リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

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2015-01-09 11:28:32 | 異人録 外来生物を巡って

〇ペタペタ作戦 朝日デジタル

2010年7月の記事。

 その後どうなっているのか不明。

兄島でグリーンアノール。 毎日WEB 2013年

世界遺産から3年 NHK 2014年6月

小笠原諸島におけるグリーンアノールの生態と防除 PDF 地球環境 Vol. No.   9- (2009)

 

外来トカゲ1万匹駆除成功 秘密はペタペタ作戦 小笠原

2010年7月1日0時24分

写真粘着式のワナにかかったグリーンアノール=財団法人自然環境研究センター提供

写真希少種のチョウ「オガサワラシジミ」=写真家・尾園暁さん撮影

写真小笠原諸島の父島(奥)=朝日新聞社機から

 独自の生態系の豊かさから「東洋のガラパゴス」といわれる小笠原諸島で、外来トカゲの駆除に粘着式のワナを使った「ペタペタ作戦」が効果を上げている。 1万匹以上を捕獲し、駆除した区域では、密度を4分の1以下にすることに成功した。来夏に世界自然遺産への登録をめざす小笠原にとって、外来種対策の成否 は大きな焦点。4日から、国際自然保護連合(IUCN)の現地調査が始まる。

    ◇

 「粘着式のワナを使ったトカゲの大量駆除は、世界でもほとんど例がない試みだ」

 環境省の委託で駆除作業を進める財団法人自然環境研究センター(東京都)の戸田光彦・生物多様性企画室長は、そう話す。

 小笠原諸島で駆除が進められているのは、全長が15センチ前後になる米国原産のトカゲ「グリーンアノール」だ。

 環境省は粘着式のワナによる捕獲作戦を2006年に父島、08年に母島で始めた。ワナはプラスチック製でゴキブリ捕りに形が似ている。木の幹などに据え 付けて使う。トカゲが入ると、足が張り付いて出られない。ワナは父島では港の周辺の約10ヘクタール、母島は島中部の森林地帯約2ヘクタール、約6千カ所 に設置した。

 このトカゲは1960年代、まず父島に定着した。80年代には母島に「飛び火」した。現在は数百万匹まで増加。国の天然記念物のチョウ「オガサワラシジミ」など、小笠原固有の様々な昆虫類を食べ、島の生物多様性に深刻な影響を与えてきた。

 駆除作戦では全域で根絶するのは難しいため、希少な昆虫類が多い区域などを選び、重点的に捕獲した。その結果、今年3月までに約1万300匹を捕獲できた。駆除区域内のトカゲの生息密度は、父島では4分の1、母島では5分の1に減少したという。

 環境省によると、父島と母島でワナの設置や回収などにかかる費用は年間4500万円前後。ワナ1個当たり180円と、費用対効果でみれば安上がりの対策になった。

 トカゲの駆除作戦について、神奈川県立生命の星・地球博物館の苅部治紀・主任学芸員は「グリーンアノールの生息密度が減れば、それだけ在来昆虫の生存の 可能性が高まる。前例のない取り組みで、すばらしい成果だ」と評価。一方で、「長年、捕食によって在来種は痛めつけられているので、昆虫の数や種類が目に 見えて回復するには時間がかかるだろう」と話す。

     ◇

 小笠原諸島は過去に一度も大陸と地続きになったことがなく、生物が独自の進化をとげてきた。国の天然記念物オガサワラオオコウモリが生息し、植物の3割以上、陸産貝類の9割以上が固有種だ。

 しかし、外来種の侵入と拡大が深刻化し、国や東京都が対策に本腰を入れている。弟島では、トンボなどを食べる北米原産のウシガエルをかごわななどで捕り尽くし、根絶。外来種の樹木アカギは、人の手で樹皮を削り取って枯らす作業が行われている。

 現地調査は、ユネスコの世界遺産委員会の諮問機関のIUCNが13日まで行う。IUCN日本委員会は「外来種は島の生態系にとって大きな問題。重点的に 調べることになる」という。調査団はトカゲのワナの設置場所などを視察する予定だ。来春までに報告書をまとめ、来夏の世界遺産委員会で登録の可否が判断さ れる見通しだ。

 すでに登録された世界遺産でも、外来種問題は大きな課題だ。南米のガラパゴス諸島では、ブラックベリーなど800種以上の外来植物がはびこるなど、独自の生態系が危機に直面。世界遺産委員会は07年、緊急の保全策が必要な「危機遺産」に指定した。

 環境省の羽井佐幸宏・世界自然遺産専門官は「世界遺産に登録されるためには、将来にわたって確実に自然が引き継がれることを示す必要がある。外来種対策は、そのために必要不可欠だ」という。(山本智之)

 

 

〇毎日新聞 毎日新聞 2013年05月27日 北海道朝刊

東京・小笠原諸島:外来生物の生息域拡大止まらず グリーンアノール、兄島で確認

毎日新聞 2013年05月27日 北海道朝刊

 ◇自然遺産食う 「非常事態」宣言

 世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)の無人島・兄島(あにじま)で、外来種のトカゲ「グリーンアノール」の侵入が初めて確認された。

 このトカゲは繁殖力が強く、島固有の昆虫を食い荒らし、世界遺産としての価値を傷付ける恐れがある。事態が悪化すれば「危機遺産」に指定されかねず、専門家でつくる国の科学委員会は、国内の自然遺産で初の「非常事態」を宣言。環境省などが緊急駆除対策に乗り出した。

