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中世の港町ライ/イプラ・タワーとランドゲート・アーチ

2015-05-12 | 2015年春、英国の旅
■4月21日 続き■

ラム・ハウスと教会を見た後はのんびり街を歩くことに。



教会の入口からまっすぐ道を降りていくと、マーケット・ストリートに出ます。
道に出たところには、ティールーム"Simon the Pieman"。
ちょうど観光客の若い男の子がスイーツを持ち帰りしていました。



この通りには、先ほど教会から見下ろした町議会の建物があります。



ここも"Mapp and Lucia"で肉屋さんとして出てきた場所。



入口近くには、撮影に使われたような荷車が置いてありました。



また、全く知らなかったのですが、住宅の中に、
シュールレアリズムの画家ポール・ナッシュが住んでいた家がありました。



小説家だけでなく、芸術家にも愛された街なんですね。
マーケット・ストリートにも、ショーウインドウを見るだけでも楽しくなるような雑貨屋さんが目立ちます。



やはり錨のデザインやマリン柄がよく見られますね。
お店の中も現代のドールハウスに入ったような雰囲気。



シンプルだけど、洒落ているデザインのカップや写真立て等の小物たち。
教会からまっすぐのびるライオン・ストリートには、レストラン"Tuscan Kitchen"がありました。



この時間は誰の気配もありませんでしたが、
覗いてみたら既にワイングラスや食器が並べられていて、
私とは無縁そうな、リッチなディナーが楽しめそうなところでした。



そういえば、イプラ・タワーにはどう行ったらいいんだ?
ロンドンのように、通りのそこかしこに道の名前が書いてあるわけではないので、
自分がどこにいるのか分からなくなってしまいます。
あちこちウロウロしていると、町議会の脇の道にイプラ・タワーの方角が示されているではありませんか。



道を進むと、ありました、イプラ・タワー。ライ・キャッスルとも言われています。
13世紀にフランスの侵略から町を守る為に作られた城塞ですが、
イプラというのは、この城塞を買い取った人物の名前だとか。



辿りついた時には既に入場は出来ない時間でした。残念。
("Mapp and Lucia"でジョージィーがここでイプラ・タワーをスケッチして、
 エリザベスに送ってましたね。ガラクタ市で売りに出されちゃったけど)



ちなみに、振り返ると教会の正面入口があります。



イプラ・タワーの傍には、イプラ・キャッスル・インというホテルもあります。



宿泊者?がホテル近くのベンチで談笑中。
このホテルも、ルチアとジョージィーが泊まった宿泊先で出てきたんですよねー。



階段を登ると砲台になっていました。海に向かって、たくさんの大砲が向けられています。



砲台だけあって、近くの家もCannon Houseと名前がついてます。
昔は戦いの拠点だったのでしょうが、今では観光客の一休みの場所となっているようです。
眺めもなかなかのもの!



ここから東側の道を辿っていくと、ランドゲート・アーチがあります。
イプラ・タワーと同様、フランスからの攻撃から街を守るため、
14世紀にヘンリー三世の命令で作られた門のうち、現存しているひとつ。



実は、旅に出る前にこの門についてのBBCの記事を見たのですが、
その内容はというと、ランドゲートに鳩の糞が大量に溜まっているために大掃除をしたというもの。
「巨大なチョコケーキの上を歩くようで、マスクをしてても酷い(臭い)」とか、
読んでいるだけで臭ってきそうで、歴史的建造物としてよりも、その臭いのイメージが強くなってしまいましたw

こんな話をした後に、チョコの話をするのは気が引けますが(笑)、
ランドゲートの近くに、小さなカフェ"Knoops"があります。
ネットの記事で見かけたことがあったので、思い切って中に入り、
看板にオススメされていたホット・チョコレートを注文。



「甘いのがいい?それとも苦いの?」
お店のお姉さんが訊いてきます。
(え、そんな指定がいるのか…。)
何も考えずに勢いで入ってしまったのでどんな味がいいのか全く分かりませんでした。
「オススメはありますか?」と訊くと、
お姉さんは少しずつ色味の違うチョコレートチップを小さいお皿に出してくれて、試食されてくれました。

始めは甘いチョコ、続いてビターな味のチョコ。
次に中間あたりの濃さのチョコを食べて、そこから少し苦めのチョコも試食。
「あ、これが好きかも」
好みの味だったのでそういうと、
「これはね、スペシャルなブレンドなの。あのメニューの真ん中にある味よ」
とボードの67%という貼り紙を指差し、私が指定したチョコを使ってマシンで飲み物を作ってくれました。

