから、傷つきやすくて内気なリョウも、シンヤからの働きかけで、このままではいけないと自分を変える努力をしていく様子が違和感なく観れましたね。

リョウとシンヤ、二人はそれぞれ横浜、長野に住んでいるので、リョウの住む横浜で、二人は実際に会う約束をするのですが、このクライマックスの出会いのシーンがとても良かった。二人の頭の中のケイタイには、なぜか1時間の時差があり、リョウの方が1時間先に進んでいるのですが、その二人の時差が、クライマックスの展開にかえってくる構成は見事です!時差があるという設定で、このクライマックスがとても見応えのあるシーンになっていて、また泣ける感動的なシーンに仕上がっています。このクライマックスの盛り上がりで、今までスローなテンポで流れてきたこの映画を、ビシッと引き締めたように感じましたね。このクライマックスを観るだけでも、この映画を観る価値あり!です。
また、DREAMS COME TRUEの音楽も、この映画の優しい雰囲気にぴったり合っていて、余計にせつない気持ちになります。

ただ、ひとつあれ?と感じたのは、もう一人の頭の中のケイタイがつながる相手・片瀬那奈さん演じる女性の存在ですね。彼女の存在は、リョウを励まし、勇気づけるという役割で劇中に登場するのですが、正直、あまり必要性のないキャラクターのようにも感じました。というのは、その女性は未来のリョウではないか?と思わせるようなシーンがあって、もし、未来のリョウなら、過去のリョウとシンヤの結末を知っているハズなのに、どうしてリョウをシンヤに会いに行かせたのか?、普通、悲しい結末を知っていたなら、過去を変えるようにするはずなのに、なんだか辻褄が合わないような気がして、かえって物語を混乱させるキャラクターのように感じましたね。

ところで、シンヤの住んでいる長野は、大町市というところが舞台になっているようです。JR海ノ口駅などが劇中で登場しますが、本当に実在する駅だそうで、けっこうマニアには人気のある駅みたいですね。その他にも木崎湖畔など、長野の美しい景色が映し出されますが、私は長野在住なのに大町市には行ったことがなく、この映画を観て、いつかぜひ行ってみたいと思いました。
公式サイト:長野県大町市観光協会
それにしても長野って、豊かな自然に恵まれているせいか、映画の舞台になることが多いですね。


映画『きみにしか聞こえない』公式サイト


(「きみにしか聞こえない」2007年7月 松本 アイシティシネマにて鑑賞)

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7 コメント

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さっそく遊びに来ました ()
2007-07-27 12:55:15
nyancoさんは どう思われたのかな?
と早速 感想を読みにお邪魔しました♪

そうなんですよね
なんか違和感があったのは
もしも彼女が未来の彼女なら・・?
と 私も 思ったからなのです。
でも タイムスリップ的な映画がたくさんつくられてますが
ヒトが死ぬということは変えられない
という映画が ほとんどのような 気がしますね。
返信する
こんばんは~♪ (nyanco)
2007-07-30 18:19:33
猫さん、こんばんは。
早速、遊びに来て頂いて嬉しいです!

やっぱり、猫さんも違和感を感じられましたか。。
彼女が未来のリョウなのでは?と思わせるようなシーンがあったので、なんとなく話がごっちゃになってしまいました。。^^;
本当に、タイムスリップ的な映画、最近多く見かけますが、
ヒトが死ぬ運命を変えてしまったというのはあまりないですよね。。
運命というより未来を変えてしまうから、やっぱり変えないようにしているんでしょうね。。
返信する
こんにちは♪ (ミチ)
2007-08-02 09:28:28
期待せずに見たのが良かったのか、結構ツボに入ってしまって、あまり泣かない私がじんじん来てしまいました。
見ている間、映画のスローテンポにゆったりと身を任せていたような気がします。
うちの息子は塩尻にいるんですけど、長野は自然がいいですよね~。
ロケ地に選ばれるのも分かる気がします。
返信する
こちらも (こーいち)
2007-08-02 17:38:28
TBありがとうございました!
この映画大好きでした。
ゆったりした優しい空気の流れる作品ですよね。
僕も最初は片瀬那奈さんの存在意義が分からなかったんですけど
後から考えると、辛い事もあるけどいつか幸せになる日がくるよ
というメッセージなんだと受け取りました。
未来のりょうは結婚してピアノを弾いて幸せな日々を
過ごしてるようでしたし。
どんなことをしても結局シンヤの結末は変えられなかったんじゃ
ないかなぁ。
返信する
ミチさんへ♪ (nyanco)
2007-08-03 17:06:17
ミチさん、こんにちは♪
息子さん、塩尻にいらっしゃるんですか。
実は私は岡谷市に住んでいまして、塩尻はすぐ近くです。
長野は本当に自然が豊かなので、ロケ地に選ばれるのも分かるような気がします。(^^)
私もあまり期待してなかったせいか、思ったよりずっと良い作品だったので、観に行った甲斐がありました!
特に、クライマックスのリョウとシンヤのやり取りは、せつなくて泣けましたね。。
返信する
こーいちさんへ♪ (nyanco)
2007-08-03 17:18:10
こーいちさん、こんにちは♪
こちらにもコメントどうもありがとうございました。

私もこの映画、思ったよりずっと良くて、観に行った甲斐がありました♪
映画全体に流れる優しい空気がとても心地良かったです。
この映画を観て、成海璃子ちゃんの他の作品も観てみたくなりましたね。

片瀬那奈さんの存在意義は、なるほど、そうかもしれないです!
彼女が未来のリョウだとしたら、今では幸せな毎日を送っているので、過去のリョウへのメッセージを送る役割として登場したのでしょうね。(^^)
シンヤについては本当に残念ですが、未来のリョウも過去を変えることはできないって分かっていたのかもしれません。
うーん、なんだか切ないですね。。
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(〃⌒ー⌒)/どもっ♪ (miyu)
2007-08-21 23:36:44
そうそう!ドリカムの主題歌も良かったですよね。
片瀬さんはてっきり未来のリョウだとあたしは
思って見てたのですが違うのかな?
未来を見据えた物言いはするものの
確かに変えようとはしてませんでしたよね。
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