「 ダラス・バイヤーズクラブ 」 DALLAS BUYERS CLUB

社会の矛盾に一人立ち向かう男、その破天荒な生き方に激しく共感！
舞台は、エイズが主として同性愛者の中で感染が拡大する中、ロック・ハドソンの死がセンセーショナルに報じられ、エイズ患者 ＝ 同性愛者と言う認識が一般的だった1980年代初頭のダラス。

テキサス生まれで、根っからの女好きで、ドラッグやアルコールや賭け事で自堕落な毎日を過ごしていた主人公のロン・ウッドルーフが HIV 陽性と診断され、余命30日と宣告されるところから物語は始まる。



最初は誤診だと言い張り、現実を受け入れないロンだったが、自分の体調を鑑み文献を調べていくうちに HIV キャリアであること認識しはじめ、やがて政府未承認の薬に有効なものがある事実を察知し、海外から大量の無認可薬をアメリカに密輸しはじめ、それを一般に流通させることによりエイズ患者の希望の星ととなるというのが大まかなアウトライン。



そしてそうした彼の行動を描くことが結果的に、医療行政の矛盾、製薬会社と食品医薬品局（ FDA ）との癒着、さらには無責任な病院治療といった当時の医療現場の実態へと迫っていくのだけど、そうした問題提起を大上段に振りかざすのではなく、ある意味普通のカウボーイ兄ちゃんが 「 生への執着 」 をバネにあれこれ考えながら実行に移す姿を、決して綺麗ごととしてではなく清濁取り混ぜ、等身大で描いている分、観ている側にとっては、よりリアルに伝わってくるのだ。



そしてそれは取りも直さず、エイズ患者を演じるため 21キロにおよぶ減量を行ない、鬼気迫る演技を見せたマシュー・マコノヒー 、そしてロンの相棒となるエイズ患者でトランスセクシャル役を哀しくも危うい妖艶な魅力を発しながら演じたジャレッド・レト、という二人の男優の役への見事なまでのなり切りぶりに依るところが大いにあったりしたのだ。



ともあれ、決してお涙頂戴といったヤワなつくりではないながらも、グッとくる終盤のシーンを含めて、もうひとつのヒーロー物語としてもカタルシスをも感じさせてくれるので、機会があれば是非！
かなり、かなり、オススメなのであります。

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今日の１曲　“ Ballrooms Of Mars ” : T. Rex

やっぱりこの時代、象徴的に使われる音楽と言えば、やはり彼らの曲というのが、ある意味わかりやすかったりもしたのでありました。