紙タンブラーを受け取り一歩店の外へ出て、
ホット・チョコレートを口に含むと、濃厚な味わいが口の中に広がり、
甘ったるさも苦みもなく、ちょうどいいまろやかさがありました。
飲む度に少しずつ、味に深みが出てきます。
店に戻ってお姉さんに
「すっごく美味しいです!」と感想を言ってしまった位に美味しい口当たりw

そんな幸せなチョコとの出会いを経て、門の下を潜りました。



鳩はそんなにいなかったけれど、それだけ長い年月をかけて現存しているってことなんですかねー。
その後、数多くお店の並ぶハイ・ストリートを東から西へ突っ切るように歩きました。



もう閉店していましたが、この道にもお土産やさんがあります。
大きな道路=A259線が近くなってくると、骨董品や絵画の飾られた店を多く見かけるようになります。
もっと早い時間にこのあたりを見られればよかったのですが、時すでに遅し…。



そして、北へ向かって歩いて行くと、ヘリテージ・センターがありました。ライの観光案内所ですね。
外にある大きな錨が目印。



近づいて扉を覗いて見ると、既にCloseしています。
ガラス窓から中を見ると、ライの文字が入ったお土産が沢山置いてあるじゃないですか。



時計を見ると17:30… 30分早ければ=ヴィクトリアで電車に乗り遅れなければ、
お土産見る時間があったのに…。
ここにきて、やらかしてしまったことに今更気付いたのでした。



アンティークの店、"The Quay Antiques and Collectables"も既に営業終了。
トホホ。もっと時間配分を考えておけばよかった。
道に迷い過ぎたのも時間のロスになっていたかもしれません。

このまま帰るのも忍びないので、最後にラム・ハウスに寄った時にはゆっくり見られなかった
マーメイド・ストリートの坂道を登って帰ることにしました。
この街だけでなく、英国の中でも特に美しいと言われる小道です。



密輸業者の巣窟だったことで有名なマーメイド・インもこの道にあります。



現在は密輸業者ではなく、宿泊客で中が賑わっている様子。
もう少ししたらディナー・タイム、というところでしょうか。

なかなかな傾斜のある坂道であり、玉石畳のマーメイド・ストリートは歩きにくくはありますが、
その道自体は穏やかな時間が流れていて、時の流れをわすれさせてくれます。
時の流れを忘れる街… だから時間配分が出来なかったんだよなー。



(ホント、私ってドジ。電車だって気をつけていれば乗り遅れることもなかったのに…)
お土産を見て廻れなかったことを嘆きながら、一人でブツブツ言いながら歩いていると、
道の先に一羽のカモメが立っているではないですか。



スッと立って、こちらをジッと見ています。
「お嬢さん、そんなにしょげなさんな」
なぜかそんな風に声が聞こえてきました(笑)。
「いいから、黙ってついてきな」



テクテク…いや、颯爽と先を進むカモメ氏の後をのろのろついていくと、
ラム・ハウスに通じるウェスト・ストリートまで辿り着きました。
マーメイド・ストリートの看板の下で立ち止まるカモメ氏。



「さあ、歩いてきた道を振り返ってみな。少しは気分が変わるはずだぜ」
そう言われて(?)今来たマーメイド・ストリートを振り返りました。



マーメイド・ストリートの古き良き家並みが、
夕方の陽の光を浴びて、キラキラと輝いてみえました。
誰一人歩行者はおらず、風もなく音もなく、ただ美しくそこにあるのでした。

ああ、そうか…。
今までも何度か憧れの場所を熱意だけを頼りに訪れに来たけれど、
今度もちゃんとここに来れたんだな…。
ホテルでは日帰り出来ないって言われたけど、ラム・ハウスも教会もたっぷり見られたし、
ドラマの撮影された場所もだいたい見て廻れた… 私としては上出来かな。

少し気持ちが晴れたような気がしました。
そして、周りを見回すと「あれ?」



いつのまにかカモメ氏がいなくなってる?
そうか… 凹んだ私を察して寄り道してくれたんだな。
ありがとう、カモメ氏。今日はもう元気に帰れそうだよ。
(オスかメスかは分からないけども。)

そうして、(途中がぶ飲みし過ぎたチョコレートで一瞬お腹を壊しつつも)
駅へと戻り、イーストボーンへと戻ったのでした。

ちなみに、夕方になると駅の正面扉は閉じて通れなくなります。
右側の線路近くの裏口からホームに出ることになるのでご注意。



ちょっと続く。

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