ナースいこのアメリカCNS&NP留学記

日本の看護師が、アメリカのがん看護CNS&NPを取得する大学院に通う留学の日記

中途半端

2010-02-20 10:33:21 | CNS&NP議論
特定看護師制度について、今日あらためて考えてみた。何だか中途半端じゃない?

今の日本で必要な制度なのかな???昨日は喜んだけど、冷静になり頭の中が???となっている。

患者さんへのメリットが見えてこない。。。忙しくてすぐに対応できない医師に代わって、すぐに対応できる???医師の包括的指示のもとに、医療を行うのであれば、今までのナースの仕事をしながら、するってこと??ナースはさらに忙しくなるじゃないかな??

まだ詳細は煮詰めないといけないようだから、見守っていきたい。

特定看護師制度が始まる

2010-02-19 13:53:00 | CNS&NP議論
今の保助看法の枠を超え、経験のある看護師の裁量権が広がる可能性が出てきた。厚労省の検討会で昨日話し合われた。http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0218-9.html

まだ仮称だが、特定看護師と呼ばれるかもしれない。医師の指示内である程度の高度な医療行為ができるようになる。

アメリカのNPとは異なるが、看護師が自律するという観点ではうれしいことだ。ただ、医師の「包括的指示」のもとでという制限つき。処置や検査の項目を見ると、PAなのか?と思ってしまった。はたして創部のドレーン抜去を喜んでしたいと思うナースが、日本にどれくらいいるのだろうか?抜くかどうかの判断まで任されるのなら、高度なアセスメント能力が必要になるから、うれしいことだ。ただの処置係りにならないことを願いたい。

がんの分野では、薬剤選択と使用の項目は歓迎すべきだろう。がん看護ナースとして、薬剤を使用した症状マネジメントに、特に介入できるようになるのはうれしい。だけど、薬剤処方までは言及されていないから、アセスメントして必要だと思う薬は、今までどおり医師に処方してもらわなければならず、賛成してもらえなければ、自分の意見は却下されるわけだ。

さてどうなるか。日本のナースの自律に向け、うれしい第一歩が踏めそうだ。

PS:アドバイザーTにメールで知らせたら、1分もしないうちに返信が来て、一緒に喜んでくれた。

がん看護NP役割拡大に関する論文

2010-02-03 10:01:24 | CNS&NP議論
ASCO(アメリカがん学会)が発行している、Journal of oncology practice という雑誌の今月号に、主にがん看護NPの役割拡大や課題に関する論文が掲載されている。http://jop.ascopubs.org/cgi/reprint/6/1/2

以前にも書いたが、がん看護CNSとNPの全米で通用するライセンスはまだない。がん看護を専門にした資格は、がん看護学会(ONS)が発行している認定資格だけだ。

だから「がん看護」を専門にしていると公言するには、CNSはONSのAOCNS認定試験、NPはAONP認定試験を受ける必要がある。

うちの大学ではNP学生は、成人NP(ANP)試験を受けるように進められている。これを取れば、全米規模でNPとして認められるから。そして就職先を見つけて、それからAONP認定試験を受ける人が多い。ややこしい??

逆に考えれば、大学院でどんな分野のプログラムで勉強しようと、成人NPのライセンス試験の受験を与えられれば(たとえばがんでない普通の成人NP、成人急性期プログラムなどを出ていれば)、ANPになれるわけで、がんの分野でNPとして働くことができてしまう。まあ、採用されるかは別問題だが。

前学期の実習先に、一人はファミリーNPからがん、もう一人は成人急性期NPからがんに転向したNPが働いていた。二人ともANPであるから、ライセンス上では問題はなく、ONSのAONP試験を受ける必要もなかったらしい。

わかっていただけただろうか?がんの分野のNPはまだ新しい方なので、全米規模のがんを特化したNPライセンスはまだ存在しないのだ。これは問題だと思う。

チーム医療議論

2009-11-06 12:32:54 | CNS&NP議論
チーム医療に関して、こんな報告があった。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/06/110672/?Mg=789025f6bbff1c63770b02e3d8064d02&Eml=259a5091be3b87af83790a25d467ef80&F=h&portalId=mailmag 読むには無料の会員登録が必要です。

