傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

電力不足への節電も結構だが、まずは「埋蔵電力」の自由化が現実解

2011-06-29 11:57:27 | 民主党(菅政権)

菅首相が退任の「一定の目処」に、「再生可能エネルギー買取法案」の成立を明言し、次期の国政選挙ではエネルギー問題が最大の争点・議論になるだろうと脱原発解散を示唆しました。
将来のエネルギー問題の提起も結構だが、今年の電力不足に節電を国民に強いるのは無策であり、まずは自家発電の活用の自由化が現実解ですね。

当方は、本ブログ「自然エネルギーの買取義務化の前に、現実的な「埋蔵電力」の自由化の環境整備を」で、まずは独立系発電事業者(IPP)や特定規模電気事業者(PPS)の「余剰電力」の売買の自由化が現実的とし、発送分離の電力自由化が先決と書きました。

週刊ポスト」が、余剰電力の関して、連載していました。
(4月22日号)では、記事『東電内に“関電から電力の施し受けたくない”という考えあり』で、
”「東日本(東電、東北電力、北海道電力)の電気は周波数が50ヘルツ、西日本(関電、中電など)は60ヘルツのため、変換をしなければ西日本で使用する電気を東日本に供給できない。変換装置を備える変電所は東電、中電などが保有する3か所(東清水変電所、佐久間周波数変換所、新信濃変電所)のみ。その変換能力の合計が最大100万kwというわけだ。」”
と、地域独占の各電力会社は、他の電力から受電を消極的と報道。

記事『発電所保有企業幹部「電力会社から電気買うのはバカらしい』では、
”「自前の発電所を設置している。たとえば、JFEスチールは震災発生直後から千葉市にある製鉄所内の火力発電所を稼働させた。通常は平日の日中のみの稼働だが、現在は休日も24時間稼働となり、余剰電力を東電に供給。新日鉄も千葉・君津市にある製鉄所の火力発電所をフル稼働させ、発電量の約半分(50万kw)を東電に卸している。」”
と、大企業はもともと一般家庭より電気料金がずっと安いが、それ以上に自家発電はメリットが大きいと。

(6月24日号)では、記事『自家発電所持つ企業「電力会社から電気買うのバカバカしい』では、
”「電力を大量消費する企業の中には、「電力会社の電線を使わなければもっと安くなる」と、自社の敷地内に発電所を造り、そこから工場などの施設に送電しているケースが増えている。
 資源エネルギー庁によると、全国の企業の自家発電設備の定格出力合計は6000万kW。この数字は東電1社分とほぼ同規模だ
。」”
と、自家発電は自家使用が多いが、電力会社の電線を利用しなければより採算性UPするとし、
”「大企業ばかりではない。地下から湧き出る温泉蒸気でタービンを回す地熱発電を導入する霧島国際ホテル(鹿児島県)では、使用電力の約25%を自家発電でカバーしている。
「弊社では1984年に敷地内に地熱発電所を建設しました。5000万円かかりましたが、ほぼ同額の電気料金を5年で削減できた。つまり5年で元が取れたわけです」(営業担当・竹下卓氏)
 また、大分・別府温泉の杉乃井ホテルも大規模な地熱発電所(定格出力1900kW)を保有し、使用電力の7割を賄っている
。」”
と、ホテルの地熱発電による自家発電の事例を紹介。

(7月8日号)では、記事『関電 15%の節電が必要とされるも単純換算で余力はまだある』で、
”「15%の節電要請をしている関西電力エリアにはPPSなど「非関電」の自家発電所が418か所もあり、その出力合計は669.2万kW。そのうち96%が火力発電所で、中には出力140万kW(2基合計)を誇る神鋼神戸発電所(石炭火力)のように標準的な原発1基分(約110万kW)を上回る発電所もある。」”
とし、自家発電を活用すれば、電力不足の善後策となるが、
”「PPSが本格的に供給する事態となれば、関電の電力網の中に“関電製の高い電気”と“PPS製の安い電気”が同居することになり、需要家から“関電の高い電気は要らない”という声が出てくるのは避けられない。

 とりわけ消費者の目が厳しい関西では、電力自由化を叫ぶ声が一瞬にして膨れあがり、関電批判が噴き上がる。経産省と電力会社が築いてきた地域別独占体制と発・送・配電の一体化という仕組みが崩れてしまう
」”
と、経済産業省と電力会社は、地域独占の既得権堅持に抵抗していると報道。

当方は、原発を自然エネルギーで代替路線は賛成であるが、それはそれとして、現実の電力不足に節電を強いるのは無策であり、ピーク時の電力不足10%~20%程度であれば、現有の自家発電の余剰電力を買い取りの自由度UPが現実解と思っています。
原発を自然エネルギーで代替することと、発送電分離の電力自由化は別次元の問題です。

また、どこかのブログに、テレ朝のモーニングバードで、マンションが電力の大口使用者に契約変更し、電気代が割安の事例を紹介していましたが、俗にいう「マンション電力一括購入サービス」で、戸別の低圧契約を、管理組合で一括高圧契約し、契約の差額で、戸別の電気料を割引し、検針・保守サービスをするビジネスモデルで、原形は10数年前から存在しました。
先鞭をつけたのは、アイピー・パワーシステムズ株式会社で、ベンチャー企業ですが、スマートメーターの開発から自前でフルサービスしています、後発は株式会社NTTファシリティーズで、VBと自社発電所を持つ大企業の競争ですね。
アイピー・パワーシステムズ株式会社が自由競争で特定規模電気事業者(PPS)と容易に契約できれば、料金面ではNTTファシリティーズと同等な競争できるでしょうね。
電力一括購入サービスは、ユーザー負担無しで、低圧契約と高圧契約の差額で、サービスを提供するビジネスモデルで、節電目的より電気料金の割引がビジネスの目的です。

