傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

池田信夫氏の「原発の「危険神話」を醸成するのは一部の報道」・・・やはり、雑音・騒音(追記)

2012-01-06 08:43:13 | 社会

池田信夫氏が「JPpress」に寄稿『メディアの大騒ぎが作り出す原発の「危険神話」過剰報道が風評被害と2次災害を拡大する』で、一部の「原発の危険神話」の過剰報道が風評被害と二次災害を拡大するとし、朝日新聞、NHK,自由報道協会を批判しています。
当方には、池田信夫氏流の一部を切り出し、酷評するスタイルは、雑音・騒音としか思えないですね。

池田信夫氏の『メディアの大騒ぎが作り出す原発の「危険神話」過剰報道が風評被害と2次災害を拡大する』の冒頭は、今年から自分の経営するアゴラ研究所のウェブサイトでエネルギー問題についての世界の研究を紹介することになり、その第1号の論文でオックスフォード大学のウェイド・アリソン名誉教授は次のように書いている
”「福島の原子力事故から8カ月の間、原子力問題に関する報道が数多く出ている。しかし放射線による死者は出ていない。これは大変興味深いことだ。
通常は、これほどメディアの注目を集め続けるような大事故であれば、何十、何百どころか何千人もの死者が出ているものだ。[中略] 私たちは何か間違いを犯したのだろうか
。」”
と、書き出しています。

そして、見出し「科学より主婦の実感を信じる朝日新聞」では、”「朝日新聞の10月から続いている「プロメテウスの罠」という連載は、毎日こんな記事が続く。」”と、

”「東京都町田市の主婦、有馬理恵(39)のケース。6歳になる男の子が原発事故後、様子がおかしい。4カ月の間に鼻血が10回以上出た。30分近くも止まらず、シーツが真っ赤になった。近くの医師は「ただの鼻血です」と薬をくれた。 [中略]
 しかし、子どもにこんなことが起きるのは初めてのことだ。気持ちはすっきりしなかった。心配になって7月、知人から聞いてさいたま市の医師の肥田舜太郎(94)に電話した。肥田とは、JR北浦和駅近くの喫茶店で会った。
 「お母さん、落ち着いて」
 席に着くと、まずそういわれた。肥田は、広島原爆でも同じような症状が起きていたことを話した。放射能の影響あったのなら、これからは放射能の対策をとればいい。有馬はそう考え、やっと落ち着いた
。」”

と紹介し、”「連日こういう主婦の非科学的な行動を紙面で伝える朝日新聞は「政府の線量基準は原子力村の御用学者の決めたものだから信用できない」とでも言いたいのだろうか」”
と、朝日新聞は過激な報道を続けていると論じています。

見出し「インタビューを捏造するNHK」では、”「NHKは原発事故報道では冷静な報道を行なったが、12月28日に放送された「追跡! 真相ファイル 低線量被ばく・揺らぐ国際基準」という番組は、事実無根の捏造番組である。」”とし、ICRP(国際放射線防護委員会)のクレメンス科学事務局長のNHKのインタビューの報道を捏造と言及しています。

見出し「ニセ科学者を輸入した自由報道協会」では、”「自称ジャーナリストが、未確認の放射能デマを流し続けた。その最大の発信源が「自由報道協会」(上杉隆代表)である。」”とし、 ”「特に問題なのは、2011年7月にクリス・バズビーなる人物を日本に呼んで記者会見させたことだ。」”と。

”「バズビーの正体が暴かれたのは、高価なサプリメントを売っていることが明らかになってからだ。彼は放射線の影響から日本人を保護すると称して5800円のミネラルサプリや10800円の食品検査を売り込んでいる。

彼を日本に招いてかつぎ回った岩上安身氏は、その後も横浜で福島から飛んできたストロンチウムが見つかったという誤報を流して批判を浴びた。極めつけは、12月4日に彼がツイッターで放ったこの「スクープ」である。

お待たせしました。この二週間あまり、議論にもなっていた、福島の新生児の中から、先天的な異常を抱えて生まれて来たケースについてスペシャルリポート&インタビューします。スクープです。 賛否はあるでしょうが、勇気あるカムアウトした当事者には温かいエールをお送りください。

言うまでもないが、先天性異常は一定の確率で生まれてくる。ある奇形児が原発事故の放射線によるものかどうかは、疫学調査でその地域の奇形児の発生率が有意に高いことが証明されない限り分からない。

 さすがにこの「スクープ」には多くの人々から「福島県人を差別する事実誤認だ」と批判が殺到し、岩上氏はこのツイートを削除して謝罪した
。」”

