K-20（TWENTY） 怪人二十面相・伝

Story
1949年の架空都市＜帝都＞。19世紀から続く華族制度により、極端な格差社会が生じる日本で、世間を脅かしている強盗がいた。“怪人20面相”と呼ばれるその強盗は、富裕層だけをターゲットとし、美術品や骨董品を魔法のようなテクニックで、次々と盗み出すというのだ。頭脳明晰でこれまでも数々の事件を解決してきた探偵、明智小五郎（仲村トオル）は、サーカスの人気曲芸師、平吉（金城武）が謎の怪人20面相＜K-20＞だと疑い、捜査を始めるが…。（goo映画より）
2008年/日本/佐藤嗣麻子監督作品





評価　★★★★☆

『ヴァージニア』の佐藤嗣麻子監督が手掛ける一流エンターティメント映画！

当初は観に行く予定はなかったのですが、この映画を観たブロガーさんの評価がどれも高かったので、wancoと一緒に観てきました。
さて、感想はと言うと、やはり思っていた以上に面白かったです。何と言ってもアクションがすごい！
日本のアクション映画って外国映画に比べるとスケールが小さくて、どうも子供だましのように思えてしまうのですが、この映画は外国映画にヒケをとらない、とても見応えのあるアクション映画に仕上がっていました。

特に、金城武演じる平吉と、怪人20面相が高層ビルの屋上で繰り広げるバトルは、手に汗握る興奮でとても格好いいアクション・シーンでしたね。
VFXも、さすが山崎貴監督の「ALWAYS」のスタッフたちが手掛けているだけあって、臨場感溢れる素晴らしい映像でした。

ただ、いつも不思議に思うのが、金城武って日本映画に出演すると、どうして演技が下手に見えてしまうんでしょうか？（ファンの皆様、ゴメンなさい。。）というのは、外国映画だと演技もしっかりしているように見えて、そんなに違和感がないんですよね。やはり日本語で演じているからでしょうか？
でも、金城武はさすが世界的なスターだけあって、その華のある抜群の存在感は、こういうエンターティメント映画の主役にぴったりですね。
演技は上手くても日本の若手俳優を起用していたら、どこかこの映画のスケール感は小さくなっていたように思います。

その他には、ヒロイン役の松たか子のコメディエンヌぶりも面白かったし（ちょっと色気が足りないのが難ですが）、明智小五郎を演じた中村トオルは、ニヒルな感じの演技で悪役が板についてきましたね。
中盤、ちょっと中だるみするところもありますが、137分という尺の長さを感じさせない、最後まで一気に楽しめた作品でした。
日本映画でも、こういった一流のエンターティメント映画が出来てきたことは本当に嬉しいですね。





評価　★★★☆☆

ネタバレ注意！！

ヒーロー映画の方程式通りに、盛り上げるべき所でちゃんと盛り上げて作ってあるので、面白く観る事ができました。方程式通りと言っても、そのように作るのって意外に難しいですからね。

まず、ツングースカの大爆発をニコラ・テスラの発明に結びつけたのが上手い設定だと思います。（実際のツングースカ大爆発は、石質隕石の衝突説が有力でテスラは関係ないですが。）
そのテスラの発明品はどこに？という謎解きが、中盤からのサスペンスを盛り上げます。その謎を解く鍵が、バベルの塔の絵の中に隠されているのですが、この二重三重に仕組まれた謎を解いて行く過程も興味深く描かれていました。
クライマックスでは、そのテスラの巨大な発明品がガガーッと盛り上がって来て、怪人２０面相との最後の対決となるのですが、ここもツボを押さえた演出で良く出来ていました。

使い方次第では平和目的に利用出来る装置も、それを使う人間に悪意があると破壊兵器になってしまう。というわけで、結局、装置を破壊してしまう訳ですが、ここがバベルの塔の寓話とうまく重ね合わされていましたね。

SFXを駆使した架空都市の描写も上手く出来ていて、冒頭の飛行船の場面からつかみはOK。
この映画が今後の日本製アクション映画を盛り上げるきっかけになってくれるのを期待したいですね。


映画『K-20（TWENTY） 怪人二十面相・伝』公式サイト


（「K-20（TWENTY） 怪人二十面相・伝」2008年12月　岡谷スカラ座にて鑑賞）