noriba-ba's garden

モロッコ旅日記5~ジェットコースターのようなモロッコの一日~

春のガーデンで気分もリフレッシュできたので

再びモロッコの旅日記を続けよう。

 

旅も早や5日目、ここからは後半を迎える。

この日は朝フェズを出発し、アトラス山脈の峠を越えて

サハラ砂漠の入口の街エルフードへ向かう長い長いバス旅。

そしてエルフードからは4輪駆動車に乗り換えて

サハラ砂漠の中にあるメルズーガのホテルに夕方着くまで

ほぼ一日中、車に乗りっ放しで、移動距離は何と約500km!

想像もつかない長距離移動に身が引き締まる。

朝からその気配はあったのだ。

フェズを出発して南へ向かうこと約1時間。

いつの間にか空は厚い雲に覆われ、太陽も隠れてしまい

車窓から見える景色に白い雪が混じり始める。

昨日までの穏やかな気候が一変し、どんどん寒くなる。

そう言えば…確か

モロッコは地域によって気温や気候の差が激しいと

日本を出発する前に添乗員さんから聞いていたことを思い出す。

はは~ん、これだな…。

地中海沿岸部と内陸部、そして砂漠地帯とでは

同じ季節でも大きく気候が異なるらしい。

これから山越えで砂漠に向かっているのだから寒いはずだ。

バスは途中、イフレンという高原リゾート地で休憩。

標高1650mのこの辺りはもうすっかり雪景色になっていた。

この街は

昔フランスの植民地だった頃、フランス人によって

保養地として造られ、モロッコのスイスと呼ばれているそうだ。

日本で言えば軽井沢だろうか。

そしてこの街で有名なのが、このアトラスライオンの像。

イフレンとはアラビア語でライオンの意味だそうで

20世紀の初め頃まで、このあたりに生息していたらしい。

今は絶滅してしまっているが、嘗てライオンが生息していたことを

街のシンボルとして伝えるための像だとか。

そう…ここはアフリカなのだ。

バスはさらに1時間走り、いよいよアトラス山脈の峠越え…

と思っていたら、峠の手前で車が大渋滞している。

聞くと、標高2000mの峠付近が雪のため通行禁止だという。

そのためゲートが閉まっているらしい。

こりゃあ大変だ!と

カメラのズームで峠に続く道を写してみると

なるほど…道路に雪が積もっている様子。

仕方なく私たちもゲートが開くまで待つことに…。

いつになるかわからないゲートが開くまで

モロッコの人たちはひたすら待つ。

車から出て、所在なげに道端でたたずむ人もいれば

雪の上で子どものように無邪気に遊びだす人たちもいる。

中には、路上でちゃっかり商売している人も…。

でも人々は、この不測の事態にあって

誰一人文句を言うでもなく、時間を気にするふうでもなく

むしろ楽しんでいるようにさえ感じられる。

何とおおらかで、辛抱強く、そして商売上手なことよ。

これがモロッコ人気質…なのかもしれない。

 

だが30分以上待ってもゲートは開きそうになかった。

のんびりと待てない私たち日本人…いや

先を急ぐ私たちのバスは、迂回路で山越えをすることに…。

なおも続々とゲートに向かってやってくる後続車を尻目に

バスはUターンしてもと来た道を引き返し

迂回路の峠を通って、アトラス山脈を越えて行った。

ここもかなりの雪が積もっていたが何とか通行できて良かった。

この道沿いの途中にあるスキー場では人々がそり遊びに興じていた。

スキー場と言ってもリフトなどの設備はなく雪があるだけ。

ようやく峠を越えて下界の視界が開けてきた。

山を下って行くにつれ、地面の雪もまばらになってきて

そしてバスはようやく人が住む街まで下りてきた。

店の軒先に吊り下げられた肉、露店で売られている温かそうな料理。

人々の暮らしの息づかいを感じてホッとする。

ここでも路上で果物や野菜を売る光景が見られる。

モロッコではこれが当たり前…もう驚かない。

車窓から雪に覆われたアトラス山脈が遠くに見える。

少し前にこの山を越えて来たのだ。

目まぐるしく移り変わる車窓の景色。 

通りすがりのこの街はリンゴが特産品なので、このオブジェ。

わかりやすいアピールが何とも微笑ましい。

いよいよ砂漠に近づいて来たのか

遥か遠くどこまでも続く殺風景な風景が見え始める。

樹木の姿がどこにも見られない山のふもとに

ところどころ点在する石造りの建物。

こんな山の姿は今まで見たことがない。

この地域の自然が造り出したとは言え、何だか不気味だ。

モロッコでは街の入口に警備兵が必ずいて街を守っている。

日本では見られない光景に、この国の現実を垣間見る。

今にも落ちて来そうな大きな岩がゴロゴロしている岩山。

その上に広がる青空に見つけた小さな半月。

やがてバスは大きな水を湛えた湖の近くまでやって来た。

すでに日が傾き、西日に照らされた湖面が美しく輝いている。

この湖は水力発電用のダム湖で

水の少ない砂漠地帯に水や電力を届ける重要な湖らしい。

この街の入口にも警備兵の姿が見られるが

どこかのんびりとしていて、あまり危機感は感じられない。

街はずれのグラウンドでサッカーに興じる若者たち。

広場とボールさえあればどこでもできる。

砂漠へと続く道沿いに度々みられる石造りの建物群は

遠い昔からこの地域の人々が暮らす要塞都市。

目まぐるしく移り変わる気候や景色を体感しながら

ちょうど太陽が西の空に沈む頃

バスはようやくサハラ砂漠の入口の街エルフードへ到着した。

ここからは4輪駆動車に乗り換えて

砂漠の中の街、メルズーガのホテルに向けてさらに行くのだが

日没のため、この日の写真はこれでおしまい。

 

覚悟はしていたが

今振り返っても本当に長い長いバス旅だった。

モロッコの国土の面積は日本より少し広いぐらいなのだが

気候や風景の変化たるや誠に凄まじいものがある。

それもたった一日のうちで

これほど目まぐるしく移り変わるなんて…。

まるでジェットコースターに乗っていたような気分だ。

こんな国がモロッコの他にあるだろうか。

 

窓から見える景色の一つひとつが驚きの連続であり

自然の創り出す造形の多彩さは衝撃的だった。

一体モロッコにはいくつの顔があるのだろう…?

 

 この日の体験から受けたいくつもの刺激は

実際に来てみなければ到底感じなかったはずのものであり

それだけでも遠くモロッコまで来た甲斐がある。

何でモロッコ?の理由としては十分だ。

 

続きはまた。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「モロッコ旅日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事