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日本会議福岡

「誇りある国づくり」へ、発言し行動します

日本を仮想敵国とする中国の軍拡は脅威

2006年03月14日 | 中国・台湾問題

 昨年、民主党の前原誠治代表と麻生太郎外相が相次いで「中国の軍事力は我国にとり脅威である」という趣旨の発言をし、波紋を呼んだ。中国政府はこの前原発言に抗議の意を表明し、12月に訪中した前原代表との政府及び党首脳会談は拒否するという無礼な対応で報いた。その後、民主党内から前原発言への反発が相次ぎ、前原代表も発言の趣旨の言い訳に追われ、発言のトーンを弱めてしまった。麻生外相発言についても自民党内の圧倒的多数は冷ややかな反応であり、中国の脅威を正確に指摘する声は与野党に殆どなく、中国の言い分に屈した格好である。

 中国政府は建国以来、我国を最大の『仮想敵国』と認定している。この姿勢は不変である。しかも経済発展、経済力の向上と共に、軍事力についても装備の精鋭化に懸命である。核兵器の小型化、新型ミサイルの開発、海軍の新型艦艇の増強、空軍力の増強を主目的とし、軍事力を飛躍的に増強している。しかもその照準の矛先は我国に向けられている。これを我が国の脅威と言わずして何を脅威と言うのか。

 中国の軍事予算は『平成17年版防衛白書』によれば、2005年度は2,447億元(日本円換算で約3兆5千億円)となっている。しかしイギリス国際戦略研究所が編集している文献の『ミリタリー・バランス』(2004―2005)によれば、日本は42,835百万ドル(約4兆9千億円)に対し、中国は55,948百万ドル(約6兆4千億円)となっている。もともと中国の軍事費は政府公表の2~3倍ではないかと言われており、『ミリタリー・バランス』の額のほうが真実に近いのではないか。もしそうであれば中国の軍事費は既に日本の防衛費の1.3倍に達している。
 しかし我が国の防衛費は約4兆9千億円と言っても、その内の約45%は人件・糧食費である。他国の軍隊と異なり我が国の自衛隊員は公務員であり、物価も高いため賃金は世界でも相当高い水準にある。その他にも基地周辺対策費や土地借料といった防衛施設庁の経費にも使用されており、国防を整えるための武器車両、航空機購入費、整備諸費、研究開発費などはそれらを差し引いての費用となる。つまり純粋な防衛費はその半分程度に留まるのである。

 過去17年間中国は、常に前年比2桁増の伸びを記録し、2005年度は前年比16.5%増であった。増大する予算は殆ど兵器の近代化、精鋭化、最新鋭艦船と航空機の購入に当てられている。このような肥大化を続けている軍事力と、覇権主義的国策を継続させている中国について、ブッシュ政権は近い将来大きな脅威となることを政府の政策としてはっきりと認定し、これに対処するために具体的な作業を開始した。

  2004年11月30日にブッシュ政権を支援するシンクタンク[AEI][ヘリテージ財団]とアメリカ陸軍大学付属[戦略研究所]の三者共催による『大躍進-中国軍の将来』というシンポジウムがワシントンで開催された。この会合で「中国の国家戦略、膨張を続ける軍事力はアジア地区の平和と安寧にとって大きな障害となりつつあり、これに即応する為の極東地区の米軍の強化と再編成が必要である」との意見集約が行われた。そしてこの討議結果は、米国の国防計画に取り入れられることになったのである。

 以下、中国の軍事力の一端を紹介する。
  1.総 兵 力 約280万人
 2.核 兵 器 水素爆弾。原子爆弾。中性子爆弾
 3.ミサイル 米国大陸に到達できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を30基。
        2010年には60基を配備できる高性能のICBMを開発中であり、
        2009年には実戦配備の見通しである。
        
