俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「夜のピクニック」 恩田 陸

2005年04月24日 01時25分37秒 | 時系列でご覧ください
「当たり前のようにやっていたことが、ある日を境に当たり前でなくなる。こんなふうにして、二度としない行為や、二度と足を踏み入れない場所が、いつの間にか後ろに積み重なっていくのだ。」

単行本として発表されたときから読もう読もうと思いつつ、先延ばししているうちに「本の雑誌が選ぶ2004年ベスト1」になり、吉川英治文学新人賞をとってしまい、ついには「2005年 第2回本屋大賞受賞作品」にまで選ばれてしまった恩田陸の「夜のピクニック」。

「日が暮れてしまうと、逆に少しずつ元気になってくる。自分が新たな世界の住人になったことを認めたからだ。昼の世界は終わったけれども、夜はまた始まったばかりだ。物事の始まりは、いつでも期待に満ちている。」

全校生徒が参加して夜を徹して80Kmの道のりを歩く「歩行祭」。高校3年の秋にその行事に参加する高校生たちの姿を同じクラスにいる異母兄弟の話が軸となって描いたこの作品。

「なぜ、振り返ったときには一瞬なのだろう。あの歳月が、本当に同じ一分一秒毎に、全て連続していたなんて、どうして信じられるのだろうか。」

高校生活最後の行事、しかも夜、友達と過ごす時間をリリカルに描いたこの青春小説、思わず自分の青春を思い出してしまう人たちには、ノスタルジィに浸れること必至だ。

ただ、ここんところいろんなことがあって、いささかめげていたせいか、はたまた大阪出張の行き帰りに読んでしまったというビジネスモードが少々邪魔したのか、個人的には深い感動を覚えるまでには至らなかった。

とにかくここに出てくる高校生たちのあまりの「真っ直ぐさ」に、世の中ついつい斜に見てしまう当方、いささか動揺してしまいました。こんなにストレートでいいのでしょうか?

そして例えばアメリカに住んでいる同級生の弟が出てくるくだりでは、相当に違和感を持ってしまったぞー! ウーム。

確かにここには数十年前の(そして且つ、もしかしたら普遍の)「青春」があるんだろうけど、ブツブツブツ・・・・・。



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