傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

消費税問題:高齢少子化社会が最大の課題

2009-08-15 08:21:37 | 社会保障

自民党は「景気回復の目途がつけば、消費税増額が政治の責任」と強調すれば、民主野党連合は「4年間は消費税増税は凍結、財源は無駄を止めて捻出」と強調しているおり、どちらも、消費税増税で社会保障制度へ充当する方向性は変らないが、時間的な差異の違いですね。

消費税と社会保障分野については、鈴木亘学習院大学教授がブログ「消費税を引上げるべきか(骨太方針2009の抱えるジレンマの対処方法) 」、「安易で無責任な「中福祉・中負担」論 」で考察しており、そして、「民主党・自民党マニュフェストの評価(社会保障分野) 」で、社会保障分野における民主党と自民党のマニフェストを比較評価しています。
消費税増税=社会保障制度の根源的な問題は、高齢少子化社会をどうするかですね。

鈴木亘教授は、「消費税を引上げるべきか(骨太方針2009の抱えるジレンマの対処方法) 」では、現在の日本が抱える経済状況は、治療方法が異なる2つの病気を抱えている患者のようなものとし、
①は、インフルエンザ・・・一過性の自然治癒(景気悪化は、かならず自律回復)
②は、老化・・・・・・・・病気でなく、将来に備え貯え(借金返済、貯蓄)
で、二つの相異なる病気に一度に効く薬はなく、どちらも重要であり、時期を間違えずに両者を必ず実行することが正しい政策と考察しています。

安易で無責任な「中福祉・中負担」論 」では、自民党・民主党の政策は、「わが国の社会保障費水準はまだまだ低いとして、歳出拡大とそれに伴う負担増を提言している」が、わが国の社会保障制度は、年金を初め、医療保険、介護保険、その他の福祉も全て、現在の現役層が現在の高齢者を支えるという財政方式をとっており、少子高齢化が急速に進みつつあるわが国で、「中福祉・中負担」を今の高齢者達が享受すると、将来の世代は、「中福祉・超高負担」、あるいは「低福祉・高負担」のどちらかの惨状に直面してしまうと警告しています。

そして、景気対策の名の下に、景気回復後、あるいは4年後に先送りされるとなると、先送りされた分だけ、後の世代がさらに負担増に苦しまなければならないと考察しています。
要は、「中福祉・中負担」を保持するのであれば、高齢少子社会では、早期に消費税増税しかないと結論付けしています。

民主党・自民党マニュフェストの評価(社会保障分野 」で、社会保障分野における民主党と自民党のマニフェストを比較評価しています。
一部抜粋すると、

”「両党案とも同じ無責任なバラマキであれば、その内容の差が重要である。民主党案の特徴は、バラマキの対象が子どもや低所得者に重点が置かれており、また直接給付という手段を用いている点である。一方の自民党案は相変わらず老人へのバラマキ中心であり、業界団体・既得権益団体への補助金が多い。この点を比較すると、民主党案の方が質的にずいぶんマシであるといわざるを得ない。・・・・・

・・・・・・ 今回確かに、子ども手当てという手法は一律のバラマキであり、問題も多いといわざるを得ないが、老人中心の予算の使い方を正し、子育て予算に大きく軸足を移すということは、総じて見て正しい。むしろ、民主党が政治的に弱い子育て世代に軸足を置いたことが、私には大変な勇断に思える
。」”

と民主党の政策案を評価しています。
そして、(民主党マニュフェストの現実化をどう進めるか)では無駄をカットや、「育児保険」の創設、5%の消費税を最低保障年金の財源に全額充てると目的税化し、一般財源不足は歳出カットしすれば、官僚は本気で知恵をだすだろうと提言していますね。

高齢少子社会で、社会保障分野への支出は自然膨張し、比例して後世の世代が負担増につながり、消費税増額は早期に増額すべきであるが、一方、高齢者層から後世の世代(子育て)に軸足を移すべきということですね。
ただ、高齢少子化は、深刻な問題ですね。

