IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

米軍、イラク国内での白リン使用を認める

2005-11-17 15:22:11 | イラク関連
風邪をひいたわけでもないけれど、季節の変わり目が原因なのか、この2日ほど体が少しだるかった(数日前のヌードルの汁が原因で無い事だけは確かなので、ご心配なく…)。しかも、今週初めからワシントンは気持ち悪いくらいの暖かさが戻って、今日の最高気温は摂氏21度。体調のコントロールに気をつけないと。でも、そんな時に限って色々とニュースが入ってくるわけで、今日のワシントン・ポスト紙は2001年に大手石油会社幹部らがチェイニー副大統領のエネルギー対策チームと秘密会談を行っていたと報じているし、そのポスト紙の名物記者ボブ・ウッドワードが一連のCIA情報漏洩問題に関与していた事実も明らかとなっている。紹介したい話題は幾つもあるけれど、昨日のブログで軽く触れた米軍の白リン兵器使用問題で進展があったので、それに関連したBBCの報道を紹介します。

イタリア国営放送(RAI)は先週、2004年のファルージャ攻撃の際に米軍によって白リン兵器が使用されていたと報じたが、15日夜になって米軍の広報官はBBCに対して白リン兵器の使用を認める発言を行っている。「敵戦闘員に対して発火兵器として使用しましたが、民間人に向けて使用する事はありませんでした」、広報官を務める海兵隊のバリー・ベナブル中佐はBBCの取材に対してそうコメントしている。米軍は以前、白リン兵器は夜間戦闘での証明代わりに使っていただけだと回答していた。BBCのポール・ウッド記者は米軍による前言撤回について、「ペンタゴンの広報活動は深刻な問題を抱えている」と一蹴している。ベナブル中佐は白リンが禁止化学兵器に含まれていないことを強調しており、アメリカ政府も化学兵器の民間人に対する使用を禁じた国際条約にサインしていない。

米国務省は以前、ファルージャでの白リン使用は証明弾代わりとしての物だったと主張していたが、昨夜のインタビューでベナブル中佐は兵器として使われた事実を認め、国務省発表が「乏しい情報をベースにしたものだった」と語っている。BBCのインタビューの中で、大佐は発火兵器としての白リンが煙幕を張ったり夜間における目標補足に使われていたと説明したが、「敵戦闘員に対して、兵器として直接使用した可能性もある」とコメントしている。米軍部隊は隠れている敵を「あぶりだす」目的で白リンを用いる場合があるとの事で、ファルージャ攻撃の際に海兵隊部隊に同行したノース・カウンティ・タイムズ紙(サン・ディエゴ)のダリン・モーテンソン記者もBBCの取材に対し、白リンが武装勢力に対して兵器として使われていたと語っている。モーテンソン記者は、従軍取材中に白リンが民間人に向けて使用された場面は一度も目撃していないとも語っている。

白リンは酸素に触れる事で発火現象を起こし、人間の体に付着した場合には、周辺の酸素が無くなるまで燃え続ける性質を持つ。軍事情報ウェブサイト「グローバル・セキュリティ」の説明によると、人間の体に付着した白リンは骨だけを残して体を焼き尽くすとの事で、殺傷能力が非常に高い兵器だと指摘している。BBCの取材に答えた英国防省スポークスマンは、白リンの使用は周囲に民間人が全くいないと確認できたのみにしか行われないと語っている。英ブラッドフォード大学のポール・ロジャーズ教授は、故意に民間人に向けられた場合を想定してと前置きしながらも、白リンが化学兵器として考えられるだろうと語っている。イタリア国営放送のドキュメンタリーでは、米軍はファルージャ市内の民間人に対しても白リンを用いていたと伝えている。

サッカーのワールドカップ2006年大会出場をかけて世界各地で行われたプレーオフ、オーストラリアがPK戦を制して34年ぶりに出場権を得ている。世界的に有名なラグビー代表チームは、オーストラリアに生息する動物の名前をとって「ワラビーズ」と名付けられているけど(最近の体たらくはどうしたの、一体?)、サッカーの代表チームはカンガルーとサッカーを混ぜ合わせた「サッカルー」というネタとしか思えない愛称で呼ばれている。本大会でオーストラリアの活躍に賭けるほどナイーブにはなれないものの、個人的にはサッカルーらしい豪快なプレーを見てみたい。ここアメリカでも、2006年の本大会に向けて誰が代表に入るのかという話題がファンの間では持ちきりだ。16年前、大学生中心のチームでイタリア大会に臨んだアメリカ代表は大恥をかいて大会を去っているけど、サッカー協会の本格的な強化策が実って、人材は驚くほど豊富だ。ランドン・ドノバンやダマスカス・ベーズリーといったスター選手に加えて、来年の大会で注目されそうな名前が幾つかある。ニューイングランド・レボルーションのクレイグ・トーンバーグGMと夕食を共にした際、トーンバーグがチーム内の点取り屋テイラー・トゥエルマンの将来性について延々と語りだした事があったけど、イタリア・ワインに夢中だった僕は話のほとんどを聞き流している。聞いておけばよかった…。今年のリーグMVPに輝いたトゥエルマンは、今ではドイツに最も近い代表選手の1人だ。


写真:プレーオフから一夜明け、集まったファンにサインするオーストラリア代表のハリー・キューウェル選手 (シドニー・モーニング・ヘラルド紙より)

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