俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「ある子供」  L'Enfant

2006年04月18日 10時37分05秒 | 時系列でご覧ください
予告編を観ていた時点では、題名の「子供」というのは主人公である若い二人のあいだに出来た赤ちゃんのことを指すのだろうと思っていたが、映画を観進めていくうちに、それはどうやらいつまでたっても大人になりきれていない父親ブリュノのことだとわかってくる。

そういった意味では、子供が子供のままで自ら子供を抱えてしまうという映画だ。

手持ちキャメラ、音楽の排除、街から聴こえる音、時として長いワンカット、まるでドキュメンタリー作品を観ているような気にさえなってくるその演出方法は、極めてリアルで、時としてサスペンスフルにすら感じ、見ごたえ充分。
まるで犬のように二人がじゃれあうシーンもとても印象的だった。

自分で子供を持つという社会的な自覚はまったくなく、あたかも他の盗品のごとくあっさり売ってしまうブリュノ。その安直さにやりきれなさを感じると同時に怖さすら感じた。

自ら出産を経験したことで親としての自覚を持つ母親に対して、決して悪い奴ではないけれどいつまでも子供でいたがるふがいないブリュノ。

いろいろと考えさせられる映画ではあったけれど、やることなすことうまくいかなくなり、どんどん追い詰められた果てのラストシーンの「取り扱い方」にいささか困ってしまった。
流れ的には、ここから始まるというメッセージとして取るべきなんだろうけれど、素直にそんな風に受け取れない彼自身の問題、そして社会的現実がどうしても気になってしまうのだ。ウーム。


今日の1曲  「圭子の夢は夜開く」  :  藤圭子

ご存知、宇多田ヒカルのお母さんである藤圭子の1970年のヒット曲。
~ 十五 十六 十七と私の人生 暗かった 過去はどんなに 暗くとも 夢は夜ひらく
  前を見るよな 柄じゃない うしろ向くよな 柄じゃない よそ見してたら 泣きを見た 夢は夜ひらく

もともとは69年にヒットした園まりの「夢は夜開く」のリメイク作品。このウエット感が時代を感じさせます。
この映画とはまるっきし似つかわしくは無いけれど、つい思い出してしまったということで(苦笑)。
ちなみに三上寛さんは、
~ サルトル マルクス ならべぇ~てもぉ あしたの 天気いゃ わからねえ!ヤクザ映画の看板にっ 夢は夜ひらあ~く
と歌っていましたっけ。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見ました~♪ (ミチ)
2006-04-20 16:24:00
こんにちは♪

うーん、ブリュノはちゃんと働いて子供を養っていけるのでしょうか?

とっても心配です。

音楽がない分ものすごく集中してみることが出来ました。
同じ感想? (mimia)
2006-04-30 10:23:03
この予告編、ずるい~(笑)



この監督の『息子のまなざし』良い映画だとは思うのですが、手ブレ・ハンドカメラの多用で気分悪くなりました。今回はちょっと少な目でしたが、やはりちょっと苦手です。

私は音楽がない分、冷めて見ましたが…。

コメントを投稿