短距離弾道ミサイルはすでに500基が配備を完了しており、
        日本向けには核弾頭搭載(広島原爆の30倍)のものが24基
        含まれている。
 4.空 軍 力 老朽化した機種の改編に懸命でロシアから最新鋭のSU27、S
        U30を大量に購入するとともにSU27の自国でのライセンス生
                産を開始。
 5.海 軍 力 米国の空母との対戦を想定し、潜水艦の整備を急いでおり、日本
                近海での海中調査もこれを想定して行なっている。 ロシアから誘
                導ミサイル搭載の駆逐艦ソブレンヌイ型4隻、ディーゼル潜水艦
                キロ級8隻を購入し、配備を完了。
 6.そ の 他 生物化学兵器、地雷の保有数は世界最多である。

  中国の国家戦略はアジアの覇権を目指すことである。自衛隊を圧倒し、米国への牽制能力を備えるために、ここ十数年軍事力の拡大に狂奔している。言わば、台湾進攻や日本との有事を想定し、その為の整備を急いでいると言っても過言ではない。
 嘗て中国の李鵬首相がオーストラリアの首相と会見した時、「2020年には日本という国はこの地上から姿を消している。日本のことは考えなくても良い」と放言したと言われている。この暴言を日本人は忘れてはならない。

 敗戦後60年、米国の核の傘に守られ平和に安住し過ぎた私たち国民一人ひとりの目覚めが必要である。国家の独立と維持のためには、国民に国家防衛の強固な意思と努力が求められる。政府は国民の生命と財産を預かる立場である以上、中国に妥協しない強い姿勢を国民の前に明らかにしなければならない。中国の覇権主義的野望を挫くことができるかどうかは、私たち国民の決意にかかっている。  (春)


高砂義勇兵の碑の撤去を巡って

2006年03月02日 | 中国・台湾問題

 先月17日(金)夜8時頃、日華(台)親善友好慰霊訪問団に電話があった。電話の主は、『中國時報』東京支社の黄菁菁(コウセイセイ)記者であった。内容は、「現在、本国(台湾)の議会で高砂義勇兵英霊記念碑の存続及び撤廃を巡ってガタガタしている。あなたは記念碑に日本人として参列している方とお聞きしているので、ご意見をお伺いしたい」とのことであった。

  私は日華(台)友好親善慰霊訪問団を主宰し、平成11年より毎年11月23日から26日迄の3泊4日台湾を訪問している。趣旨は、先の大東亜戦争で日本人として亡くなられた台湾人3万3千余柱に対して慰霊祭を執り行い、日本国民として深甚なる追悼と感謝の誠を捧げるためである。
 私が初めて台湾を訪問する時、福岡県郷友会の日高清副会長(当時)より「台湾へ行くのであれば観光だけでは駄目だ。慰霊を忘れてはならない」と諭された。以来私は「慰霊」を第一義に掲げ、毎年20名前後の団員を募り訪台している。主な訪問箇所は、宝覚禅寺、鎮安堂・飛虎将軍廟、台湾高砂義勇隊戦没英霊記念碑などである。いずれも日本人として戦われた台湾人の軍人・軍属、或いは日本人が祀られた慰霊地である。毎年11月25日には地元主催で、台湾の靖國神社と称される宝覚禅寺で、大東亜戦争で戦死した元日本軍人・軍属3万3千柱及び台湾住民で戦争の犠牲者となった人々の霊を弔う慰霊祭が行なわれるので、この日にあわせて訪台している。
 台湾は戦後日本から独立したとはいえ、戦前まで50年間は我が国の領土であり、台湾人は日本国民であった。当時日本国民として我が国の為に生命を捧げられた英霊や戦没者の方々に対し、私共日本国民は日本人の英霊と同様に最大限の敬意を表すべきだと思っている。その思いで7年間、私は日華(台)親善友好慰霊訪問を行なってきた。

 先程の黄記者に対して私が答えたコメントが、翌日(2006年2月18日)の『中國時報』に掲載された。私の趣旨に理解を示して下さったのであろう、紙面では「台湾はもっと度量をもつべきである」との見出しが掲げられた。ご参考までにその内容を下記にご紹介したい。尚、新聞の訳は訪問団のほうで行なった(【】の部分は新聞記事には掲載されていないが私が述べた内容なので補足した。下線の部分は新聞では入れ替わっている。私の言葉として掲載されているので、私のほうで入れ替えた)。

