12月2日の朝日新聞の「天声人語」で、児童生徒の暴力行為が6万件(昨年度)を超え、年々増加傾向にある現下を、言語能力・コミュニケーション不足と書いていますが、当方は、それ以前に、児童生徒の「生体」に問題が潜んでいるのでないかと思っています。
「天声人語」を転載すると、
”「「癇癪(かんしゃく)を起こす」とか「癇癪玉を破裂させる」とか、以前は言ったものだ。いつしか「キレる」という、寒々とした言葉がとって代わり、世の中も殺伐となってきた。大きい癇癪玉の破裂は「ブチキレる」などと言う。荒い言葉である
▼殺伐感は学びの場にも募っているようだ。文科省の調査によれば、昨年度に確認された児童生徒の暴力行為は約6万件にのぼった。この3年で7割増え、過去最多だという。数字がすべてではないだろうが、ゆゆしき事態には違いない
▼彫刻刀を振り回す。床に倒した友だちの顔を踏む。そんな行為も起きている。給食のときに「自分だけ少ない」と文句を言われた配膳(はいぜん)係は、怒って容器をまるごとひっくり返した。この程度のことは珍しくないという
▼「怒りをうまく言葉にできないようだ」と、あるベテラン教諭は印象を語る。人材育成コンサルタントの辛淑玉(シン・スゴ)さんも同じ指摘をしていた。「怒る」とは言葉で感情を表すことをいう。しかし表現する言葉を失ったときに、人はキレる(『怒りの方法』岩波新書)
▼キレやすい人は往々にして表現の力が乏しいそうだ。自らの感情を受け止めて、相手に伝える。そうした言語力の「堤防」が低いと、感情はたちまちあふれて洪水を起こしてしまう
▼携帯やゲーム、会話の減少など、他にも様々な要因が背景にあるようだ。「良い怒り」は人間関係をつなぐ。だが「キレる」とそれを絶ってしまう、と辛さんは言う。大人も含めて、「怒り方」のゆがんだ社会は笑い方を忘れた世界のように虚(むな)しい。」”
と書いています。
文中にある文科省の調査とは、21年11月30日に発表した『平成20年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(暴力行為、いじめ等)について』を指し、新聞各社も記事にしていました。
調査は、文部科学省が児童生徒の問題行動について、今後の生徒指導施策推進の参考とするため、標記調査を実施とあり、各新聞社も、「天声人語」が記述しているように、児童生徒の問題行動を言語能力の未熟さ・コミュニケーション能力不足が要因かと書いていますが、当方は、能力を問う以前に、生体自体が何かに侵され、変調しているのではないかと邪推しています。
当方は、、「環境汚染物質 」が生体に悪影響しているのでないかいう懸念を持っており、本ブログ「環境汚染物質の生体への影響調査・・・・賛成です」で、環境省が実施する「環境汚染物質 子への影響調査」には賛成と書きました。
再度、「環境汚染物質 子への影響調査」(NHKニュース)を記述すると、
”「ダイオキシンや鉛など身の回りの環境汚染物質が子どもの健康に及ぼす影響を解明するため、環境省は、全国のおよそ6万人の子どもを対象に、生まれてから12歳になるまで継続的に発育状況などを調べる大規模な調査を来年度から始めることになりました。
この調査は、ダイオキシンや鉛などの有害な化学物質や、人や生き物のホルモンの働きを乱す「環境ホルモン」など、身の回りにある微量の環境汚染物質が水や空気、食べ物などを通して子どもの健康に及ぼす影響を解明しようと、環境省が来年度から実施するものです。
調査は、全国のおよそ10地域で生まれた6万人の子どもを対象に、生まれてから12歳になるまで継続的に行われ、心身の発育状況やアレルギーがあるかどうかなどを調べます。
環境省によりますと、日本では小児ぜんそくがこの20年間におよそ3倍に増えているほか、生殖機能などに障害のある子どもの割合も増えており、化学物質との関連が指摘されています。
環境省は、先月イタリアで開かれたG8環境相会合で先進各国にも同様の調査を呼びかけ、協力して実施していくことを確認しました。
子どもを対象にこれほど大規模な調査が行われるのは初めてで、環境省は、この調査でさまざまな化学物質の中から子どもの健康に影響を及ぼす物質を絞り込みたいとしています。」”
と、「身の回りにある微量の環境汚染物質が水や空気、食べ物などを通して子どもの健康に及ぼす影響を解明しようとする調査」です。
要は、環境汚染物質が子供の生体に悪影響があるということで、この悪影響が、児童生徒の問題行動の根源ではないかと憶測できます。
先のブログで、子供が変調として、「アトピー、多動児&すぐにキレる短絡児など情緒不安定等・・・」が増加したとし、生体の変調の要因として、『環境ホルモン(外因性内分泌攪乱化学物質)と指摘し、現在は、空気汚染、食物汚染、薬剤汚染により、有害化学物質(環境ホルモン)を体内に入り込み、ごく少量で体内のホルモン系の働きをかき乱す。
その結果として、私たちの体に異変が起こり、妊娠にも大きな悪影響を与えている』と書きました。
我々の団塊世代では、小中学校時代を振り返ると、「鼻たらし」や「おでき(吹き出物)」の人間は、確かに居ましたが、情緒不安定な人間は皆無で、アレルギー体質も、アドピーも、花粉症の人間など記憶になく、何か我々の生体に変調してき、特に、児童生徒に大きく現出化しているのではないかという疑問を持っています。
当方は、教育の制度や躾や先生の質の問題以前に、小学生の教室現場の実態を把握し、如何に情緒不安定やアレルギー体質の児童が多いか?を認識し、まずは健常な身体にするかが先決ではないかと問題意識を持っております。
教育現場で、先生が疲弊する問題にも、つながりがあるのではないかと推測しています。
最近、消費者庁がマーガリンに含まれる「トランス脂肪酸」の表示義務を指示したが、トランス脂肪酸については、生体に悪影響することは既成事実であり、「食育」が叫ばれているのに、何か後追いの気がしますね。
文部科学省による児童生徒の問題行動について実態調査は、現象の調査であり、その分析も結構だが、環境省は、環境汚染物質が子どもの健康への悪影響の問題意識をもっているみたいですが、国全体で注視するテーマだと思いますね。