ウッヒョー! 「期待に違(たが)わず」という言葉があるけれど、ようやく、ようやく観ることが出来たこの映画の感想がまさにそれ。
ポリティカル・ポップカルチュア・ファンタジック・ハートウォーミング・ドラッグクイーンムービーとでも言ってしまいたくなるこの映画、背景に重いテーマを背負いつつ、その描き方のなんと軽やかなこと!
幾多シリアスなシーンがあろうとも、テイスト的には一見まるで絵本から飛び出してきたフェアリーテイルのよう。
例えば学校の授業で作文の先生が「イースター蜂起」に言及したり、アイルランド出身のロックバンドである U2 の曲にも歌われている72年ロンドンデリーで起きた「血の日曜日事件(Bloody Sunday)」が語られたり、さらには IRA のさまざまな活動を描くといった具合に当時の政治的状況をしっかり伝えつつも、そうした事柄を決してゴリゴリっと押し付けることなく、当事者であるアイルランド人ならではの視線で冷静に描くさりげなさが印象的。
そして時の移り変わりとともにどんどん美しくなっていく主人公キトゥンを通して垣間見ることが出来る60、70年代のアイルランドやロンドンの姿には、かつてブリティッシュポップカルチュアの洗礼を受けたものにとって、大いに刺激的で、そのひとつひとつの描写に納得するところ大。
基本的には母親を探すことによって自分自身を見つけ出すこととなるといった言わば「自分探し」の成長ストーリーな映画とも言えるかもしれないけれど、片や幼馴染みの友人が爆弾処理の犠牲になったり、別の友達はIRA の手によって粛清されたりと、シリアスで悲劇的な描写はもちろんあるし、それに対する自国の出来事を見る視点の冷ややかさも充分感じ取ることが出来、その一方で、この前観た「 STONED 」では感じえなかったドキドキするほど伝わってくるあの時代の雰囲気が見事に描かれていて、いろんな意味で出色。
そしてそう感じさせてくれたその大きな要素のひとつには、キトゥンに扮したまさに一世一代とまでも言いたくなるキリアン・マーフィー( ← とにかくこんなにキュートなドラッグクイーンは史上初めてと思わせる美貌! そのただならぬ美しさは感動もの! )の見事な演じっぷりであったことは衆目の一致することだと思うけれど、そしてそれに増して劣らないのが、まさにつぼを押さえた魅力的な選曲の数々。
オープニングの ~わっしゅ、われ、われ ♪な“ sugar baby love ”はもちろん、マーク・ボラン率いるT-Rex のまんまの曲名の“ Children of the Revolution ”や 「ウイズアウト・ユー」でお馴染みHarry Nilsson の曲の数々、そして日本ではベンチャーズの演奏で知られる Santo & Johnny の“ Caravan ”、あるいは映画の中で重要な役割を果たした Bobby Goldsboro の切ないラヴソング“ Honey ”、さらには残念ながらサウンドトラック盤には収録されていないけれど、BILLY PAUL の“ Me & Mrs Jones ”や映画「ロード・オヴ・ウォー」のオープニングにも使われていた Buffalo Springfield の“ For What It's Worth ”、はたまたアイルランドが誇るアイリッシュ・ソウルシンガーであるVan Morrison の曲の数々。そうした曲が流れてくるだけで充分に楽しむことが出来、まるで「音楽映画」ともいえそうなほど、そのレヴェルは高く大いに満足してしまった。
とにかくあの時代を知っていなくても充分楽しめる作品であるけれど、あの頃を知っている人たちにこそ強く強くオススメ。 (そうそう、ロキシーミュージックのブライアン・フェリーも怪演していまっせ!)
公開されている劇場はもうほとんどないと思うけれど、機会があったら是非とも劇場で。
今日の1曲 “ Me & Mrs Jones ” : BILLY PAUL
もともとは甘~い、甘~いラヴソングである“ Honey ”しようと思いつつ、キトゥンがはじめて恋に落ちたバンドのヴォーカルとともにトレーラーハウスに行ったときに流れていたこの曲を。
稀代の不倫ソングと言われるビリー・ポールによる72年の大ヒット作であるこの曲、ホール&オーツやドラマティックス、フレディ・ジャクソンなどさまざまなアーティストたちによりカヴァーされています。
ちなみにイギリスのこの映画のサイトに行くと映画の中で使われていた5曲ばかしフルで聴くことが出来ます。
breakfastonpluto.co.uk : www.breakfastonpluto.co.uk/
そしてビリー・ポールの動画はこちらで。
ポリティカル・ポップカルチュア・ファンタジック・ハートウォーミング・ドラッグクイーンムービーとでも言ってしまいたくなるこの映画、背景に重いテーマを背負いつつ、その描き方のなんと軽やかなこと!
