市場ですらない

2007年03月26日 | Weblog
【1】(民主党の桜井充議員は)規制緩和という名の下に、規制が歪められ、一部の人間がそれによって利益を得ていることを、ザ・アールの奥谷禮子社長、オリックスの宮内義彦氏などの例を挙げ糾弾。経済財政諮問会議、規制改革会議などで、責任を持たない有識者と称する人々が権力をかさに自社の利益を上げていることを、最大の政治の危機だと指摘した。
ザ・アールの奥谷氏に関して、ザ・アールが日本郵政公社から、マナー向上のための事業として4年間で8億円の取引をしていることを挙げ、こうした会社の社長が日本郵政株式会社の社外取締役になることの是非を詰問。菅総務相は、「実績による」「郵政審議委員として実績があった」としたが、櫻井議員が、奥谷氏の「過労死は自己管理」との発言をどう思うかと質したのには、「発言が事実なら不適切」と答えた。櫻井議員は、この答弁を受け、「不適切な発言があるなら(社外取締役)検討を」と迫った。菅総務相は「委員の意見も参考にさせていただく」と答えた。
最後に、オリックスがレンタカーの車検の1年延長を議題として取り上げたことを挙げ、これにより4億円の利益になること指摘した。(民主党HPより)

【2】
   ライブドア(マザース時価総額1位)の場合
【容疑】グレーゾーンの粉飾疑惑15.8億円
【制裁】東京地検特捜部が強制捜査、ネガティブキャンペーンで世論を検察の味方にする。 社長を逮捕、上場廃止、関連会社も即時掛け目0、魔女狩り裁判で4年の実刑を求刑。

  日興コーディアル(日経225採用銘柄)の場合
【容疑】会社ぐるみで140億円粉飾の後、500億円もの社債を発行
【制裁】売り上げた500億円のうち5億円の課徴金でOK、社長交代予定
    監理ポスト(2ヶ月ほど株価が下がるだけ)

逆転の上場維持の決定。理由は、以下のとおりらしい。
〈1〉日興が組織的に関与していたとの確証が得られなかった
〈2〉赤字を黒字にするような粉飾決算ではなく、利益の水増し額が多額ではない
〈3〉過去の例に照らしても上場廃止するほどではない。

はあ???
組織的でなければ、140億円もの粉飾など出来るわけ無いだろう。
粉飾決算は、赤字、黒字は関係ないはず。上場企業で粉飾という手法を使って赤字にする企業なんてあるわけ無いじゃん。
過去の例⇒ライブドアの例があるではないか。

私は、ライブドアやホリエモンを擁護するつもりは全くないが、日興コーディアルの処分とあまりにも差がある。政権やあらゆる伏魔殿との癒着が取りざたされても仕方がないだろう。

二つの事例からもわかるように、現在、日本社会で進んでいるのは本来的な意味での市場原理主義でも新自由主義でもない。市場経済のルールを時の権力とそれに結託した連中が捻じ曲げているだけの『市場もどき』だ。
市場経済を人間にとって有益なものにする為に、過去に様々な修正がなされてきた。その修正≒規制を取り払えという連中の本音はあくまで「私だけが儲けたい」という事にいい加減気づくべきだろう。そして、それを後押ししたのが「格差があることは悪いことではない。」と言い放った小泉とその後継と周辺に巣くう連中である。自民党の加藤紘一ですら「世界中の政治家が、方法論は色々あってもなるべく格差を無くそうと努力します、と発言している中で、これは異常な発言だ。」とかつて批判している。確かにそうだ。

私たちは、現在、歪な『市場もどき』― それは必ず格差を助長し、格差を固定化させる ― を許容するのか岐路に立っている。