傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

原発事故:池田信夫氏のブログ「酒やタバコは放射線より恐い」・・・雑音・騒音

2011-05-03 08:33:46 | 社会

池田信夫氏がブログ『酒やタバコは放射線より恐い』で、「放射能に大騒ぎするのは、メディアの拡販策が主因」と書いています。
池田信夫氏の論評は、雑音・騒音に過ぎないですね。

池田信夫氏がブログ『酒やタバコは放射線より恐い』で、

”「いま被災地で問題になっている程度の微弱な放射線はごく弱い発癌物質の一つにすぎず、それを他の健康被害と比べて特別扱いする理由はない。子供の健康を心配するなら、運動場が使えなくて運動不足になるほうがリスクが大きい(1.15倍以上)。
放射能に大騒ぎするのは、読者を増やすためのメディアのバイアス(池田信夫氏のコラム『メディアのバイアスが作り出す「放射能の恐怖」』)にすぎない
。」”

と書いています。

池田信夫氏の論調は、生活習慣と発癌性の関係データを基に、放射性物質と酒・煙草を例示し、微弱な放射線被災は、煙草・酒より発癌性がひくく、過剰心配するなということですね。
要は、相対的な稀少性の過剰報道が経済性を無視した過剰セキュリティを創出させるということですが。

同様な論調は、天木直人氏ブログでも批判していましたが、毎日新聞の発信箱:『ピンを探せ=布施広(論説室)』が、”「放射線を必要以上に怖がる傾向がないとは言えない。逆に、煙害はもっと怖がってもいいと思う」”と書いていました。

毎日新聞の『ピンを探せ=布施広(論説室)』を転載すると、

”「赤ちゃんが泣きやまない時は「ピンを探せ」と言ったのはフランスの思想家アランである。遺伝やら親の性質やら、あれこれ思いわずらう前に、赤ちゃんの肌を刺すものがないか探してみよ、というのだ。

 もちろん一般論だが、原発事故についても似たようなことが言える。
有識者は「放射線被ばくを心配するより、たばこをやめた方がいい」と言うようになった。原発からある程度離れている人には喫煙や受動喫煙の方が身近で大きな危険ですよ、というのは冷静な指摘だ。気持ちも落ち着く。

 私はたばこを吸わないが、東北の被災地を訪れた際は、ハイブリッドの小さなレンタカーに少しばかりの支援物資を積み、援助活動に励む知人のために1カートンのたばこを持参した。ルールを守っての喫煙は一向にかまわないと私自身は考える。

 問題は受動喫煙だ。「あなたの喫煙の権利は認めるが、その煙を私が吸わないで生きる権利を認めてほしい」という自明の要求が、日本ではなかなか理解されない。先進国なのに受動喫煙対策が際立って遅れている。残念ながら、これが日本の特徴だ。

 もう一つの特徴は、核兵器や原子力に対する、ある種の潔癖さだろう。核兵器に対する「核アレルギー」を悪いとは思わないが、放射線を必要以上に怖がる傾向がないとは言えない。
逆に、煙害はもっと怖がってもいいと思う。
原発事故を通して二つの特徴が浮かび上がってきたようだ。

 受動喫煙による世界の死亡者は毎年60万人に達し、うち16万5000人を5歳未満の子供が占めるという世界保健機関(WHO)研究チームの推計もある。日本政府は7年前、国際条約を批准して受動喫煙防止を約束した。国家再建の時である。若い世代を傷つける「ピン」は早く取り除きたい。煙害も、放射線問題も
。」”

と、原発事故による放射性物質の被爆で騒ぐより、受動喫煙を心配しろと聞こえてきます。

池田信夫氏については、本ブログ「池田信夫氏の宇沢弘文氏への批判に一言」で、
”「池田信夫氏については、アゴラ言論プラットフォームの主催者で、先鋭的な意見で、メディアで頻繁に名前に接するが、凡人の当方に言わせれば、部分解を専門知識で最適解と大声で誇張しているに過ぎないと言う印象で、田原聡一朗氏と同質のタイプとも思いますね。
経済原理で世の中の人間の営みを解決できれば、誰も苦労しないですね
。」”
と批判しました。

経済学者の池田信夫氏の論調は、「社会という人間の営みを考慮せず」に、経済原理による部分解を断定的な言い方しているだけです。
一見、正論めいていますが、単なる部分解に過ぎないのです。
人間の営みは、「理想と現実」「本音と建前」「二律背反」の絶対解のない無常の世界で生きており、経済原理は部分解法に過ぎないのです。