「JPpress」の「日本の財政の脆さ・・・少子高齢化という時限爆弾」では、政府も高齢者から少子化対策に財源を回すと紹介していますが、しかし、政府の試算では、仮に子供を欲しいと考えている国民の願いがすべて叶えられたとしても――決して簡単なことではない――、出生率はせいぜい1.75倍までしか上がらない。このことは、今現存する人口をもっと有効活用することの重要性を浮き彫りにしているとしています。
要は、75歳まで働かないと財政問題は解消しないと記述していますね。

”「そして、経済の「健全な回復」という望ましい前提に基づいた内閣府の予想でも、日本がプライマリーバランスを均衡させるためには、2012年以降、社会保障費を除くすべての支出を名目ベースで据え置かなければならない。つまり、実質ベースで支出を大幅に削減しなければならないということだ。
それは、赤字は永遠に無視することはできない。日本政府の債務比率が前回GDP比200%を超えたのは、第2次世界大戦中のことだった。それに続くハイパーインフレは、政策立案者のトラウマとなり、年金と貯蓄で暮らす高齢者は晩年、生活に苦しむことになった
。」”

と少子高齢化がわが国の財政の脆さと指摘しています。
自然増する社会保障分野の財源が問題であり、その主因は、少子高齢化で、消費税増税は表層問題ですね。
少子高齢化の問題は、わが国の最大の急務の問題で、消費税増税で財源問題を問うより、まずは、子供手当ての充実が先決でしょうね。

堺屋太一氏が、財政赤字は根本的な問題でなく、「政治家が決断すれば解決できる問題」とし、格差・貧困・財政赤字らの問題は、いわば発熱や発疹のような表層症状で本当の問題は、そんな症状を生み出している『体質の老化』と、それを改善できない『自閉気質』なのです」と語っていましたが、財政問題は政治の問題ですね。
問題は、有権者に媚を売らずに、政治家が「国民も血を流せ」と決断するかどうかですね。

また、「日本の財政の脆さ・・・少子高齢化という時限爆弾」で、75歳まで働かないと財政問題は解消しないと論じていますが、多分、そうなのでしょうね。
だからと言っても、麻生首相の「老人は働かせ」発言は、寛容する気持ちになれませんね。

当方は、本ブログ「高齢者は働くしか才能ない」発言・・・暴言!(上から目線発言)」で、麻生首相の真意は別にして、麻生首相発言は、「極論すれば、経営者は、高齢者は働くことしか能(脳)が無いので、如何に、高齢者を上手に働かせれば、経営は良化し、日本の国は、税収増になり、社会保障にカネを回せ、皆が幸せになるということになりますね。」と聞こえます。

高齢者の「不安」は、「自分(伴侶)の健康」「老後の生活糧」であり、また、「老後は、子供にも、他人にも迷惑をかけたくない」という心情があり、蓄財意識があると書きました。高齢者は社会に対して遠慮気味で過ごしているのです。

本ブログ「麻生首相:「老人は働かせろ」発言・・・・致命的な資質を露呈!」では、

”「(麻生首相の言う)元気な高齢者は働きたがっているし、それしか能(脳)が無いのではなく、戦前・戦後の混乱時代に、生きるのに必死であり、子育てに必死であり、そして、老後は子供には迷惑をかけたくないという精神が醸成されてきたのです
高齢者は、元気にいたいのが第一であり、元気であれば、子供にも、世間様にも迷惑をかけずにいられるという思いがあります。
社会は、高齢者には、元気にいてもらいたいということに注力することが肝要で、社会保障が安定充実し、究極は「安心社会」になると考えています。
高齢者自身も、可能な限り、生涯現役で、社会参加したいのであって、どういう形(非生産性でも)であろうとも社会参加することが 元気の源になるのです。
そして、元気にいられなくなった時の終末の安心を願っているのです
。」”

と、元気でいるのに働いていない高齢者を「無駄飯喰い」、『社会のお荷物』と位置づけし、働かせて、社会保障の受給者ではなく、納税者にしてしまえばよいのだという意味の発言をした麻生首相に政権を委ねることはできませんね。

どうせ政権を委ねるなら、平野貞夫氏が言う「友愛」(「自立と共生」)に委ねたいですね。



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