傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

「週刊朝日」の記事「機密ファイルが暴く「原子力ムラ」の闇」・・・悪事の責任は?(雑感)

2013-03-05 21:50:59 | 独り言

「週刊朝日」(2013.3.15)が記事『機密ファイルが暴く「原子力ムラ」の闇』で、高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故の事故調査を命じられ、96年に変死した動燃(現在の日本原子力研究開発機構)の西村成生・総務次長の私物の内部文書を取り上げ、88年に発覚した「人形峠ウラン残土問題」で、動燃が地元の住民工作した事案を報道しています。

「週刊朝日」の今西憲之+本誌取材班による記事『核心スクープ!!(第1弾 機密ファイルが暴く「原子力ムラ」の闇』のサブタイトルは、”「もんじゅ事故から17年、ナゾの死を遂げた動燃幹部はすべてを記録していた」”で、95年12月、高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故の事故調査を命じられ、96年1月記者会見の翌日に変死した動燃(現在の日本原子力研究開発機構)の西村成生・総務次長の私物の内部文書を取り上げ、88年に発覚した「人形峠ウラン残土問題」で、動燃・人形峠事業所(現在の人形峠環境技術センター)の総務課長などを歴任した「X氏」(72)が、当時 動燃本社で総務部文書課長の西村成生氏宛に送信した資料は、標題「方面地区住民資料」(作成日1989年5月22日、FAX送信送り状91年12月25日)で、
”「(目的は「住民工作」「健康相談」に資するため)、(外部へ出すのは今回が初めてなので西村課長扱いとしてください)」”
という注記から、該当地区の20世帯の住民について、
”「①名前、②生年月日、③職業、④PNC(動燃の略称)、⑤人脈・本人に対する工作、⑥家族関係、⑦地権の有無、⑧備考の項目に分け、詳細に調べ上げていた内容」”
とし、反対運動の中心になった住民の榎本益美氏については、事細かく記述されていたと。

人形峠ウラン残土問題は、2000年、住民が旧動燃を鳥取地裁に提訴し、2004年最高裁で動燃に残土の撤去を命じる判決で確定したと。
記事では、西村成生氏宛に報告した「X氏」のコメント、動燃から要注意人物と工作対象になった榎本益美氏のコメント、現在の日本原子力研究開発機構の回答文面を記述し、日本原子力研究開発機構の”「旧動燃時代については、現時点ではわからない」”で、現在の放射性廃棄物の処分場問題を日本の原子力行政が解決できないとし、西村成生氏の私物資料(西村ファイル)は意味深の内容もあり、次号で報道すると結んでいます。

まず、「人形峠ウラン残土問題」については、本ブログ「人形峠のウラン鉱床跡の後遺症・・・他人事でした!」(2011-07-08)で、毎日新聞が国内で発見されたウラン鉱床の人形峠のその後の記事『ザ・特集:鳥取・岡山県境のウラン鉱床跡 人形峠から福島見れば』を紹介し、
”「日本は戦後、原子力の利便性と危険性の二律背反の問題を、経済性優先で経済大国になったが、東日本大震災で地震・津波の天災に、放射能汚染という人災に、安全・安心とは何かを再考させられました。」”
と書きました。
毎日新聞の記事にも、榎本益美氏の名前が出てきます。

当方は、「週刊朝日」の記事を一読し、日本はお上意識の企業社会であり、宮仕え社会と思いましたね。
組織に従属している人間が組織の意向に逆らうことは組織を敵にまわすことであり、不条理・理不尽でも「業務命令であれば、わかりました」と粛々と業務をこなすのが現実なのです。
諸々の冤罪を生む土壌は、一過性の現象ではなく、営々と築かれた既成組織の既得権益を堅持体質から生じるものと思っております。

「週間朝日」によれば、95年12月、高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故の事故調査を命じられた西村成生氏は、
”「96年1月12日、科学技術庁(当時)で記者会見に臨んだ西村氏は、ビデオ隠しに本社の管理職が関与していたことを発表した。ところが、その翌13日朝、宿泊先の都内ホテルの非常階段の下で、変死体となって上司に発見されたのである。
 妻と上司、同僚に宛てた3通の遺書が発見され、警察は飛び降り自殺と断定。
上司や仲間を調べなくてはならなかった心労か・・・・マスコミでも、”ナゾの死”は大きく報じられた
」”
とし、動燃の対応に不信感を募らせた遺族は、旧動燃に損害賠償の訴訟を起こしたが、2012年1月に敗訴が確定したが、遺族が疑念を持ち続けた理由の一つが「西村ファイル」と報じています。

西村成生氏の死の疑念は別問題しても、組織としては西村成生氏の言動に不安を持ったことは事実でしょうね。
西村成生氏は、過去に、「人形峠のウラン残土問題」で組織が現地での「住民工作」を容認している事実を知っており、ナトリウム漏れ事故の隠蔽工作も知る立場であり、自分がお世話になっている組織に死をもって組織を諌めた可能性もあるが、組織は微動せず、今日まで至っているのが「原子力ムラ」なのでしょうね。

長い物には巻かれろと適当な人間と称している当方は、もし、西村成生氏なり、現地で「住民工作」をした人物「X氏」の立場であったならば、どうしたか考えされます。
マアー、「業務命令ですか?」は問うとは思うが、命令された事項を適当に遂行したでしょうね。
会社生活の後半になっていれば、自己防衛が働き、「業務命令であれば遂行しましょう。但し、万一、事が露見した場合には組織が責任を負っていただけますね」ぐらいは言ったでしょうね。
「皆、宮仕えの身だが、何時でも会社を辞める覚悟で仕事はしたい」と酒の席でストレス解消していますね。

「週刊朝日」の記事は、「原子力ムラ」の宿弊を指摘していますが、組織が悪事が露見しても組織責任を負わない日本社会にも問題があると思いましたね。
これは官僚組織が典型的ではあるが、企業にも、如何なる団体組織にも、組織が容認・黙認しているのに事が露見しても、担当責任にされ、組織が責任を負わない不条理・理不尽さの「皆、宮仕え社会」が醸成してきたのでしょうね。

当方が、「皆、宮仕え社会」と思ったのは郵便不正事件です。
本ブログ「郵便不正事件:厚労省元係長に懲役1年6月求刑・・・巨悪は不問で終息?」(2011-11-03) で、
”「当方は、郵便不正事件は、ノンキャリア官僚の上村勉元係長が、金銭的見返りもなく、障害者団体証明書を偽造したことが不可解で、厚生労働省には政治案件が存在しなかっかのか?、誰が、上村勉元係長に作成指示・示唆した人間も罪に問われるべきという思いがあります。」”
と書き、実行犯のノンキャリア官僚の悲哀と思いましたね。
事が発覚しても、組織幹部は、「知らなかった」、「便宜を図れと言っただけで、不正行為して偽造など夢にも思わなかった」で責任は問われず、組織は今後のチェック体制を見直すことで事件は終息していますね。

内部告発制度がありますが、告発者の将来に不利益にならないか懐疑的ですね。
数多くの冤罪が発覚しても、仲間意識の組織防衛はなくらないのは、「皆、宮仕え社会」体質が根源にあると思いますね。



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