靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

子育て、右手と左手の実践

2012-01-21 00:57:03 | 子育てノート
自分は今のところ宗教には属していないけれど、宗教組織に様々な問題があるからと宗教の根幹近くにある教えまでも全て否定してしまうのは、「揺り籠ごと赤子まで捨ててしまう」ようなものだと感じている。宗教の教えの中には、まぶしく光を放つものが多々ある。あと属するか属さないかは「縁」の問題。

子育てについて、究極の実践はこのユダヤの教えに表されているのだと思う。

“Let the left hand push away while the right hand draw near”(Sotah, 47a)

「右手で近くに引き寄せつつ、左手で押しやりなさい」

右手とは「利き手」の意。利き手の方が利き手ではない方より少し強く力を込めることができる。少し弱い左手で押しやりつつ少し強い右手でしっかりと抱き寄せなさい、という意味の教え。

無条件の愛情に常に重きをおきつつ、一人で旅をさせる。この絶妙のバランスが子育てに必要なのだとつくづくと感じている。ついつい「左手で押しやる」ことばかりに気をとられて右手がだらりと下がっていたり、またはついついしっかりと両手で抱えこんでいたり。

私の場合、5人子育てをしてようやくこのバランスがほんの少しだけ分かってきたように感じている。奥の奥で何かあるとすぐに途絶えてしまっていた無条件の愛情。

どんな状況でも無条件の愛情を根底に流しておくという感覚。その上にあれはダメこれはダメ、こうした方がいいああした方がいいをのせ、一人で体験させ。

子どもは親の内に無条件の愛情が流れているかを敏感に感じ取れる。それでも無条件の愛情だけで何でも受け入れていては子どもは育っていかない。

「押しやると抱える」、相矛盾したように見える力の流れ。矛盾を実践していくことはできる。一つの身体に備わる右手と左手が同時に違うことを行えるように。


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2 コメント

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Unknown (mirumiru)
2012-01-21 13:28:07
「かわいい子には旅をさせよ」という言葉がありますが、まさしくこの事なのでしょうか。何かあったら親は貴方の傍にいるから安心して、、、、。
この安心感はやはり幼少時代から青年期、親と一緒に暮す中で培われていくものなのだろうと思います。無条件の愛と信頼関係を築き、子はいつしか親元を離れていくのですね。
興味深い記事、ありがとうございます。
バンガロールは、気持ちの良い土曜の朝を迎えました。
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mirumiruさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2012-01-22 20:43:38
「可愛い」に「右手」が表されているのかもしれませんね。旅の途中で何があっても必ずここにいるからと、そんな風に構えていられたら。

子どもの内の安心感は、赤ちゃん期からの親との暮らしの中で培われるものなのだと私も思っています。無条件の愛を底に流しつつ、様々な体験を通して引いたり押したりしながら信頼関係を築いていけたら。そして本当ですね、いつしか子ども達は巣立っていく。

限られたこの一日一日、気持ち新たに子ども達に向き合っていきたいです。

こちらこそいつも興味深い温かい言葉、ありがとうございます。こちらは日曜日の始まりです。からりと晴れ渡りまぶしく寒い寒い日になりそうです。感謝を込めて。
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