年金考(5)

2005-11-22 15:13:29 | 年金
これまで、世代間格差については、ふれましたが
今日は、システム間格差について。

以前、自民党が提案した「モデル世帯」は、
なにかと物議をかもしているようですが…
「一号被保険者」+「一号被保険者」の世帯と
「二号被保険者」+「三号被保険者」の世帯との比較
           一号+一号   二号+三号
月々の保険料     13300×2  二号の年収×0.1358÷2
2017年以降      16900×2   二号の年収×0.183÷2
65歳でもらう額   67000×2  二号の年収×0.5    

で、2004年に40歳の二号がいて、年収が、現在470万円だとする。
厚生労働省はそう仮定している。
月々の保険料は、
470万×0.1358÷2÷12=26600円。
で、一号+一号と同じ負担。

「現役世代の賃金がこれから中長期的に年2.1%程度ずつ
上昇すると想定」している厚生労働省の考えで行くと、
13年後の二号の年収は
470万×(1.021)**13=616万円、
月々の保険料は、616万×0.183÷2÷12=47000円。

これは、16900×2=33800円よりけっこう高い。
(が、一号の保険料もきっと保険庁が値上げするに違いない。)

で、25年後に65歳になって定年を迎えたとき、
二号の年収は
470万×(1.021)**25=790万円。
月々に受け取る額は、790万×0.5÷12=329000円。
67000×2=134000円の基礎年金部分に195000円がプラスされることになる。

「一号被保険者」+「一号被保険者」の世帯は基礎年金部分だけなので月々134000円、
「二号被保険者」+「三号被保険者」の世帯は月々329000円を受け取ることになる。
納めた金額の差に比べて、受け取る金額の差は大きすぎないか?

厚生省のモデルケースでは、この329000円を
「現在の価値に換算」と称して、237000円と言っているが…

年金考(4)

2005-11-12 09:49:57 | 年金
3号被保険者って…
年収130万円以下で、
扶養してくれる夫または妻がいて、
その夫または妻が2号として公的年金に加入している場合、
保険料をまったく払わなくても、なぜか年金をもらえる人。

でも、『ただもらい』がいやだって人も多いみたいよ。

公的年金制度に関する世論調査(内閣府大臣官房政府広報室)
によると

『専業主婦等の年金保険料の負担についての考え方』という調査、
主婦886人に聞きました。

「専業主婦等も、別途保険料を負担する仕組みとするのがよい」14.3%

「所得がない又は少ないのだから、現行のように配偶者の加入する制度で
保険料を負担する仕組みがよい」39.4%

でも、この調査の選択肢、おかしくないか?
「配偶者の加入する制度で保険料を負担する仕組み」って…
ウソッ、負担してるのは制度じゃないよ、
保険料を払ってる見知らぬ人々だよ。

年金考(3)

2005-11-11 11:13:47 | 年金
社会保険統計情報によると、
平成14年度末現在
公的年金の実年金受給権者数は、3076万人。
公的年金加入者数 7046万。
(1号被保険者2237万、2号被保険者 3685万、3号被保険者 1124万)
1号被保険者のうち学生納付特例者(7%)、保険料免除者(12.7%)を除く
納付率(当年度分)は62.8%。
実質、月々13300円を払っているのは、
1号2237万×0.803×0.628+2号3685万=4813万人

ということは、
年金受給権者1人に対する保険料納付者は1.56人

世代間の相互扶助ということで、現行のとおり国庫から1/3を支出して、
集まった保険料の1.5倍を支給するとしたら、
13300×1.56×1.5=31122円が支給できる相場っていうものではないか?

かりに、未払いの1号と、未払いというか、なぜか払わなくていいことになっている
3号が、みんな納付して7046万人で取り組んだ場合でも、
年金受給権者1人に対する保険料納付者は2.29人
13300×2.29×1.5=45685円が支給できる相場っていうものではないか?

で、実際には月額52291円が支給されている。
もちろん、不足分は10兆円ほどある積み立て金の運用収入を足したところで間に合っていない。
この間に合っていない380億円(年間)をポーンと出す。(おっと平成15年度は500億円だ。)
とっつぁんは相変わらずの大盤振る舞い。

でも、まったく過去に保険料を支払ってないのに受け取っている人ってどうよ!
ていう意見も、もちろん出てくるよね。

年金考(2)

2005-11-10 09:06:10 | 年金
1961年 V.S. 1991年 
この30年間で、収入は14倍、月々の保険料は80倍…

1961年、平均年収は約45万円。単純に12ヶ月で割ると月収37500円。
年金保険料は月額100円、これを納めると60歳から月々3500円もらえることになっていた。
月収の0.27%を納めると、月収の9.3%の年金がもらえる約束だった。

1991年、平均年収は約650万円。単純に12ヶ月で割ると月収541700円。
1961年と同じ割合であれば、年金保険料は月額1463円、もらえる年金は月々51205円ということになる。
で、実際どうだったかというと、年金保険料は月額8000円、もらえる年金は52270円という約束になっていた。

もちろん、原因は人口ピラミッドにある。
総務省統計局の『我が国の推計人口(大正9年~平成12年)』によると、

1961年 総人口   9429万人(20~59歳 4877万人、60歳以上 855万人)。
1991年 総人口1億2404万人(20~59歳 6974万人、60歳以上 2251万人)。

これをもとに計算すると、
総人口に占める60歳以上の人口比は、
1961年9.07%、1991年18.15%。
また、60歳以上1人に対する20~59歳の人口は、
1961年5.7人、1991年3.1人となる。

これを反映すると、月額の保険料が1463円のところ2690円ならしかたなしか、
とも考えられるが、実際は8000円だったのである。

大盤振る舞いのとっつぁんが、多少冷静になったということか。

年金考(1)

2005-11-09 10:41:54 | 年金
思い起こせば14年前
1991年、27歳のとき

長めの学生生活を終えて数年がたっていた。
当時は学生納付特例制度(2002年導入)がなく
20歳になったらみんな年金を払わなければいけなかった。
でも、けっこうのんびりした時代だったのか
学生時代以降ず~っとほったらかしだった。

「そろそろ年金のことを考えよう」と思い立った当時

国民年金には国庫負担がある。だからお得…ってことは、
若者に負担をかけて老後を過ごすってことだよな。
なんか、不公平なことがいっぱいあるな。

いろいろ調べて、いろいろ考えた挙句、どうしても納得がいかず、
かといって社会の迷惑になるわけにもいけないので、
国民年金に比べてまったくお得感はなかったけれど、
個人年金に加入した。

たしかに、老後までの長い期間にはインフレなど経済情勢の大きな変動がありうる。
だからこそ、世代間の相互扶助が必要である。
これは経済が右肩上がりだった当時、説得力があった。
しかし、高齢化社会の到来はまちがいなく、
世代がくだるごとに負担が増大することは明らかだった。

1961年、国民年金が発足した当時、平均年収は45万円。
そして、月々100円の保険料を40年間払込んだら、月額3500円もらえることになっていた。
月々に払う保険料はたしかに年をおうごとに増えたので、
100*12*40=480000円しか払込まなかったわけでは決してないけど…

1991年、月々8000円で40年間払込んだら、月額52000円もらえることになっていた。

しかし保険料はその3.5年後には月額11000円に、さらに4.5年後には月額13300円になった。

1961年V.S.1991年、この30年間で、収入は14倍、月々の保険料は80倍…