お墓を掃除する暗示的でちょっとドキドキする冒頭のシーンから「死」をそこかしこに見え隠れさせつつ、時にコメディとして、時にサスペンスとして、そして時にフェアリーテールとして、さまざまな「顔」を見せてくれるペドロ・アルモドバルらしい鮮やかな色彩感覚に彩られた作品。
そして基本的には楽しんで観ることが出来たのだけど、うーん、何と言ってよいのやら。
「オール・アバウト・マイ・マザー」は息子やゲイの側から見つめた母親像という意味合いも強く分かりやすかったけれど、この作品では完全に女性の視点に立っていて、かつ男に対する何とも見事なまでにしょうもない存在としての酷い(苦笑)扱いぶりに、それはそれでしょうがないなあと思いつつも、どうしたものかと、いささか戸惑ってしまった(汗)。
ストーリーそのものは、込み入っているように思わせつつ実のところ格段変った話ではなく、そうした話の筋を追うより全体を覆う女性たちのたくましさに魅了されれば、それはそれで良いのかなとも思う。
加えて、村でただ一人のヒッピーの話とか、下品なTV公開番組とか、はたまたヴィスコンティの「ベリッシマ」とか、いろいろ取り揃えたエピソードの品揃えも結構好きだったし、それよりも何よりもあたかもソフィア・ローレンみたいなイタリアおばちゃんというか、すっかりふくよかになってしまったペネロペの肝っ玉母さん振りが堂に入っててお見事。
年齢的にちょいと若い分、母子三代物語の中では母親というより娘としての比重が高くなりそうなものだけど、ところがどっこい体重増加&付け尻(!)までして全然無理なくラテンの母~の役を演じ、特に吹き替えだと感じさせない歌のシーンあたりはかなり感動的。
とは言え正直言って、どこかしら妙に収まりの悪さも感じてしまい、あたかもそれは女性の井戸端会議に遭遇したようなもので(ん?)、「ワシにはよう分からん」と諸手を挙げて絶賛とは言いかねるものがあったのも事実だったのだ。
それにしても余談ながら、字幕が松浦美奈さんとクレジットされているのを見て、英語のみならずスペイン語まで堪能だったとは! その才能に軽く驚いてしまったぞ。
今日の1曲 “ VOLVER ” : carlos gardel
映画の中でペネロペが口パクとは思えない情感溢れる歌いっぷりで歌う「VOLVER」は、知る人ぞ知る1920年代から30年代にかけてアルゼンチンで活躍したタンゴの最高の歌い手、カルロス・ガルデルの音楽史上に残る名曲。
ちなみにこのカルロス・ガルデルという人、人気絶頂のときに「ラ・バンバ」のリッチー・ヴァレンスと同様に飛行機事故で亡くなったこともあって、今なおタンゴ界の偶像というにとどまらずアルゼンチンの国民的英雄としての地位を不動のものにしているんだそうです。
はじめて聴いて思わず感動してしまった1935年当時の映像はコチラ
そして基本的には楽しんで観ることが出来たのだけど、うーん、何と言ってよいのやら。
「オール・アバウト・マイ・マザー」は息子やゲイの側から見つめた母親像という意味合いも強く分かりやすかったけれど、この作品では完全に女性の視点に立っていて、かつ男に対する何とも見事なまでにしょうもない存在としての酷い(苦笑)扱いぶりに、それはそれでしょうがないなあと思いつつも、どうしたものかと、いささか戸惑ってしまった(汗)。
ストーリーそのものは、込み入っているように思わせつつ実のところ格段変った話ではなく、そうした話の筋を追うより全体を覆う女性たちのたくましさに魅了されれば、それはそれで良いのかなとも思う。
加えて、村でただ一人のヒッピーの話とか、下品なTV公開番組とか、はたまたヴィスコンティの「ベリッシマ」とか、いろいろ取り揃えたエピソードの品揃えも結構好きだったし、それよりも何よりもあたかもソフィア・ローレンみたいなイタリアおばちゃんというか、すっかりふくよかになってしまったペネロペの肝っ玉母さん振りが堂に入っててお見事。
年齢的にちょいと若い分、母子三代物語の中では母親というより娘としての比重が高くなりそうなものだけど、ところがどっこい体重増加&付け尻(!)までして全然無理なくラテンの母~の役を演じ、特に吹き替えだと感じさせない歌のシーンあたりはかなり感動的。
とは言え正直言って、どこかしら妙に収まりの悪さも感じてしまい、あたかもそれは女性の井戸端会議に遭遇したようなもので(ん?)、「ワシにはよう分からん」と諸手を挙げて絶賛とは言いかねるものがあったのも事実だったのだ。
それにしても余談ながら、字幕が松浦美奈さんとクレジットされているのを見て、英語のみならずスペイン語まで堪能だったとは! その才能に軽く驚いてしまったぞ。
今日の1曲 “ VOLVER ” : carlos gardel
映画の中でペネロペが口パクとは思えない情感溢れる歌いっぷりで歌う「VOLVER」は、知る人ぞ知る1920年代から30年代にかけてアルゼンチンで活躍したタンゴの最高の歌い手、カルロス・ガルデルの音楽史上に残る名曲。
ちなみにこのカルロス・ガルデルという人、人気絶頂のときに「ラ・バンバ」のリッチー・ヴァレンスと同様に飛行機事故で亡くなったこともあって、今なおタンゴ界の偶像というにとどまらずアルゼンチンの国民的英雄としての地位を不動のものにしているんだそうです。
はじめて聴いて思わず感動してしまった1935年当時の映像はコチラ
という女性たちの評価がすべてなんでしょうね。
それにしても男の居所が全くなくて、いささか困ってしまいました。
な~んかいまいち、だった、わたしも。
「オールアバウトマイマザー」と違って
出てくる女性が”おかん”ばっかだったせいか、
独身OLとしては、100%感情移入出来なかったからかと。
でも、女子を描くことにかけちゃすげ~すな、アルモドバル。
さすがオネエだけありますわな。
carlos gardelの映像は素晴らしいですね。
堂々としてて哀愁があって、国民がいまでも偲ぶのがよくわかりますね。