◆サッカー・第19回FIFAワールドカップ南アフリカ大会 第8日(2010年6月18日)
・1次リーグD組 (第2節)
セルビア 1(1-0)0 ドイツ (@ポート・エリザベス/ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム)
得点者:セルビア)38分 ミラン・ヨバノビッチ
・1次リーグC組 (第2節)
スロベニア 2(2-0)2 米国 (@ヨハネスブルグ/エリス・パーク・スタジアム)
得点者:スロベニア)13分 バルテル・ビルサ、42分 ズラタン・リュビヤンキッチ
米国)48分 ランドン・ドノバン、82分 マイケル・ブラッドリー
イングランド 0(0-0)0 アルジェリア (@ケープタウン/ケープタウン・スタジアム)
〔写真はGetty imagesより〕
* * * * *
それにしても、今大会は第1シードの国が苦戦が続きですね。代表的なのが、スイスに番狂わせで痛恨の敗戦を喫した優勝候補のスペインですね。その他に、ウルグアイにスコアレスドローに終わり、メキシコに完敗したフランスは未だ無得点。初戦で豪州に圧勝したドイツが、セルビア相手に拙い試合運びで負けたのもビックリしました。ちなみに、ドイツが1次リーグで黒星を喫するのは、1986年メキシコ大会でデンマークに0-2で負けて以来実に24年ぶりなので、いかにこの敗戦が波乱なのかがよく分かります。
これらの国以外にも、イングランドは2試合ともドローで黄色信号が点灯。イタリアとポルトガルもドロー発進。まあ、イタリアは1次リーグを本調子でないのは、毎度御馴染みのことですけどね(苦笑)。ブラジルも勝ったとはいえ、格下の北朝鮮に手こずりました。好調と言えるのは2連勝中のアルゼンチンぐらいでしょうか(あとはオランダもか・・・)。日韓大会の時も1次リーグでフランス、アルゼンチン、ポルトガルの強豪国が1次リーグでの敗退を余儀なくされましたけど、今大会もその再現の予感が漂います。
今大会は標高が鍵を握ると言われております。ただ、番狂わせが発生した試合の会場の標高を調べてみると、フランスvsメキシコ戦の会場のポロクワネは標高約1300mなので、高地のメキシコが有利に働きました。しかし、スペインvsスイス戦の会場のダーバンと、ドイツvsセルビア戦の会場のポートエリザベスはともに標高0m。2試合ともドローに終わったイングランドは、米国戦の会場のルステンブルクは標高約1500mでしたが、アルジェリア戦の会場のケープタウンは標高0m。同会場だったイタリアvsパラグアイは高地のパラグアイが不利でしたが、結果はドロー。なので、標高との因果関係を証明するのは、現時点ではまだ難しいですね。
たしかに、最終メンバー候補が発表されて以降、イングランドら主要国の選手の負傷が相次いだのは、少なからぬ影響はあったと思います。だが、今大会は開幕まで準備期間が約1ヶ月ありました。なので、主要国の準備期間が実質的に2週間近くしかなかった日韓大会のように、欧州各国のリーグ戦終了後からW杯開幕までの期間が極端に短い訳ではありません。各国リーグの過密日程は今も昔も変わりありませんが、代表チームの準備期間の短さから来る調整不良とも言い難いです。
ありきたりな推測ですが、やはりアウトサイダーの実力が上がったのが影響していると思いますね。欧州以外の大陸の国でも、欧州のクラブに所属している選手が確実に増えてます。現在は、国際Aマッチの出場回数よりも、欧州CLの出場回数の方が選手の実力を計る目安になってます。それに、アフリカや南米のように、自国の経済力が低い国だと選手のサラリーを賄えないので、尚更その傾向が強いです。
あとは、FIFAの国籍変更の緩和ルールに伴い、欧州生まれの二重国籍の選手が両親の母国の国籍を選択したことも、実力格差が縮まった要因だと思いますね。最も代表的なのが、アルジェリアです。23選手中17人が移民2世選手ですし、うち8人がフランスの年代別の代表経験がある選手です。さらに、20人が欧州のクラブに所属してます。ある意味「もうひとつのフランス代表」みたいなチームですね。考えてみると、ジデジーヌ・ジダン、サミル・ナスリ、カリム・ベンゼマもフランス生まれのアルジェリア移民ですから(なお、ナスリとベンゼマは今大会のフランス代表からは外れてます)。
そして、今大会でサプライズを起こした試合は、格下のチームが「専守防衛」と「堅守速攻」の戦いをする傾向があります。情報や通信の発達に伴い、各国の研究(=粗探し)がひと昔に比べて容易になったこともあるでしょう。なので、自らの長所を出してオープンに戦う事よりも、相手の長所を消す戦いに徹する傾向が強いです。
なにせ今大会は、第1節終了時点での得点数も、過去2大会と比較しても最低です。1試合平均だと僅か1.56点。つまり、両チームあわせて2点も取れてないということです。そのせいなのか、現時点で逆転勝利の試合は、ギリシャvsナイジェリアの1試合だけです。少ない得点が、番狂わせを誘発しているような気がします。
なお、前回得点王のドイツのミロスラフ・クローゼはセルビア戦で退場処分を受けたので、次のガーナ戦は出場停止。ディディエ・ドログバ(コートジボアール)もアリエル・ロッベン(オランダ)も病み上がり。ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドも公式球の「ジャブラニ」にどうもフィットしてません。今のままだと、今大会の得点王は相当少ない点で、複数の選手が受賞するような気がしますね。
やはり、初めてのアフリカ大陸でのW杯開催だけに、色々と未知数なこともあって波乱が多いです。
ただ、20年前のイタリア大会みたいに、消極的な戦いが横行するのは、ちょっと勘弁してほしいですね。
・関連記事
FIFAが選手の所属協会変更の年齢制限を撤廃へ