ただ、朝日新聞の記事『東電やめたら電気代3割節約 立川競輪場、契約先変更で』を転載すると、
”「東京都立川市が運営する立川競輪場(同市曙町3丁目)が2010年度、電気の購入先を東京電力から特定規模電気事業者(PPS)に替えたところ、電気料金を前年度の3割近く節約できたことがわかった。予想以上の「効果」に、市は見直しの対象を拡大。今年度は、小・中学校など53施設が東電以外と契約した。
 PPSは「電力の自由化」を生かし、自前の発電所などから調達した電気を売る新規事業者。市行政経営課によると、PPSから競輪場に提案があり、経費節減の一環として電気の購入先を見直すことになった。入札の結果、住友商事系のサミットエナジー(本社・中央区)が東電に競り勝った。
 競輪場の電気料金は、東電と契約していた09年度は約6200万円。だが、10年度は約4500万円に下がり、電気代を約27%節約できたことになる。市によると、気候の変動もあって単純比較はできないが、単価が安くなった点が効果として表れているという。
 市は見直しの範囲を拡大。今年度は市立の小・中学校や地域学習館、福祉施設など53施設を3グループに分け、グループごとに契約先を検討。それぞれ異なるPPSから電気を買うことにした。
 今年度は契約先を選ぶ際、価格だけでなく、発電に伴う二酸化炭素の排出量など環境にどれだけ優しいかも基準にした。それでも今のところ、電気代2割弱の節約が見込めるという。
 節約の成功例として、立川市には他の自治体から問い合わせが来ている。同課の田中準也課長は「これほど節約できるとは当初考えていなかった。最大限の見直しを進めているが、今のところ不便はない」と話す。昨年5月に開庁した市役所新庁舎についても、今後見直しを検討していくという。(大西史晃
) 」”
と、既存の地域電力会社の東電から特定規模電気事業者(PPS)に契約変更し、電気料が3割節約できたと報道しています。
大口の電気使用者であれば、現在で、既存の電力会社から特定規模電気事業者(PPS)に契約変更するだけで、電気料は割引になります。

当方は、独立系発電事業者(IPP)や特定規模電気事業者(PPS)の「余剰電力」の売買をより自由化すれば、原発停止の電力の不足分は充分にカバーできると思っており、「再生可能エネルギー買取法案」は、自然エネルギーの開発促進効果があるが、その前に、電力不足をどうするのかが先決と思っております。
電力不足を省エネと節電で国民に恫喝するのは、既存の地域独占の電力会社の既得権堅持の政官業の合作としか思えないですね。

余談になりますが、鹿野農水相が孫正義社長の提起している耕作放棄地の「電田プロジェクト」に関心を示したと報道があったが、耕作放棄地・休耕田を太陽光発電に活用には、違和感を持ちますね。
耕作放棄地・休耕田は、やはり、第一産業に活用すべきであり、地主は、太陽光発電の賃貸料なりの収入を得ることなり、農地の固定化になり、農業の再生に障害になる懸念をもちますね。

また、TBSの番組「夢の扉」の次回は、メタンハイドレートを取り上けます。
次回(7月3日)放送を転載すると、
”「日本をエネルギー資源大国に!
近海の宝!燃える氷・メタンハイドレートを採掘せよ


天然ガスに代わる国産の新エネルギーを!
日本の近海に眠る“燃える氷”メタンハイドレートを発掘すれば、天然ガスの日本の年間消費量100年分がまかなえるという。 それを実現するべく、国家的プロジェクトが動きだしている。 そのリーダーの東京大学・増田准教授は、陸上から穴を掘り、メタンハイドレート層から、世界で初めて、メタンをとりだすことに成功した。次なる計画は日本の近海の海底に穴を掘り、夢の資源をとりだすこと。 かつてメタンハイドレートが一般に知られていなかった時代、増田教授は、不遇の時代を歩んでいた。その彼を支えてくれたのは、若き研究員たち。その彼らは、今、国家プロジェクトの大きな柱となっている。
エネルギー不足が叫ばれる中で、日本がもしかして、資源大国になれるのかもしれない...。
そんな夢を追い続ける増田。 夢は、一歩、一歩、現実へと今、近づいている
。」”

脱原発=自然エネルギー=孫正義社長の「電田プロジェクト」は、短絡的ですね。
まして、海江田大臣が原発再開の安全宣言し、再開を促すとは、菅政府は、何をしているのか?








1 コメント

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もっともな話ばかりですね (通り抜け中)
2011-07-01 22:54:37
書かれてる事は良くわかります。
自由化は、流れとしては進むでしょうが、既得権の連中は抵抗するでしょうね。
決断しない政府じゃ東電だとかを守るため、節電を叫ぶでしょうね。
まともな意見なのに、スルーされるだろうなのは残念です。
大きく意見されるのを望みます。

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