靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

星空の下に建つ小屋

2011-10-16 01:04:07 | 出来事や雑感や (行事)
この時期ユダヤ・コミュニティーを通り過ぎると、家々の前に小さな小屋のようなものが建っているのに気がつく。「スコット(Sukkot)」という行事を祝うため。

「スコット」はヘブライ語でこの小さな小屋を指す「スッカ」の複数形。「スッカ」はエジプトを脱出し奴隷から解放された後40年間砂漠をさまよった時の住居「幕屋(tabernacle)」を意味する。

ユダヤの人々は7日間この小屋の中で食事し眠る。「スッカ」の天井は葉や枝で覆われていて、空が見えるようになっている。便利な生活を離れ質素な小屋で星を眺めながら眠ることにより、砂漠でさまよう生活でさえいかに守られていたか、普段当たり前になっている便利な暮らしも「旅の途中の仮の住まい」でしかない、ということを思い出す時とされている。

キャンプをして星空を眺めながらテントに眠るとき、同じようなことを思い出すことがある。今の当たり前としている生活を全く別の視点から眺めている感覚。

この「スコット」の間、ユダヤの人々は以下の「4つのもの」を「6方角(東西南北上下)」に振るという祈りを繰り返す。
1.Lulav (לולב) –ナツメヤシの葉付き枝
2.Hadass (הדס) –キンバイカ(myrtle)の葉付き枝
3.Aravah (ערבה) – ヤナギの葉付き枝
4.Etrog (אתרוג) – シトロンの実

この「4つのもの」は「4種の人々」「身体の4つの部位」を象徴しているとされる。

1.lulavー味はあるけれど匂いがない。トラ(ユダヤの聖典、広義には人生についての知恵が記された書全てがトラ)を学ぶけれど良い行いのない人々。背骨。
2.hadassーいい匂いがあるけれど味がない。良い行いがあるけれどトラを学ばない人々。目。
3.aravah ー味も匂いもない。トラも学ばず良い行いもない人々。口。
4.etrog ーいい味もいい匂いもある。トラを学び良い行いのある人々。心臓。

ユダヤではこの「4種の人々」が世界の成り立ちに不可欠だとする。身体の成り立ちにこの4つが必要なように。この「4種の人々」の多様性が世界を成り立たせるのだと。


またキャンプへいきたい、大自然の中で星空を眺めながら眠り、そんなことを思いつつ。


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