《 台湾はもっと度量をもつべきである

 台北県烏来郷に高砂義勇隊の慰霊記念碑を建設することが、日本軍国主義の復活を象徴することだとして、物議をかもし出している。記念碑の設置を支持している日本人はこのことをどのように思っているのであろうか。日華(台)親善友好慰霊訪問団の小菅亥三郎団長は、「歴史的には彼らはまぎれもなく【東アジアにおける英・米・蘭の植民地支配を打破すべく】日本軍として戦い、戦死したのであるから、台湾の人たちは【そういう大義のために殉じた英雄を輩出させた国にふさわしい】度量をもち、私たち・日本人にその碑を建設させるべきだ」と言っている。
 
昨年、日本の「産経新聞」が「台湾高砂義勇隊慰霊碑が取り壊されるにあたって」との記事を掲載すると、多くの読者から沢山の反響が寄せられた。「産経新聞」が読者のために特別募金口座を開設したところ3,000万円を超える募金が集まり、今年になって慰霊碑の移設が可能となった。しかし、台湾でそのことが報道されると、記念碑を排除しようという騒動が起こった。「産経新聞」に記載してある「高砂義勇兵慰霊碑保護会事務局」は広報担当者が不在ということで論評を避けた。
 訪問団を率いて訪台し、高砂義勇隊慰霊碑の前で慰霊式に出席したことのある小菅団長は「日本統治下の台湾も大東亜戦争を戦ったが、とりわけ高砂義勇隊は相当の戦死者を出しながらも、その英雄的戦いぶりは未だに語り草になるほど日本人の尊敬を集めている」と言った上で、「国民党による占領後の台湾では、日本のために命を捧げた英霊は無視された」、「日本人の考えによるとこれらの忠魂は落ち着く所がないため、慰霊碑を建立することが必要であり、そのことは英霊を慰めるだけでなく、未来永劫にわたって祖先の英雄的功績を顕彰し続けることになる」と強調した。》

 私が残念なのは、日本を代表する新聞社が日本人としての立場からの意見を発表できないことである。『中國時報』からの私への取材も結局は産経新聞の「高砂義勇兵慰霊碑保護会事務局」がノーコメントだったことによる。おそらく現在の歴史教育が改善されない限り、日本人としての歴史が回復される営みが真剣に模索されない以上、こうした歴史問題に対して日本人は自信を持てずに発言できないのではないかと危惧される。国民が自国のことを正しく語れないことは、まさに国家的損失以外の何物でもない。

  尚、この件についての最終的な決着は、高砂義勇兵の碑は存続されることになったが、残る8基は撤去されることになった[下記の新聞記事参照]。日本国民のために全てを擲って戦われた台湾の英霊の方々を顕彰する碑が失われていくことはまことに残念でならない。碑を失うことは歴史を失うことにほかならない。たとえ碑が失われても私共国民は、台湾の英霊の方々の恩を決して忘れてはならない。

《 台北市郊外の烏来郷に移設が完了した先住民出身「高砂義勇兵」の英霊記念碑が、台北県政府から撤去指示を受けた問題で、同県政府は二十四日、記念碑そのものは存続させ、残る「皇民」など日本語が入った石碑八基を撤去した。作業は設置者である地元の了承を得て行われ、存続の可否をめぐり一週間にわたって揺れたこの問題は、両者がぎりぎりの妥協案を見いだした形となった。 ‥‥(中略)‥‥ 今回の結果について、移設を行った記念協会の簡理事長は「碑を日台のきずなにしたいという日本からの善意を十分に生かせず、申し訳ない。(移設問題で)高砂族の歴史と民族としての思いに台湾中が注目し、記念碑だけは残すことができた」と話している。》[産経新聞/18年2月25日]   (亥)