(冬木の芽)
*久しぶりに庭に出てみると、なんとブルーベルの芽が顔を出しているではありませんか。5月の花なのに準備はもう始まっているということですね。
毎日、日がだんだん長くなっているのを感じます。寒くてもお日様の出ているときは冬木の芽を眺めに散歩に行ったりしているこのごろです。
第五十八話 母子留学のススメ
遠い昔、母の昔語りに、私の祖母の姉にあたる人が列車に飛び込み自殺をした、ということを聞いたことがありました。家に男の跡継ぎがなく、婿をもらわなくてはならないということでしたが、その人はその結婚がいやで自殺をしたのでした。「まごおやがいっつも、カワイソウナコトヲシタ、といってたっけ。」わたしは女の人が花を胸に抱えて線路脇に立つ姿が見えるような気がしました。
時代は過ぎ、現代ではもはや意のそぐわない結婚を強いられることはないでしょうが、それでもなお、女性が自分を生きるのは簡単ではないようです。
12年前になずなを連れて日本を発つとき、ある人が、「母子留学がんばれ」と励ましの手紙をくれました。それまで自分がやろうとしていることをうまく表現できなかったのが、ようやく言葉を見つけて、そうか、と思ったものです。
さて、そうしてイギリスにきてみると「母子留学」をしているのは私たち親子だけではなく、何組もの日本人母子に出会いました。いろいろなことを自分だけで判断し、決定していくだけの強さ。経済力。自己実現したいという意志力。人に頼らないで生きるとこのように強い女性になっていけるのだなあ、と目を見張ったものです。
人にどうして日本を出たのか聞かれるたびに、「イギリスではFREE だから」と答えてきましたが、子供の成長にひとりで責任を持ち、自分も学び続けるという状況設定が自由への道のりにちょうどよかったなと思うのです。自分の不幸せを誰かほかの人のせいにしないということが、自由への基礎であるようです。
蛇足ですが、経済のことをいうと、なずなの学資保険を自分の大学院の学費に使ってしまったわけですが、なずなはもうすぐ、ほかの若い人たち同様、イギリス政府が貸してくれるスチューデントローンで自力で大学に行くので、私は何もしなくてもよく、「お金はあるときに、ほんとにしたいことに使え」というのはまったくそのとおり!
ということで、今回は、母子留学のススメでした。
(間美栄子 2010年 2月1日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)
(PS. ちなみに、子供が12歳までは、子供をシュタイナースクールなどの私立の学校に送るための滞在は Parent Visa でもいけます。)