傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

「西の正倉院」と「マンガの殿堂」とで、「文化とは何か!」を考える(雑感)

2009-06-23 01:23:57 | 独り言

写真家の宮嶋 康彦氏が日経ビジネスに寄稿しているコラム(奥深き日本)で、過疎の村の「西の正倉院」建設物語を読み、歴史ロマンと自然に溶け込んだ文化遺産の美しさと正倉院と同一仕様の「西の正倉院」を建設した経緯には啓発されました。
一方、補正予算に117億計上された”国営マンガ喫茶”と揶揄された「国立メディア芸術総合センター」(仮称)は、予算計上が拙速という考えですね。

宮嶋 康彦氏が宮崎県の過疎の村(南郷村)に「蛍」撮影で訪れ、偶然に宿泊した旅館の主人との会話から、「百済の里」の伝説を聞き、 「西の正倉院」建設いたる逸話をコラム”100万円道路”の村が古代史の里に・・・「昭和40年代はダム工事、50年代は公共事業で潤った。3年前からとんとお客が減りました」”、”何もない村が成し遂げた国家的プロジェクト・・・「神社の銅鏡は、どげんかならんもんじゃろか」で始まった「西の正倉院」建造物語”を連載しており、当方は、題名が気になり、コラムをアクセスしたら、「美しい自然の風景」、「由緒ありそうな寺院」、「意味深のバス停の名前」らの写真に魅せられ、通読しました。

コラムは、九州の過疎の村に、1300年前の朝鮮からの「文化」が山奥に、営々と生きついており、「村おこし」に地元の「神門神社」の所蔵の「」を学術鑑定したら、正倉院の所蔵品と同種の学術的に貴重な物と再認識し、過疎の村は、無謀にも、正倉院と同一仕様の「西の正倉院」建設を決定し、難題を熱意で解決し、国プロジェクトとして、11億円(坪当たり1000万円・ほとんどが国や県の補助金でまかなわれた)をかけた「西の正倉院が、立案から10年後の平成8年5月に完成までの物語です。

無教養の当方は、「西の正倉院」については、知っているかと問われれば、「???・・・・・」の程度の人間ですが、宮嶋 康彦氏のコラムを読み、日本の文化は、まずは、歴史的には、朝鮮からの文化移入を、敬い続けながら、日本流に消化し、今日の日本人の文化形成してきたのではないかと再認識しました。
コラムでは、南郷村は、その文化遺産を営々と継承してき、韓国も南郷村の「百済の里」つくりには、全面的に支援し、友好関係を結ばれ、南郷村人は、”韓国の人たちが親戚に見える!”とも記述しています。

一方、”国営マンガ喫茶”と揶揄された「国立メディア芸術総合センター」(仮称)ですが、賛否両論をありますが、総論は、批判の声が強いですが、賛成派の意見に、

岸 博幸氏(慶応大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授、エイベックス取締役)が日経BPサイトに、”『「アニメの殿堂」ほど正しい予算の使い方はない』”で、「アニメやマンガは今や日本の現代文化の代表であり、世界中から評価されているにもかかわらず、文化の常識ではあり得ないくらいに国内で冷遇されているのが現状なのである。」とし、

”■文化は政府が保護・発展させるべき

アニメやマンガは単なる娯楽ではない。
今や文化なのである。文化である以上、政府が維持・保護・発展に関与するのは当然である。
ハリウッドの有名監督が来日して日本のアニメやマンガを堪能できる場所が本屋しかないというのは、国として恥ずかしいと思うべきである。

 同じような過ちが過去の映画文化にもあったことを思い出してほしい。
日本映画の巨匠である黒沢監督が不遇の時代、彼を応援していたのは日本人や日本政府ではなく、スピルバーグなどの外国人だったのである。
そして、同じことがアニメの世界で起きている。
優秀な人材はどんどんハリウッドに流出してしまう。
アニメ映画で有名な米ピクサー・アニメーション・スタジオでは数十人の日本人が働いているそうである。

 私の結論は簡単である。「アニメの殿堂」が今まで日本になかったことの方が問題なのであり、そのための117億円は無駄な補正予算でも何でもない。
民主党はむしろ、政府の対応が遅かったことを問題視すべきではなかったか。「国営マンガ喫茶」というネーミングの妙には敬意を表するが、やはり問題の本質を外していると言わざるを得ない
」”

と主張しています。
ただ、アニメを「文化」と強調していますが、「文化」とはなにか?と考えてしまいます。
麻生首相の言う「ソフトパワー」で、「新ビジネス」と強調されるのであれば、まだ、納得できるのですが、日本の「文化」と言われると違和感を感じますね。
歴史的に培ってきた日本人の特異性が日本の文化であり、アニメは、日本人の文化に基づく「創作物」であり、アニメが日本人の文化形成に影響してきたかどうかは、今後の検証テーマでしょうね。

また、推進派には、マンガの原画のアーカイブの必要性を掲げる漫画家もいますね。
朝日新聞の記事「「アニメの殿堂」どう思う? 発信拠点か予算のムダか」で、

”「今回の計画では、作品の収集や展示、調査研究、外国人観光客も含めた海外への発信などをうたう。コンピューター技術を駆使したメディアアートも柱の一つだ。推進派が4日に東京都内で開いた会合では、マンガ家の里中満智子さんが「古いマンガの原画の劣化はひどく、きちんと収集・保存しなければ後世の人が日本のマンガ文化を検証しようにもできなくなる」と必要性を訴えた。」”

と報道しています。
マンガ・アニメは、 「たかがマンガ、されどマンガ」のサブカルチャーであり、同好・愛好者の世界であり、「古いマンガの原画」の保存は、日本の文化の検証の1側面はありますが、アーカイブは別次元の問題と思いますね。

南郷村の「西の正倉院」プロジェクトは、1300年前から継承された祭事・保存されてきた所蔵品は歴史的遺産でり、未来永劫に残したい文化遺産の博物館であり、国プロジェクトにすべきと思います。
「たかがマンガ、されどマンガ」の世界で、100年、200年経過して、初めて、文化遺産になると思いますが、それには、アーカイブが不可欠ですね。

やはり、マンガ・アニメの殿堂は、文化面からも、アーカイブ面からも、予算計上が拙速であったこと問題なのでしょうね。



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