当方のブログ「原発事故:小佐古敏荘教授の辞任の波紋」のコメントに、

”「放射能について拡散してください (ソーダ)

放射能問題について、ブログ「春が来た」さんが、とても、大切な事が書かれています。少し、ショッキングな映像があるので、頭がパニックになりますが、子度勿体の為にも見てください。とても、大切です。
一人でも多くの方に、この事実を拡散してください。拡散してください。

・「校庭20ミリシーベルト問題とチュルノブイリの衝撃映像
・緊急報告!ヨウ素129が検出されています
・緊急報告!皆さんに教えてあげてください。放射能・原力発電所のエキスパートHelen Caldicottのアドバイス
」”
がありました。

当方は、ブログ「春が来た」様のエントリーを一見しました。
池田信夫氏、布施広氏に、ブログ「春が来た」様のエントリーをアクセスした上で、見解を聞きたいですね。

当方は、本ブログ「放射性物質汚染:環境汚染物質との複合汚染・・・過剰心配が当然」で、「複合汚染」の著者の有吉佐和子女史を取り上げ、
”「既存の環境汚染物質と放射性物質とが加味された「複合汚染」が生体への危険性は、何ら話題になっていないのは疑問ですね。
多分、複合汚染の危険性は解明されていないのでしょうね。
常識的に考えれば、危険性が解明されていないのであれば、冷静に考えるほど心配過剰になりますね
。」”
と書きました。

ブログ「春が来た」様のエントリー『「結婚して子供産みたい」 東電の住民説明会で怒り、困窮の声 』で、福島県飯舘村で開かれた住民説明会で、東京電力幹部に質問する高校1年の渡辺菜央さん(15)が、
”「子供が産めない体になるのではないかと不安」と訴えた。東電側が「いろんな対策を取り、そうならないように努めています」と答えると、渡辺さんは「だったら、もっと早く避難を呼び掛けてほしかった」ときっぱり」”
と取り上げています。

当方も、このニュースに接して、我々は、子供を守ってやることが大人の責務と痛感しました。
この渡辺菜央さんの質問に、池田信夫氏、布施広氏は、どう答えるのでしょうか?
この程度は心配無用だ、煙草を吸わず、酒を飲まなければ、大丈夫!、心配のし過ぎだ!それより、煙草を止めさせることが先決だ!」と回答できるのでしょうか?

放射性物質の危険性(内部被爆、微弱な放射線量の積算量に比例して発がんや遺伝的影響が現れる「確立的影響」については、科学的究明・治療方法も開発されていない)について、過剰心配と言い切ることができるのでしょうか?

当方は、東日本大震災で子供・孫を亡くされた両親・祖父母が、「自分が替わりたかった!」の報道に接するたびに、親より子供が先に無くなることが最大の悲劇・不幸という思いを強くしました。
科学で解決できない放射性物質の危険性から子供を守ることは、大人の責任です。
経済原理で、選択する問題ではないのです。
池田信夫氏の発言は、雑音・騒音でしかないと思いますね。


「付記」

「週刊ポスト」(5/6/13)で、孫正義氏の生い立ちから創業まで「志」を連載『あんぽん孫正義伝』の筆者の佐野眞一氏が、震災後、孫正義氏とのインタビュー記事『私欲に非ず』を記載しています。

記事では、孫正義氏は、今までは原発については無関心だったが、原発事故の非常事態にはもっと危機意識を強く、ややオーバーし過ぎるくらいの臨戦態勢をとるべきだったと。

記事の冒頭部の孫正義氏の震災後の迅速な行動の理由に、
孫正義氏:「津波からにげたときにお母さんとはぐれてしまった小学5,6年生くらいの女の子が、翌日、海ぬ向って、『お母さん、お母さん』と叫んでいるシーンをテレビで見て、涙が止まらなかった。でも僕らには、ほんとに小さなことしかできない。自分の非力さに腹が立って、悔しくで仕方がなかった。それこそ、人生観が変わるぐらいのショックでした
と語っています。
そして、政府発表は、日本独自のモノサシで安全基準だったと、ある種の虚飾・粉飾と批判しています。