と言及しています。

そして、結語は、

”「福島第一原発事故は、従来は起こりえないとされてきた炉心溶融が起こったという点では国や電力会社の安全神話を崩壊させたが、炉心溶融が起こると数万人が放射線で死亡するという危険神話も崩壊した。放射能による人的被害は、今後とも考えられない。

 それに気づかないでいつまでも大騒ぎしてデマを流すメディアが、被災者の帰宅を妨げ、風評被害を拡大して2次災害を作り出しているのだ。

 今年はそろそろ頭を冷やして、現実を客観的に見てはどうだろうか。政府はこういうデマに惑わされないで、科学的な根拠にもとづいて被災者を帰宅させ、原状回復を急ぐべきである
。」”

と、炉心溶融による放射能に人的被害は、今後とも考えられないと論評しています。

当方は、池田信夫氏の論評については、一時期、共感する部分もあり、本ブログでも取り上げましたが、各論で全体像を酷評するスタイルに違和感を感じ、最近は、本ブログ「原発事故:池田信夫氏のブログ「酒やタバコは放射線より恐い」・・・雑音・騒音」で、池田信夫氏のブログ『酒やタバコは放射線より恐い』の「放射能に大騒ぎするのは、メディアの拡販策が主因」とする論評は、雑音・騒音に過ぎないと書きましたが、池田信夫氏の論評には共感・同感を覚えません。

池田信夫氏が酷評した朝日新聞の連載「プロメテウスの罠」の記事については、当方も通読し、本ブログ「朝日新聞の『プロメテウスの罠』:内部被曝の真髄(生き証人)へ!」で、軍医で、広島で被爆者の治療にあたった肥田舜太郎氏(94)が内部被爆に拘ってきた契機が、
”「原爆に遭っていないのに、なぜ、(被爆の夫の介護の)女性は死んだのか。それが、肥田が内部被曝にこだわるようになったきっかけだった。」”
とし、
”「現在、放射性物質の許容度が問題になっていますが、正直、絶対的な安全許容値は存在しないのです。
肥田舜太郎氏の言う”「何でもない、心配するな、なんて間違ってもいってはいけない。いつ原爆病みたいになるか、それはだれにも分からないんだから」”が現実的であり、過剰心配と無神経な慢心の2者選択の話ではない、人間生活、社会生活にとって深刻で悩ましい問題のです
。」”
と書きました。

池田信夫氏の”「放射能による人的被害は、今後とも考えられない。」”と言及することは、科学的証明されていないからという理屈であり、「放射線による死者は出ていない」という理屈は、裁判所が、公害の被害者を切り捨てたのと同一であり、多くの公害の被害者が泣き寝入りしたのです。
当方は、本ブログ「朝日新聞の記事「人工操作加えるほど体重増」・・・・内部被曝を連想?」で、複合汚染が生体に悪影響しており、そこに、新たな放射能汚染を加味した複合汚染(遺伝子への影響)が拡大していると書きました。

内部被曝の人体への影響は、科学的に、まだ、検証されていないだけで、何らかの悪影響を及ぼす事は通説になっており、人間は、自然界の摂理に順応すべきで、人間のもつ自然抵抗力・治癒力に準じるのが自然とし、肥田舜太郎氏のいうところの規則的な健康的な生活することで内部被曝の影響を抑えることしかないと思っています。

ブログ「カナダde日本語」様のエントリー『原発事故「収束宣言」が波紋』で、池田信夫氏と上杉隆氏らの論戦、「BLOGOS」AWARDの受賞式(池田信夫氏がブログメディア賞を受賞とは?)後のトーク・セッション動画を紹介しています。
池田信夫氏の高慢な側面を垣間見できますね。

「追記」

朝日・日経・読売よみくらべサイト「あらたなす」の「新聞案内人」コーナーで、元朝日新聞「天声人語」執筆者 の栗田 亘 氏がコラム『猛省しつつ、2つの連載に期待する』で、朝日新聞に籍をおいた人間として、原子力発電に関して、現在連載の朝刊の「プロメテウスの罠」と、夕刊の「原発とメディア」を、”「己の無責任な姿勢を猛省しつつ、私は現役記者諸氏の冷徹・精緻な筆に期待する。」”と書いております。

当方は、朝日新聞の政治、検察・司法分野、特に、小沢一郎氏に関しては偏向の色彩が濃いと思っているが、「プロメテウスの罠」については、商業報道機関として押え気味であるが良識ある報道と好感しています。




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