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吹屋ふるさと村紀行その1

先日の休日、久し振りにぶらり日帰りの旅に出かけた。
行先は岡山県の中西部の山間にある吹屋ふるさと村。

ずいぶん昔、一度訪れたことがあり今回で二度目だが
この街は銅とべんがらと八つ墓村のロケ地で有名だ。

まず最初に訪れたのは、金田一耕介シリーズのひとつ
八つ墓村の映画ロケが行われた、あの有名な広兼邸。

下から見上げると、城郭のような石垣に目を奪われる。

屋敷に続く道端には真っ赤な彩を添えて咲くヒガンバナ。

血の惨劇を予感させるようなミステリーにふさわしい花。

断っておくが、ここはお城ではなく個人の邸宅なのだ。

門をくぐると、200年前の建築当時そのままの姿で
二階建ての母屋が私たち見物者を出迎えてくれる。

広兼氏は銅山とベンガラで巨大な富を築いたらしく
屋敷のいたるところに往時の大富豪ぶりが窺える。

神棚の下にはなぜか季節外れのひな人形が…。

まばゆく光る金屏風が飾られているのは離れ座敷。
ここは当主の結婚式に一度使用しただけだという。

その離れ座敷のガラス窓に映り込んでいる秋の空。

邸宅の庭先からはるか向こうに広がる景色を眺める。
この家の住人は毎日、この風景を眺めたに違いない。

庭には風流な水琴窟があり、柄杓で水をすくって流し
竹の筒に耳をあて澄ますと、きれいな音色が聞こえた。

台所には、昔懐かしおくどさんや自在鍵が健在だった。

そして台所の一角には、この広兼邸が舞台となった
映画「八つ墓村」の金田一耕介が写ったポスターが…。

銅山やベンガラが最盛期を迎えた明治、大正の頃
日本は貧しく、多くの人々は苦しい生活を強いられて
いたと思われるが、その一方でこんな山奥の辺境の地に
このような立派な大邸宅を構えることができた人もいる。

何とも複雑な思いに駆られながら広兼邸を後にした。

その昔、訪れた時にはなかった土産物屋ができていて
ベンガラをもじった「ベンカフェ」というカフェまであった。

人々はいつの世もたくましく、抜け目なく生きていくのだ。



そう思いながらふと見上げた空は、抜けるように青く
ススキが秋の風にそよ吹かれてなびいていた。


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