これは去年の5月に書いた記事であるが、ある必要性からトップにもってきた。
西丸四方の『精神医学入門』(南山堂)は画像が豊富で、特に薬が使われる以前の慢性期の統合失調症の患者の状態が見れる希少価値がある。
統合失調症はかつて精神分裂病、もっと前は早発性痴呆と呼ばれた脳の病気である。
1955年頃から抗精神病薬による治療によってこのような末期的症状は激減した。
きれいごとを言う前に、抗精神病薬の重要性を認めましょう(もちろん全能ではなく、副作用も問題だが)。
また、統合失調症などの精神病がいかにアルツハイマー病などの器質性精神障害と類縁性をもっているかを認めましょう。
今でも、もし患者の家族がこの病気を「心の悩み」程度に受け取って、放っておくと数年後にはこのような状態になるのである。
精神科の薬は毒でも麻薬でもありません。
患者を救うために脳の化学的機能に作用するのです。