安倍倍首相の突然の辞意表明に国民は驚愕した。
翌日の各紙報道を見ると一部を除いて「無責任」「裏切られた」等と首相への非難、批判のオンパレードだった。しかし、安倍首相の提唱する「戦後体制からの脱却」は正論であり、憲法改正を争点にした参院選に共鳴した国民は少なからずいたはずだが、その良識ある国民の声なき声を代弁する参議選候補者の多くは、残念ながら落選した。
しかし、日本会議が推薦した衛藤晟一、有村治子の両名の当選は、真正保守政権の継続を期待する草の根保守陣営の力が健在である事を具体的に示した。
また、拉致の中山氏、元自衛隊イラク派遣隊長の佐藤正久氏の当選もその期待をつないだ。
それにしても、安倍自民党の敗北は予想以上だった。
戦後体制からの脱却の象徴である「憲法」改正、公務員改革を参院選の最大の争点にされると一番困る勢力が徹底抗戦した。民主党の中には戦後体制に寄生している連中が潜んでいる。つまり日教組、自治労をはじめとした労組、さらには一部霞ヶ関官僚が全力でそれを阻止する抵抗勢力となった。彼らはスキャンダルを探しては一部左派マスコミとリークして「年金選挙」「政治とカネ」へと戦後体制からの脱却を矮小化していくことに全力を挙げたはずだ。結果的に国民は、一部労組、野党が一部左派マスコミ通じて流す情報に国民は完全に踊らされた。
「政治家は国民のコピー」と言われるが、首相は国民の意識の低さに半ば落胆したのではなかろうか。 それでも政権を投げ出さず一縷の望みを抱いて続投を決意したものの、度重なる閣僚、党員の不祥事に加え、テロ特措法延長に野党が反対し、万一日米同盟に亀裂が生じては、首相として責任が取れないという危機感、更には心身共に疲労困ぱいしては、的確な判断できず国民の期待に応えられないと思慮して、今回の辞意表明となったのであろう。
後継首相は、我が国の体たらくの原因は、那辺にあるかを見極め、新教育基本法を学校で忠実に見現化し、GHQ体制にドップリ浸かった国民を覚醒させる政策をぜひとも進めてほしい。願わくば、伝統文化に根ざした政策で、我が国の再生を目指してほしい。
持留 忠二(元公立中学校校長)