「東京五輪エンブレム問題」「ゴーストライター事件」「アップル社とサムスン電子の特許件侵害訴訟」をはじめ、テレビや新聞を賑わすような「知的財産」をめぐるトラブルが増えています。知的財産の侵害を起こさないためには、どうすればいいのでしょうか。
「意図していなくても、知的財産の侵害を起こしてしまうことがあります。それを避けるためには『知的財産』のルールを知り、また、事前に侵害していないかをきちんと確認しておくことが必要です」
出願していなければ、自分のアイデアでも損害賠償請求されることも、たとえば商標は、商品等の製造者や販売者であることを示す「出所表示」として昔から使用しているものであっても、商標登録の出願をしておかなければ、独占的な使用はできません。
仮に、他社がロゴマークやネーミングを模倣して商標登録すれば、逆に自分たちが商標権を侵害したと判断され、使用の差止めや損害賠償を請求されるおそれがあります。また、新たにロゴマークやネーミングを使用する場合は、他社の登録商標を確認する必要があります。
「商標は商品や役務の種別ごとを指定して登録されるので、使用する商品や役務が異なれば、商標権の侵害の問題は生じません。ですから、調べるのは指定商品や指定役務が同じ種別のロゴマークやネーミングだけでOKです。」
「著作権に関しては、まず覚えておいてほしいのは、コンサート音源をCD‐Rに無断録音してオークションで販売したり、ネット上で使用されている写真や画像を無断で自社のブログ等に転載すれば著作権侵害になること。また、他社の開発したコンピュータプログラムを、無断でパソコンにインストールすれば、複製権の侵害となります。」
著作権は、特許権や商標権のように登録されていないので、ネット上の写真や画像等を転載したい場合は、著作者の使用許諾を得ることが必要です。また、他社のコンピュータプログラムをインストールして使用したい場合は複製権等を取得しておく必要があります。
一方、特許権や実用新案権の侵害に関する問題で非常に多いのは、企業が製品開発・技術開発を行う場合に、先行技術の調査が不十分であったために、他社の特許権の権利範囲(クレーム)を侵害してしまったというケースです。特許情報等は、特許庁のホームページ等で検索することが可能ですが、特許情報提供事業者に有料で調査を依頼する方法もあります。
「どれだけ真剣に調べたつもりでも、知識不足のために見落としてしまったといったことは少なくありません。知的財産の侵害の恐ろしさは個人や企業のイメージを大きく傷つけることです。時には、弁理士や弁護士など専門家に鑑定意見を求めることも必要でしょう。」(池田弁護士)
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