この患者さんも、初めてお会いしてから既に9年になろう、としています。
2008年秋にお会いしました。
その時には、長いこと歯周病で苦しんでいて、歯がゆれてきて、このままでは全部の歯が抜けて総入れ歯になってしまうんじゃないか、と涙を流されていました。
どこの先生の所に行ってもちゃんと歯周病を治してもらえない、もう私はダメなんじゃないでしょうか、と悲しみに沈んでおられました。
私は、正直初めて拝見した時には、これは大変なことになってるぞ、どこまで歯が残せるのか?かなりチャレンジしないといけない治療になりそうだ、と予感しました。
上のレントゲン写真が一番初めの時のモノです。
歯を支えている骨がかなり溶けてしまっていて、歯根のまわりに黒い影がまとわりついています。
私の提案した治療計画は、出来る限り歯を残す。
その為にも、要所要所にインプラント治療をしてそこで支えて、歯の負担を軽くして歯周病も治す、というモノでした。
どうしても残せない歯は抜歯させていただいて、同時にインプラント植立と溶けてなくなった骨の再建と歯茎の再生をうながすようにしました。
そして、しっかりと植立できたインプラントには、最初から仮歯をちゃんと付けて、それと接着させるという治し方をして、歯周病で揺れている歯を助ける、ということもしました。
患者さんの本当に真面目な一所懸命な取り組みかたに助けられ、私のインプラント治療と歯周病治療を組み合わせて治す治しかたはうまく行きました。
歯周病の歯の周りにも骨が再生し、歯茎も状態も良くなって安定しました。
最小本数のインプラント使って、歯周病の歯を支えて助けて、助けることができたんです。
それが下の段のレントゲン写真です。
6本のインプラントが立っていますが、天然歯もちゃんと18本しっかりと立っています。
しかも、歯根の周りには白い歯根を支えている骨が写っています。
最初の時は、黒い影に囲まれていたのに、歯周病が治り、骨が再生して歯根を支えているのです。
これこそが、インプラント治療の良い、正しい使い方ではないでしょうか?
何でもかんでも抜いてインプラントにしてしまう、という言われ方もしたりしますが、私はこのような治療を一所懸命にやって歯を助けて行こう、と決めています。
今日facebookで、高名なM先生が、歯周病とインプラントへの取り組み方に対して、非常に真っ当な義憤に駆られる、という投稿をなされていました。
今はもう削除されてしまっていますが、M先生のご指摘は誠に正しい見解であろう、と私も思います。
インプラントは、あくまでも歯の代わりとなるモノでしかない。
ブリッジにしたり、部分入歯にしたりして治すと、必ず歯は余計な負担をかけられることで、又ダメになってしまいます。
残っている歯に負担をかけないで、逆に助ける支えるためにインプラントは使われるべきなのです。
僭越ながら、M先生の義憤への私なりの回答、お怒りになられたインプラント治療のようなモノではない、真っ当なインプラント治療、歯周病治療として、この実例ではいかがでしょうか?と提示させていただきます。
本当に良い、インプラントと歯のコラボレーションによる歯周病治療、咬合治療とは?というとても難しい問題に対しての、私なりの理想と考えている実例、答です。
インプラントを用いることで歯周病の歯も救う!自分の歯を長持ちさせたいからインプラントを使う!のです。