チーム医療を推進するには、制度か意識か、あるいはコストに注目すべきか。次回の検討会でNPについての議論が行われるようだ。

以前上野先生のブログに書かれたことについて、このブログでも書いたが、チーム医療には意識改革が一番大切だと思う。http://blog.goo.ne.jp/nurseiko/e/2397ed2c4a32959fb94179d80f77100b

私が働いたがんセンターでは、全職種が同じ目標(患者へのベストな医療&看護)に向かい一丸となっていた。新しい病院だったこともあり、病院の理念にも掲げられていた。チーム医療をしていることに対し、診療報酬がたとえ加算されたとしても、そこに携わる人の意識が伴わなければ、真のチーム医療は成り立たない。まさに形だけに終わってしまう。途中から入職し、チーム医療の真意がわからず(意識がなく)、チーム医療を乱し退職を余儀なくされた医師もいた。

チーム医療を推進するには、莫大な費用がかかるようだ。このがんセンターでも毎年数十億の赤字を抱えていた。それでも院長は、チーム医療をするには、これだけのコストがかかると政府に示したいと言っていた。日中は、皆が患者ケアにあたるので、多職種で会議をするのは、どうしても時間外になる。チーム医療の聞こえはいいが、それに携わる人の負担は莫大なものだった。

NPがいなくても、チーム医療は成り立っていた。それは、皆が同じ目標に向かっていたから。

日本にもNP制度ができたらいいと切実に思う。CNSと助け合い、相乗効果となり、より良い医療と看護を提供できると思うから。

チーム医療をしていた病院で働いた者として、NP制度議論とチーム医療推進議論は、同じ土俵に乗せると混乱を招くと思う。日本にもチーム医療をしている医療機関はたくさんある。新しいNP制度を作ることだけに精を出すのでなく、チーム医療を達成させている要因を吟味することが必要ではないだろうか。

CNSとNPの役割について思うこと

2009-10-14 18:53:46 | CNS&NP議論
今の実習先のプリセプターEは、元CNSのNPだ。彼女の仕事ぶりを見てきて、CNSとNPの役割の違いが見えるようになってきているように思う。だけど、はっきりと区別しなくてもいいのだと思うようになってきている。

たとえば、誰でもできるが、電話を受けるのは、受付の人の役割。
たとえば、バイタルサインは、RNもCNSもNPもDrも取れるが、アメリカでは看護助手の役割。
たとえば、患者さんを検査に移動させるのは、RNもCNSもNPもDrもできるが、アメリカではそれ専門の患者運び屋さんがする。
たとえば、シーツ交換は、RNもCNSもNPもできるが、アメリカでは看護助手の仕事。
たとえば、薬の説明は、RNもCNSもNPもDrもできるが、主に薬剤師さんの役割。
たとえば、患者教育は、RNもCNSもNPもDrもでき、誰もがしている。
たとえば、薬の処方は、(州によるが)CNSもNPもDRもできるが、主にNPかDrの仕事。
たとえば、診察は、CNSもNPもDRもできるが、主にNPかDrの仕事。
たとえば、スタッフナースへの教育は、CNSもNPもするが、主にCNSの仕事。
たとえば、患者さんの精神面の関わりは、RNもCNSもNPもDrも訓練を受けたボランティアもできるが、主にソーシャルワーカーがしている。

CNSやNPに限らず、患者さんに関わる人たちの役割はだぶっているところが多いのだ。

だけどそれでいいと思う。

だぶるところが多いほど、衝突することが多くても、意見を出し合ったり、たとえば薬の投与量を確認する人数が増えて患者さんへの安全が高まったり、それにいろいろな人が関わることで、質の高い医療が提供できると思うから。

患者さんへ最高の医療を提供するという目標は同じだけど、それまでの到達方法が職種によって違うのだと思う。

CNSは、スタッフ教育などを通して、ナースに限らず、患者さんに直接関わるレジデントへの教育もして、その人たちの知識や能力を高めることで、間接的に患者さんに最高の医療を提供するのが主な役割。そしてこの医療にかかわる人たち全体の流れを良くすることも役割。

NPは、直接患者さんに接することで、患者さんに最高の医療を提供するのが主な役割。

NPがCNSの上の資格であるかのように捉えられているようだが、同じ教育背景を持つ高度実践看護師である。最高の医療への関わり方が違うだけだ。

CNS学生2年生を始めたばかりの私が思ったことを綴ってみた。