幾多シリアスなシーンがあろうとも、テイスト的には一見まるで絵本から飛び出してきたフェアリーテイルのよう。
例えば学校の授業で作文の先生が「イースター蜂起」に言及したり、アイルランド出身のロックバンドである U2 の曲にも歌われている72年ロンドンデリーで起きた「血の日曜日事件(Bloody Sunday)」が語られたり、さらには IRA のさまざまな活動を描くといった具合に当時の政治的状況をしっかり伝えつつも、そうした事柄を決してゴリゴリっと押し付けることなく、当事者であるアイルランド人ならではの視線で冷静に描くさりげなさが印象的。
そして時の移り変わりとともにどんどん美しくなっていく主人公キトゥンを通して垣間見ることが出来る60、70年代のアイルランドやロンドンの姿には、かつてブリティッシュポップカルチュアの洗礼を受けたものにとって、大いに刺激的で、そのひとつひとつの描写に納得するところ大。
基本的には母親を探すことによって自分自身を見つけ出すこととなるといった言わば「自分探し」の成長ストーリーな映画とも言えるかもしれないけれど、片や幼馴染みの友人が爆弾処理の犠牲になったり、別の友達はIRA の手によって粛清されたりと、シリアスで悲劇的な描写はもちろんあるし、それに対する自国の出来事を見る視点の冷ややかさも充分感じ取ることが出来、その一方で、この前観た「 STONED 」では感じえなかったドキドキするほど伝わってくるあの時代の雰囲気が見事に描かれていて、いろんな意味で出色。
そしてそう感じさせてくれたその大きな要素のひとつには、キトゥンに扮したまさに一世一代とまでも言いたくなるキリアン・マーフィー( ← とにかくこんなにキュートなドラッグクイーンは史上初めてと思わせる美貌! そのただならぬ美しさは感動もの! )の見事な演じっぷりであったことは衆目の一致することだと思うけれど、そしてそれに増して劣らないのが、まさにつぼを押さえた魅力的な選曲の数々。
オープニングの ~わっしゅ、われ、われ ♪な“ sugar baby love ”はもちろん、マーク・ボラン率いるT-Rex のまんまの曲名の“ Children of the Revolution ”や 「ウイズアウト・ユー」でお馴染みHarry Nilsson の曲の数々、そして日本ではベンチャーズの演奏で知られる Santo & Johnny の“ Caravan ”、あるいは映画の中で重要な役割を果たした Bobby Goldsboro の切ないラヴソング“ Honey ”、さらには残念ながらサウンドトラック盤には収録されていないけれど、BILLY PAUL の“ Me & Mrs Jones ”や映画「ロード・オヴ・ウォー」のオープニングにも使われていた Buffalo Springfield の“ For What It's Worth ”、はたまたアイルランドが誇るアイリッシュ・ソウルシンガーであるVan Morrison の曲の数々。そうした曲が流れてくるだけで充分に楽しむことが出来、まるで「音楽映画」ともいえそうなほど、そのレヴェルは高く大いに満足してしまった。
とにかくあの時代を知っていなくても充分楽しめる作品であるけれど、あの頃を知っている人たちにこそ強く強くオススメ。 (そうそう、ロキシーミュージックのブライアン・フェリーも怪演していまっせ!)
公開されている劇場はもうほとんどないと思うけれど、機会があったら是非とも劇場で。
今日の1曲 “ Me & Mrs Jones ” : BILLY PAUL
もともとは甘~い、甘~いラヴソングである“ Honey ”しようと思いつつ、キトゥンがはじめて恋に落ちたバンドのヴォーカルとともにトレーラーハウスに行ったときに流れていたこの曲を。
稀代の不倫ソングと言われるビリー・ポールによる72年の大ヒット作であるこの曲、ホール&オーツやドラマティックス、フレディ・ジャクソンなどさまざまなアーティストたちによりカヴァーされています。
ちなみにイギリスのこの映画のサイトに行くと映画の中で使われていた5曲ばかしフルで聴くことが出来ます。
breakfastonpluto.co.uk : www.breakfastonpluto.co.uk/
そしてビリー・ポールの動画はこちらで。
この不倫ソング大好きですー!笑
何気にこの頃の曲がわかっちゃうのがやっぱり年を感じてしまう・・・
わっしゅ、われ、われ ♪・・・・・・見ながら歌いました。笑
いきなりコレがよかったですね~。
背景や出来事は随分暗いのに描き方が軽やかで助かりました。
「嫌われ松子」も似たテイストでしたが、あちらはどうしてワタクシ的にはダメだったのかなと考えてます。
ご唱和ありがとうございます(笑)。
そしてそれよっか、良いっスよね、ビリー・ポール。
加齢(!)とともに以前より徐々に好きになってきている曲がいくつかあるのですが、
この曲もその中のひとつに加わりそうです。
■ミチさんへ
そうでした、思い出しました、ミチさんの「嫌われ松子」の嫌いぶり(笑)。
どこかでもその松子とこの映画の共通点を指摘したものを読んだ気がしますが、
アプローチを含めて作り込み方が松子のそれとは違っていたので、優劣はさておき
さほど気にはなりませんでした。
ちなみに松子はダメでもこの作品ならOKという人って、結構いるような気が
しますです。
でも正確には何て言ってるんですか?
音楽ほんとに楽しかったです。nikidasuさんとご一緒の方は
「これはね○○が歌ってる□□□って歌だよ…」
って教えてもらえるんだろなぁ、なんて思いながら観ておりました。ウソウソ、上映中はおしゃべり厳禁ですよー。
あとチャプターがよかったかな、頭の切り替えに効果的でした。
コメントありがとうございました!(キンキーブーツ)こちらの方もTBさせて下さい♪
題材は重くて暗いのに、味付けがポップでキュートでファッションも素敵でした♪
ひたすら前向きなキトゥンに胸締め付けられっぱなしでした。
YouTube とかのカラオケ映像を見て調べようとしましたが、正確なことは
わからずじまいでした。
まあ、歌詞ではなく掛け声みたいなものだから、ぅわっしゅ、われ、わり♪
これでいーんです(笑)。
なるほど、第何章という扱い、「リトルランナー」でもありましたが、
たしかに効果的でしたね。
■こべこさんへ
はじめまして。
普段はコチラからコメントすることのなく、TBで済ましてしまう無礼者なのですが、
「ディヴァイン」ネタを見つけて、思わずコメント入れさせてもらいました。
それにしてもキトゥン、こんな子が近くにいたら楽しいだろうなあ、と
思わず思ってしまう本当に愛らしいキャラでした。