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イヌの出産について(中編)

2013年12月21日 | 診療科目

中編ではイヌの出産についての基本的な知識と母イヌのケアについて説明をして行きます。

 

[ 基本知識 ]

イヌの性成熟:8~12ヶ月  イヌの妊娠期間:62日  イヌの出産頭数:2~8匹

イヌの交配:一般的には出血を認めてから12日目(10~15日目)が一番良いとされる。

メスよりも体格の小さいオスを選んだ方が安全(オスが大きいと胎児も大きくなる傾向があるので、難産になりやすくなると言われている)

交配については実際にブリーディングをされている方の意見を参考にされた方が良いと思います。実際に交配で医療が介入する必要があるのは、そのイヌが不妊の場合です。

妊娠診断:交配から4週間後以降から行える(正確な妊娠頭数の判断は妊娠後期に行います)

 

[ 母イヌのケア ]

1.環境ケア

(育児室(産室)について)

母イヌが子犬を邪魔すること無く立って寝返りを打てるくらい充分な広さの育児室を作る必要があります(産室をそのまま育児室にすればよい)。箱の側面はすきま風が入らない高さにし、母イヌはまたいで出ることが出来るが、子犬は出られない高さの面を作ると良いでしょう。人に覗かれるのを嫌うようなら屋根も必要です。

(敷物について)

出産時の汚れた敷物などは、清潔なものに取り替え、母子共通の感染症や寄生虫繁殖を防ぎます。使い捨てあるいは洗濯出来るタオル・マットなどは子犬がすべることなく寝床に適しています(使い捨てのペット用シーツもよい)が、柔らかすぎる敷物は母イヌが引っ掻いて全て自分の体の下へ敷き込んでしまったり、子犬が隙間に挟まれて窒息する恐れがあるので注意が必要です。また、ほつれやすい布地は糸が子犬の手足に絡むことがありますし、深いフワフワし過ぎた寝床も子犬の窒息の原因となりえます。

(室温について)

室温は20~24℃で、全面ではなく暑くなると移動出来るように一部の面にヒーターマットのような暖房を施すこと(防水性のあるものがよい)。

(食餌と排泄について)

過度な湿気、細菌やカビの繁殖、子犬が濡れたり窒息することなどを防ぐ為にも、母イヌの食事と水を与える場所やトイレは育児室とは別に作ると良いでしょう。

排便の状態、量、回数を毎日観察することは重要です。

 

2. 身体ケア

(出産前にしておくこと)

長毛種は出産1週間前に会陰部と乳房周囲の毛を刈り、綺麗に洗っておくと良いです(出産後も出来るだけ清潔に保つようにして下さい)。

母イヌの爪を切ったり、歯の手入れをしておく。

妊娠前には、子犬に移るような病気の予防をしておいた方が良いでしょう(ワクチンやフィラリア、寄生虫、ノミ、耳ダニ/妊娠後には予防出来ないものもありますので交配2週間以上前にお近くの動物病院に相談されて下さい)。

(出産後にしておくこと)

病気の予防の為にも毎日のきめ細かな観察が必要です。

定期的(1~3日)に体温を測定、おりものなどで乳房や外陰部が汚れてないか、乳腺の色、熱、痛みの有無を毎日チェックして下さい。

授乳中は母イヌの栄養要求量が増加しますので、食餌量を増やすか栄養価の高いフードをあげて下さい。

 

3. 行動ケア

母イヌが落ち着かない場合は、母親に病気が無いか?場所が悪くないか?を考えて下さい。

母イヌの性格を考慮し、子犬を守る本能が強い場合は、外来者に遠慮してもらった方が、思わぬ怪我(母イヌに人が咬まれる)を防げます。

 

以上が出産育児期の母イヌに対するケアです。参考にしてみて下さい。

次回、後編は子犬に対するケアを載せる予定です。

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