秋の庭仕事はとても気持ちがいい。
真夏ほど汗はかかないし、虫に刺される心配も少ない。
周りを見回せば木々は紅葉し
時折り吹く風に色とりどりの木の葉が舞い落ちる。
そして、見上げれば抜けるような青空…。
春もいいけど…やっぱり私は秋が好き。
そんな秋晴れのある日
山庭の一角で落ち葉を積み重ねて作った腐葉土を
花壇や畑に入れて土作りの作業をしていたら
遠くの方から微かにネコの鳴き声が聞こえた気がした。
「ん…?」と思ったが、気のせいかも知れないので
無視してなおも作業を続けていたら
今度はハッキリと「ニャ~ニャ~」と鳴くネコの声が
だんだん大きく近くで聞こえてきた。
どこから聞こえてくるのか、不思議に思った私は
作業の手を止めて、キョロキョロと声のする方向を探すと
どうも、東のお宮の方角から聞こえてくるようだ。
「アレ、もしかして…」と、夫を見ると
夫は「来た来た…」と言ってニヤニヤしている。
「あれ、ノラなの?」と信じられない私。
「そうだよ、ノラだよ!」と自信満々な夫。
「あんな遠くから鳴き声をあげながらやって来るの?」
「うん、最近はよく鳴いてアピールするよ!」
そんな会話をしている間に、鳴き声はさらに近く大きくなり
ついに姿を現わしたノラにゃんこ。(笑)
派手にアピールしながらやって来たくせに
庭に居る私たちには目もくれず
さっさといつものテラスの定位置に直行だ。
何という大胆不敵なふるまい…呆れてものが言えない。(笑)
時計を見るともうすぐ晩ご飯の時間だ。
そうか、そういうことか…ちゃっかりしてるわ。(笑)
ということで、庭仕事はおしまいにして
煩いほどアピールしながらやって来た
食いしん坊ノラにゃんこのご飯の準備に取り掛かった。
「こらこら、まだご飯を入れてる途中から…行儀が悪いよ!」
だって、ボクお腹ペコペコなんです!
「はいはい、わかったから…ちょっと待ってな!」
「オジサン、早く早く!ボク、お行儀よく待ってるから…」
「そうか、よしよし…さあ、どうぞ!」
「うわぁ~い、ご飯だご飯だ!」
「ん?今日のご飯は何か…メッチャ美味しいです!」
「だって、今日はもつ鍋の残りのお肉が入ってるからね!」
「え~っ!もつ鍋のお肉ですかあ~?だから美味しいのか!」
ノラくん、もつ鍋って知ってるの?
「え~っと、それは…そのう…」(笑)
「オバサン、教えて下さい。もつ鍋って何ですか?」
あはっ!やっぱり…そう来ると思った。(笑)
この日は夕食後、山庭のこんな場所で
夕陽を浴びながら寛いでいるノラを発見!
ホカホカ落ち葉のじゅうたんの上で
気持ち良さそうに目を閉じて居眠りをしていた。
うん、なかなか絵になるよね。
そこで一首。
暮れなずむ 穏やかな秋の 落ち葉踏み
しばし微睡む ノラにゃんこかな。