 グリーンアノールは鮮やかな緑色で体長約15センチの北米産トカゲ。米軍占領下の1960年代に貨物に紛れ込んだか、ペットとして持ち込まれて野生化し、有人の父島と母島では数百万匹が生息すると推測される。

 90年代に小笠原にしか生息しない希少なチョウやトンボなどが姿を消した際の「主犯格」とみられる。両島で駆除が進められているが、根絶できていない。

 父島から約800メートル離れた兄島(面積約8平方キロ)では今年3月末、東京都などによる外来植物の駆除作業中に4匹見つかり、科学委員会が直 後に非常事態を宣言した。その後の調査で、島南部に広がっていることが確認された。NPO法人「小笠原自然文化研究所」によると、生息数は万単位の可能性 が高いという。

 兄島北部には、小笠原の乾燥した気候で独自に進化した背の低い原生林(乾性低木林)が広がり、遺産の中核として、世界的価値がある固有の生態系が高く評価された。

 アノールの侵入域が広がれば乾性低木林を支える昆虫類が減り、島全体の生態系に大きなダメージを与えかねない。事態が悪化すれば、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から「危機にさらされている世界遺産」に指定される恐れさえある。

 小笠原が2011年6月に自然遺産に登録された際、「新たな外来種の侵入に対して継続的な注意が必要」と注文がついた。【八田浩輔】

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 ■ことば

 ◇小笠原諸島

 東京都心から約1000キロ南の太平洋上にあり、南北約400キロに及ぶ大小30の島々で構成。2011年6月に国内4カ所目の世界自然遺産に登 録。過去に大陸と地続きになったことのない「海洋島」で、動植物が独自の進化を遂げたことから「進化の実験場」や「東洋のガラパゴス」と呼ばれる。

 

〇NHK 世界遺産登録から3年 2014年6月

首都圏ネットワーク

6月25日放送
世界自然遺産登録から3年 小笠原諸島・外来生物との攻防

ネット報道部 松田 透
ネット報道部
松田 透
東京から南におよそ1000キロ。
30余りの島々からなる、小笠原諸島です。
世界自然遺産に登録されて、3年となりました。
小笠原の島々は、偶然たどり着いた生き物たちが、長い時間をかけて独自の生態系を築いてきました。
小笠原にしかいない、いわゆる「固有種」の多さから「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。
その1つが、数が少なくなり絶滅が心配されている、オガサワラシジミです。
オガサワラチビクワガタは、樹液ではなく虫を食べます。
珍しい肉食のクワガタです。
世界でここにしか生息しない固有の動植物は、600種類近くに上ります。
特にカタツムリは、もともと僅かな種類しかいませんでしたが、木の上や落ち葉の裏など、住む環境に合わせて進化を遂げ、100種類以上になりました。
写真 写真
ところが今、こうした貴重な生き物たちが、絶滅の危機にひんしています。
島の外から侵入した生物に、食べ尽くされようとしているのです。
環境省の担当者は「瞬く間に父島全島に広がっている。このままだと、もともとこの島にいたカタツムリは、いなくなってしまいます」と、外来種の侵入に危機感を募らせています。

小笠原が世界遺産として評価される大きな理由となった、ここにしかいない生き物たちを、どう守っていくのか。
今、課題になっています。
今まで人が住んだことがなく、小笠原の中でも独自の生態系が維持されてきた兄島でも、外来の生物との攻防が始まっています。
兄島は、父島から海を挟んで500メートル離れたところにあります。
小笠原でも、この島の周辺でしか見られない固有のトンボなど、希少な昆虫たちが生息しています。
小笠原の自然を守る活動を行っている、環境省の澤邦之さんです。
澤さんが取り組んでいるのが、グリーンアノールの駆除です。
外来のこのトカゲ。
大きな口と鋭い歯で昆虫たちを食い荒らします。
去年3月、兄島で初めて見つかりました。
このトカゲから昆虫を守ろうと、環境省は本格的な対策に乗りだしました。
その1つが捕獲です。
並んでいる赤い箱はグリーンアノールを捕らえるわな。
4万個以上、仕掛けました。
粘着力のあるシートでトカゲをしとめます。
これまでに8000匹も捕まりました。
それでもまだ残っているとみられ、根絶させるのは容易ではありません。
このため、グリーンアノールを一部の場所に封じ込めようとしています。
島に柵を張り巡らせるのです。
グリーンアノールがはい上がろうとしても、ツルツルのシートが貼ってあって、滑って上がれない構造になっています。
澤さんは「非常に危機的な状況だと思いました。少しでも対策が遅れるとまずい事態が起きるのが分かっているので、急ぎながら確実にこなさなければいけないと思っています」と、危機感を募らせています。
しかし、この方法も万全ではないことが分かってきました。
空を飛ぶ鳥たちが、グリーンアノールを別の場所に移動させているのです。
猛きん類のオガサワラノスリは、エサになるグリーンアノールを、生きたまま巣に持ち帰ることがあります。
ところが、そのグリーンアノールが逃げ出す姿が、たびたび観察されています。
「世界でも根絶の例がないような、とても対策の難しい相手だと思っています。でも、何もやらずにそのまま拡散させてしまって、遺産価値が損なわれるというのも避けなければならないと思っています」と、厳しい表情の澤さん。

世界のどこにもない貴重な生態系が評価され、3年前に自然遺産に登録された小笠原諸島。
その価値を、将来にわたって守り続けることができるのか、正念場を迎えています。

登録された世界遺産をどう守っていくかについては、国際的にも課題になっています。
世界遺産の価値が失われたと判断された場合には、登録リストから外される可能性も出てきます。
小笠原諸島がそうならないためにも、早急な対策が求められます。

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