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“善良王”と呼ばれた現英国女王エリザベス2世の父ジョージ6世が、幼い頃からの吃音の障害に苦しむ中、望まぬ王位継承という自らの運命と葛藤しながら、困難を克服していく姿を描き、オスカー主要部門を総ざらいし、すっかり話題となった作品。
予告編からはコリン・ファース演じるバーティー(ヨーク公アルバート、即位後ジョージ6世)が吃音を克服してゆく姿を描いた映画だという印象が強かったけれど、それは大きなとっかかりで、オーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)とのやり取りを縦軸に、 厳格な父や養母から幼少期に受けた心の傷、父と奔放な兄(ガイ・ピアース)との確執、兄のアメリカ人の恋人ウォレス・シンプソン夫人との結婚騒動、そしてその兄の退位にともなう自身の即位などなど、彼をとりまく様々な出来事がめまぐるしく描かれ、大英帝国の国王と言えど、まずもって一人の人間であるという悩み多き姿が見事に描かれているのだ。
実は映画の中でバーティーの吃音は治るわけではない。
ただ、冒頭に描かれるウェンブリー・スタジアムで行われた大英帝国博覧会での閉会スピーチに較べ、その後の二人の努力の結果、戦争を控えた英国本国の国民、植民地の国民、そして出兵している兵士たちへラジオを通して語りかけるように話すスピーチは、人々の心に間違いなく伝わっていく、その姿はやはり心を打ち大いに感動的だ。
主人公二人に扮するコリン・ファースとジェフリー・ラッシュをはじめ、久しぶりにエキセントリックではないヘレナ・ボナム=カーター、ティモシー・スポール、ガイ・ピアース、マイケル・ガンボン、デレク・ジャコビと、まさに英国&オーストラリアオールスターキャストで、それぞれのつぼを得た演技も見どころたっぷり。
特にオスカーの受賞の際に軽妙なコメントに大いに笑わせてもらったコリン・ファースの噂に違わないリアルな演技は本当にお見事。
それを見るだけでも観る価値、充分であります。
それはともかく、人と人との出会いによってやがて何物にも代えがたいものを得ていく姿を、時にイギリス人らしいユーモアを交えながら、丁寧な人物描写や緻密に計算された言葉の応酬によって奥深く描いてあり、普遍性のあるドラマに仕上がっていたのであります。
ということで、機会があれば是非!
大いにオススメであります。
今日の1曲 “ Symphony no. 7 in A Major: Allegretto ”
ジョージ6世が国民に向けてラジオを通じて開戦の演説をするシーンに使われていたのがこの曲でした。
こういう使い方もうまいんだよね、やっぱり。
“善良王”と呼ばれた現英国女王エリザベス2世の父ジョージ6世が、幼い頃からの吃音の障害に苦しむ中、望まぬ王位継承という自らの運命と葛藤しながら、困難を克服していく姿を描き、オスカー主要部門を総ざらいし、すっかり話題となった作品。
予告編からはコリン・ファース演じるバーティー(ヨーク公アルバート、即位後ジョージ6世)が吃音を克服してゆく姿を描いた映画だという印象が強かったけれど、それは大きなとっかかりで、オーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)とのやり取りを縦軸に、 厳格な父や養母から幼少期に受けた心の傷、父と奔放な兄(ガイ・ピアース)との確執、兄のアメリカ人の恋人ウォレス・シンプソン夫人との結婚騒動、そしてその兄の退位にともなう自身の即位などなど、彼をとりまく様々な出来事がめまぐるしく描かれ、大英帝国の国王と言えど、まずもって一人の人間であるという悩み多き姿が見事に描かれているのだ。
実は映画の中でバーティーの吃音は治るわけではない。
ただ、冒頭に描かれるウェンブリー・スタジアムで行われた大英帝国博覧会での閉会スピーチに較べ、その後の二人の努力の結果、戦争を控えた英国本国の国民、植民地の国民、そして出兵している兵士たちへラジオを通して語りかけるように話すスピーチは、人々の心に間違いなく伝わっていく、その姿はやはり心を打ち大いに感動的だ。
主人公二人に扮するコリン・ファースとジェフリー・ラッシュをはじめ、久しぶりにエキセントリックではないヘレナ・ボナム=カーター、ティモシー・スポール、ガイ・ピアース、マイケル・ガンボン、デレク・ジャコビと、まさに英国&オーストラリアオールスターキャストで、それぞれのつぼを得た演技も見どころたっぷり。
特にオスカーの受賞の際に軽妙なコメントに大いに笑わせてもらったコリン・ファースの噂に違わないリアルな演技は本当にお見事。
それを見るだけでも観る価値、充分であります。
それはともかく、人と人との出会いによってやがて何物にも代えがたいものを得ていく姿を、時にイギリス人らしいユーモアを交えながら、丁寧な人物描写や緻密に計算された言葉の応酬によって奥深く描いてあり、普遍性のあるドラマに仕上がっていたのであります。
ということで、機会があれば是非!
大いにオススメであります。
今日の1曲 “ Symphony no. 7 in A Major: Allegretto ”
ジョージ6世が国民に向けてラジオを通じて開戦の演説をするシーンに使われていたのがこの曲でした。
こういう使い方もうまいんだよね、やっぱり。
日本でも、何百年も前の天皇家の方々が出演するものは多くありますが、近代の、もっと言ったらば、例えば、昭和天皇を主人公にした映画なんて絶対に考えられませぬ。
ちなみに昭和天皇を主人公とした映画といえば、アレクサンドル・ ソクーロフが撮った
「太陽」(イッセー尾形主演)という作品がありましたが、この映画ですら
日本では上映するに当たって大騒ぎとなったことを思い出してしまいました。
非常に良かったです!
ジェフリー・ラッシュの仕草や低い声で一気に言い切ってしまう台詞が、昔の映画っぽくて良かったです。
それとエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)のベタベタとしないドライな愛情が心地良かった。
この作品を観終わったエリザベス二世が涙した、というエピソードに何故かホッとする私でした。
また良い映画があれば「大いにオススメ」して下さい。
そういった言い方も確かに出来ますね。
そしてどちらかというと風変わりな役が多いヘレナ・ボナム=カーター扮する
ある程度距離間を持った妻役もまた作品に気品を持たせてくれていました。
ともあれ、気にいっていただけて何よりでした。
また何かあれば「大いにオススメ」しますので、よろしくお願いいたします。