☆セルビアvsドイツ戦のダイジェスト
・1次リーグD組 (第2節)
セルビア 1(1-0)0 ドイツ (@ポート・エリザベス/ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム)
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得点者:スロベニア)13分 バルテル・ビルサ、42分 ズラタン・リュビヤンキッチ
米国)48分 ランドン・ドノバン、82分 マイケル・ブラッドリー
イングランド 0(0-0)0 アルジェリア (@ケープタウン/ケープタウン・スタジアム)
〔写真はGetty imagesより〕
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それにしても、今大会は第1シードの国が苦戦が続きですね。代表的なのが、スイスに番狂わせで痛恨の敗戦を喫した優勝候補のスペインですね。その他に、ウルグアイにスコアレスドローに終わり、メキシコに完敗したフランスは未だ無得点。初戦で豪州に圧勝したドイツが、セルビア相手に拙い試合運びで負けたのもビックリしました。ちなみに、ドイツが1次リーグで黒星を喫するのは、1986年メキシコ大会でデンマークに0-2で負けて以来実に24年ぶりなので、いかにこの敗戦が波乱なのかがよく分かります。
これらの国以外にも、イングランドは2試合ともドローで黄色信号が点灯。イタリアとポルトガルもドロー発進。まあ、イタリアは1次リーグを本調子でないのは、毎度御馴染みのことですけどね(苦笑)。ブラジルも勝ったとはいえ、格下の北朝鮮に手こずりました。好調と言えるのは2連勝中のアルゼンチンぐらいでしょうか(あとはオランダもか・・・)。日韓大会の時も1次リーグでフランス、アルゼンチン、ポルトガルの強豪国が1次リーグでの敗退を余儀なくされましたけど、今大会もその再現の予感が漂います。
今大会は標高が鍵を握ると言われております。ただ、番狂わせが発生した試合の会場の標高を調べてみると、フランスvsメキシコ戦の会場のポロクワネは標高約1300mなので、高地のメキシコが有利に働きました。しかし、スペインvsスイス戦の会場のダーバンと、ドイツvsセルビア戦の会場のポートエリザベスはともに標高0m。2試合ともドローに終わったイングランドは、米国戦の会場のルステンブルクは標高約1500mでしたが、アルジェリア戦の会場のケープタウンは標高0m。同会場だったイタリアvsパラグアイは高地のパラグアイが不利でしたが、結果はドロー。なので、標高との因果関係を証明するのは、現時点ではまだ難しいですね。
たしかに、最終メンバー候補が発表されて以降、イングランドら主要国の選手の負傷が相次いだのは、少なからぬ影響はあったと思います。だが、今大会は開幕まで準備期間が約1ヶ月ありました。なので、主要国の準備期間が実質的に2週間近くしかなかった日韓大会のように、欧州各国のリーグ戦終了後からW杯開幕までの期間が極端に短い訳ではありません。各国リーグの過密日程は今も昔も変わりありませんが、代表チームの準備期間の短さから来る調整不良とも言い難いです。
ありきたりな推測ですが、やはりアウトサイダーの実力が上がったのが影響していると思いますね。欧州以外の大陸の国でも、欧州のクラブに所属している選手が確実に増えてます。現在は、国際Aマッチの出場回数よりも、欧州CLの出場回数の方が選手の実力を計る目安になってます。それに、アフリカや南米のように、自国の経済力が低い国だと選手のサラリーを賄えないので、尚更その傾向が強いです。
あとは、FIFAの国籍変更の緩和ルールに伴い、欧州生まれの二重国籍の選手が両親の母国の国籍を選択したことも、実力格差が縮まった要因だと思いますね。最も代表的なのが、アルジェリアです。23選手中17人が移民2世選手ですし、うち8人がフランスの年代別の代表経験がある選手です。さらに、20人が欧州のクラブに所属してます。ある意味「もうひとつのフランス代表」みたいなチームですね。考えてみると、ジデジーヌ・ジダン、サミル・ナスリ、カリム・ベンゼマもフランス生まれのアルジェリア移民ですから(なお、ナスリとベンゼマは今大会のフランス代表からは外れてます)。
そして、今大会でサプライズを起こした試合は、格下のチームが「専守防衛」と「堅守速攻」の戦いをする傾向があります。情報や通信の発達に伴い、各国の研究(=粗探し)がひと昔に比べて容易になったこともあるでしょう。なので、自らの長所を出してオープンに戦う事よりも、相手の長所を消す戦いに徹する傾向が強いです。
なにせ今大会は、第1節終了時点での得点数も、過去2大会と比較しても最低です。1試合平均だと僅か1.56点。つまり、両チームあわせて2点も取れてないということです。そのせいなのか、現時点で逆転勝利の試合は、ギリシャvsナイジェリアの1試合だけです。少ない得点が、番狂わせを誘発しているような気がします。
なお、前回得点王のドイツのミロスラフ・クローゼはセルビア戦で退場処分を受けたので、次のガーナ戦は出場停止。ディディエ・ドログバ(コートジボアール)もアリエル・ロッベン(オランダ)も病み上がり。ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドも公式球の「ジャブラニ」にどうもフィットしてません。今のままだと、今大会の得点王は相当少ない点で、複数の選手が受賞するような気がしますね。
やはり、初めてのアフリカ大陸でのW杯開催だけに、色々と未知数なこともあって波乱が多いです。
ただ、20年前のイタリア大会みたいに、消極的な戦いが横行するのは、ちょっと勘弁してほしいですね。
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