事件番号 平成24(ワ)6896
事件名 商標権侵害差止等請求事件
裁判年月日 平成25年01月24日
裁判所名 大阪地方裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 谷有恒、裁判官 松川充康,網田圭亮
第2 事案の概要
本件は,本件商標権を有する原告が,別紙被告標章目録記載1,2の標章(以下「被告標章1」,「被告標章2」という。)を使用した被告の美容室の営業が原告の商標権を侵害したと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,金44万1000円及びこれに対する不法行為の後である平成24年7月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である(なお,原告は,被告標章1,2の使用等の差止め,廃棄も請求していたが,これらの請求については,訴えの取下げがされた。)。
第4 当裁判所の判断
・・・
(3) 損害額
ア 上記(1)イのとおり,被告は,本件商標が登録された平成23年9月30日から平成24年1月まで(4か月間)の被告店舗1での営業については,本件商標権を侵害したものと認められる。
イ 原告は,本件商標の1か月当たりの使用料相当額は3万5000円であり,同金額の損害が生じたと主張する。
この点,美容室のフランチャイズ事業の中には,1か月当たりのロイヤリティとして,10万円(「Beautissimo」),売上げの5%(「mod’s hair」),15万円(「Family Salon SEASON」)などと定めるものが認められるが,フランチャイズ事業の加盟金及びロイヤリティには,商標使用のみならず技術上及び営業上のノウハウ使用等の対価としての意味合いも含まれることからすれば,上記金額の全てを商標使用の対価とみることはできず,また,上記各フランチャイズはいずれも世界各国及び日本全国で事業展開されていることからすれば,本件商標の使用料相当額を上記フランチャイズと同等とみることもできない。
本件において,原告は子会社を通じて大阪府内で2店舗を経営しているところ,これらの店舗は雑誌で広告宣伝されていることが認められるが,その雑誌の多くは対象を関西圏に限定したものである上,そこでは多数の美容室が同時に紹介されており,原告又は原告の子会社の店舗はそのうちの一つにすぎないことからすれば,本件商標が,他の美容室との差別化を図るほどの強い顧客吸引力を有していたとまでは認められない。また,原告はフランチャイズ事業に専念している旨主張するが,その規模,事業計画等についても不明であり,具体的なフランチャイズ事業の内容等を認めるに足りる証拠は提出されていない。
これらの事情に鑑みると,本件商標の顧客吸引力を高く評価することはできず,本件商標使用による損害額は,1か月当たり5000円とするのが相当である。
事件名 商標権侵害差止等請求事件
裁判年月日 平成25年01月24日
裁判所名 大阪地方裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 谷有恒、裁判官 松川充康,網田圭亮
第2 事案の概要
本件は,本件商標権を有する原告が,別紙被告標章目録記載1,2の標章(以下「被告標章1」,「被告標章2」という。)を使用した被告の美容室の営業が原告の商標権を侵害したと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,金44万1000円及びこれに対する不法行為の後である平成24年7月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である(なお,原告は,被告標章1,2の使用等の差止め,廃棄も請求していたが,これらの請求については,訴えの取下げがされた。)。
第4 当裁判所の判断
・・・
(3) 損害額
ア 上記(1)イのとおり,被告は,本件商標が登録された平成23年9月30日から平成24年1月まで(4か月間)の被告店舗1での営業については,本件商標権を侵害したものと認められる。
イ 原告は,本件商標の1か月当たりの使用料相当額は3万5000円であり,同金額の損害が生じたと主張する。
この点,美容室のフランチャイズ事業の中には,1か月当たりのロイヤリティとして,10万円(「Beautissimo」),売上げの5%(「mod’s hair」),15万円(「Family Salon SEASON」)などと定めるものが認められるが,フランチャイズ事業の加盟金及びロイヤリティには,商標使用のみならず技術上及び営業上のノウハウ使用等の対価としての意味合いも含まれることからすれば,上記金額の全てを商標使用の対価とみることはできず,また,上記各フランチャイズはいずれも世界各国及び日本全国で事業展開されていることからすれば,本件商標の使用料相当額を上記フランチャイズと同等とみることもできない。
本件において,原告は子会社を通じて大阪府内で2店舗を経営しているところ,これらの店舗は雑誌で広告宣伝されていることが認められるが,その雑誌の多くは対象を関西圏に限定したものである上,そこでは多数の美容室が同時に紹介されており,原告又は原告の子会社の店舗はそのうちの一つにすぎないことからすれば,本件商標が,他の美容室との差別化を図るほどの強い顧客吸引力を有していたとまでは認められない。また,原告はフランチャイズ事業に専念している旨主張するが,その規模,事業計画等についても不明であり,具体的なフランチャイズ事業の内容等を認めるに足りる証拠は提出されていない。
これらの事情に鑑みると,本件商標の顧客吸引力を高く評価することはできず,本件商標使用による損害額は,1か月当たり5000円とするのが相当である。