昼間以外は随分と涼しい季節になってきました。
今回のお話はイヌの出産についてです。
人の妊婦さんが、妊娠5ヶ月目に入ると腹帯をまいて母子の健康を祝う日があります。
この日が「戌の日」と言われるのはイヌのお産が軽いことに因んでいると言われています。
しかし、イヌのお産が軽いと言われたのは昔のこと、現在日本で飼育されているイヌは、以前と違い難産になるケースも少なくありません。
(難産になると状態が悪い中での帝王切開や出産介助となり、母子ともに命の危険がでてきます)
では、どうしてイヌのお産が変わって来たのでしょうか?
以前は中型犬以上のイヌを庭で飼育するケースが多かったのですが、現在では小型犬が主流を占め室内で飼育されるケースが増えたのが一つの要因と考えています。
体格が小さくなればなるほど、陣痛に耐えうる体力も無く、赤ちゃんが出てくる産道も小さく物理的に出産が難しいものになりますし、室内で飼育されている小型犬は自立していないケースが多く、精神的に出産に集中出来ない(人間が心配しすぎて構いすぎてしまう)イヌが増えているのではないでしょうか。
それでも、イヌの出産に立ち会うことは、すばらしい感動を得られますし、多くの方が最愛のペットの子供を欲しいと思われるのは当然のことと思います。
前述の通り以前よりは難しくなった(命の危険がある)イヌの出産に挑むわけですから、前もっての準備が必要です。
まず第一に、準備することは人の気持ちです。
イヌを飼育されている方は二通りに分けられます。それは何かと言うと「我が子だけが好き」と言うことと「イヌが好き」の2つです。
前者の方は、現在飼育しているイヌに「もしものことがある」ことなど考えられないでしょうから、危険を伴う出産に挑むことはお勧めしません。
後者の方は、その犬種自体が好きなのですから自宅で飼育している犬種をずっと飼育していくために出産させるのは理にかなってますので、他の問題がなければ挑戦する価値が高いと思われます。
上述の考え方はどちらも「イヌが好き」ですが、根本的に考え方が異なりますので、自宅でイヌの出産を考える方は「自分たちはどちらなんだろう」とよく考えることがまず大切になります。
↑最近、当院にて帝王切開をおこなったチィちゃん
↑お腹にはこんなにたくさんの新しい命が
では、次の記事にてイヌの出産についての注意事項等を説明して行きます。