佐野眞一氏:「避難所ではどんなお話をされたんですか?
孫正義氏:「僕はなきながら話しましたよ。早く1キロでも遠くに逃げないと、健康に害が及びますよと。あなたはいいかもしれないけれど子どもたちが可哀相じゃないかと。
すると、隣の92歳のおばあちゃんが、『私はそんな遠くところに行きたくない。ここにいたい』と。3日いると体育館でも住めば”都”になっちゃうわけです


佐野眞一氏:「県知事や市長の反応はどうでしたか?」
孫正義氏:「県知事にも市長にも、喧嘩腰でいいましたよ。あなた方がリーダーシップを発揮して、みんなを連れて行かないといけないと、机を叩いて、泣きながら訴えた。
でも、彼らは『政府からの情報がない。政府の指示がないと動けない』。おそらく補償問題とかいろんなカラミがあって、自分たちだけでは意思決定しけれないんでしょう。さらに避難してきている人たちの3分の1はまさに原発で働いていた人たちで絶対に東電や原発を悪くいわない


佐野眞一氏:「リーダーシップなら、強制的に避難させるべきですね。」
孫正義氏:「泣いても喚いても、引っぱたいてでも連れ出すのが本当のリーダーだと思う。
地元の人たちは『誰が家畜にエサをやるんだ』『誰が畑に水をやるんだ』といって動こうとしませんから。
政府が明確に避難命令をださなければいけない。『全額補償するから、安心して、まずは1回非難しましょう』といえばいいんです。
残っている人がいると商店やガソリンスタンドの人たちやその家族も残らざるをえない。人情や義理がからんで、しがらみで動けない。
結局、動けない人は弱者だったり、いい人だったり


・・・・・・

佐野眞一氏は、結語に、孫正義氏を、おべんちゃらでなく、その率直さに胸をうたれたとし、
”「一介の通信業者に過ぎない孫の言動がいま一番注目される。それはリーダーなきこの国の不幸だと思うのは、私だけだろうか。」”
と結んでいます。同感です。

当方は、本ブログ「孫正義氏の[自然エネルギー財団]を酷評する池田信夫氏の印象」で、

”「ソフトバンクの孫正義社長が発足する「自然エネルギー財団」を、池田信夫氏が酷評していますが、池田信夫氏の論評については、一見、正論めいているが、部分解の極論に過ぎずという印象ですね。
当方は、孫正義氏の非現実的と思える事柄への挑戦する姿勢を評価しますね
。」”
と書きました。

本ブログ「中谷 巌氏の新自由主義にもとづく構造改革の懺悔のついて」で、中谷 巌氏は、
”「経済学は価値観を入れてはいけないという学問。
 歴史とか文化などの価値は議論に入れてはいけない学問なんですよ。
 だから、すごくロジカルで分かりやすい。
 だから、世界に普及してしまう。
 例えば、竹中平蔵さんはどんな問題にもきちっと答えられるでしょう。
 経済学の知識が体系立てて頭に入っている人は、どんな問題でも必ず
 答えられる
。」”
の発言を紹介し、経済学には、社会という人間の営みを考慮していないと書きました。

池田信夫氏が孫正義氏を酷評できる学者か、人物か、大いなる疑問です。
孫正義氏の震災後の言動は、経済原理の損得の計算でなく、人間のもつ「情」が源と思えます。




2 コメント

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原発利権の家畜 (真実の人)
2011-05-03 14:38:50
経済学者というよりも経済評論家の池田氏は過去に原発より怖いものに車、酒、タバコと出してきたが三流学者にありがちな数字のまやかしによる三段論法で説得力はゼロに等しい。と言うか読んでいて思わず失笑してしまう。ところどころ的を得たようなことを書くから余計につかみ所がない。
池田氏の文章は国民の過剰反応を静めるどころか逆に煽っているようにも見える。
噴飯もの文章で火に油を注いでいるとしか思えない。

放射線の安全性を強調するだけなら分かるが、原発擁護するが為にあっちこっちに噛み付く池田氏の下劣な人間性がさらけ出された一面だと感じる。
池田氏は典型的な原発利権で生きる人間の浅はかな姿で非常に見苦しい。
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Unknown (砕かれた四月)
2011-05-29 07:22:57
池田信夫氏は「ネット限定極論エンターテイナー」ともいうべき存在で、世間的な影響力も皆無に近いので、その変な論理をおもしろがればいいのです。彼に本気で反論する人は、自分のレベルを晒しているようなもので見ていてちょっと恥ずかしい。
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