アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

魂のこよみ (February 23-March 1)

2010-02-23 07:00:47 | Soul Calendar
The Calendar of the Soul
by Rudolf Steiner
47. Forty-seventh week (February 23-March 1)

世界の大きな子宮から わきあがるであろう
感覚界に命を与えている 成長の喜び

いまや私の思考の強さを見出すであろう
神聖なる力によって力づけられた思考
私の存在の中に力強くいきづいている



第五十九話 イマジネーションは蝶のようにはばたく

2010-02-15 08:09:07 | 映画

               (ロックと窓)

*わたしのアートセラピーセッションでは、「ウェットオンウェット」といって、ぬれた紙の上に水彩絵の具で絵を描いていくのですが、ある患者さんの絵は筆の動かし方、強さなどが独特で迫力があり、面白い色が現れ、重なり、輝き、いつもわたしは「マークロスコー!」とうっとりしています。アートセラピストはまったくありがたい職業です。

第五十九話 イマジネーションは蝶のようにはばたく


あるときドキュメンタリー映画の構想で、こんなアイデアを考えていました。自分の頭にカメラをつけて一週間を過ごしてみるというのはどうかなと。私の目で見る世界は果たして美しいでしょうか。私の出会い、言葉を交わす人たちは美しいでしょうか。

ジャンドミニクはファッション誌の編集長。子供三人、妻とは別れ恋人と暮らし、充実した日々を送っている40代の男性。ある日彼は新しいスポーツカーの中で、脳溢血で倒れ、Locked in Syndrome で全身まひとなってしまうのです。フランス映画「潜水服は蝶の夢を見る」はまさに、このジャンドミニクの目から見た外の世界を描いたカメラワークです。

ジャンドミニクの、ほかの人には聞こえないつぶやきが流れ、真面目すぎる美人のスピーチセラピストがアップで写り(うちの病院も美人のセラピストぞろいです)瞬きで文字盤を示していく過程、が少しユーモラスに描かれています。

やがてジャンドミニクは、自分のうちの二つのものが健全であることに気づき「自分を哀れむのをやめる」ことにします。それは、想像力と記憶でした。

彼の世界は美しいもので満たされていることが映し出されます。海風ではためく繊細なスカート。手遊び歌を歌う子供たち。老いた愛情深い父親。

全身まひでまるで古い分厚い潜水服を着ているかのような体から、蝶のように自由に飛び立つこころ。蝶である彼自身が、一字一字綴ったお話は、何気ない日常のひとこまが美しくかけがえの無いものであることを教えてくれます。

(間美栄子 2010年 2月15日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)


PS. 原作本「潜水服は蝶の夢を見る」も日本語訳ででています。


第五十八話 母子留学のススメ

2010-02-01 00:02:17 | 人生観

     (冬木の芽)


*久しぶりに庭に出てみると、なんとブルーベルの芽が顔を出しているではありませんか。5月の花なのに準備はもう始まっているということですね。
毎日、日がだんだん長くなっているのを感じます。寒くてもお日様の出ているときは冬木の芽を眺めに散歩に行ったりしているこのごろです。

第五十八話 母子留学のススメ

遠い昔、母の昔語りに、私の祖母の姉にあたる人が列車に飛び込み自殺をした、ということを聞いたことがありました。家に男の跡継ぎがなく、婿をもらわなくてはならないということでしたが、その人はその結婚がいやで自殺をしたのでした。「まごおやがいっつも、カワイソウナコトヲシタ、といってたっけ。」わたしは女の人が花を胸に抱えて線路脇に立つ姿が見えるような気がしました。

時代は過ぎ、現代ではもはや意のそぐわない結婚を強いられることはないでしょうが、それでもなお、女性が自分を生きるのは簡単ではないようです。

12年前になずなを連れて日本を発つとき、ある人が、「母子留学がんばれ」と励ましの手紙をくれました。それまで自分がやろうとしていることをうまく表現できなかったのが、ようやく言葉を見つけて、そうか、と思ったものです。

さて、そうしてイギリスにきてみると「母子留学」をしているのは私たち親子だけではなく、何組もの日本人母子に出会いました。いろいろなことを自分だけで判断し、決定していくだけの強さ。経済力。自己実現したいという意志力。人に頼らないで生きるとこのように強い女性になっていけるのだなあ、と目を見張ったものです。

人にどうして日本を出たのか聞かれるたびに、「イギリスではFREE だから」と答えてきましたが、子供の成長にひとりで責任を持ち、自分も学び続けるという状況設定が自由への道のりにちょうどよかったなと思うのです。自分の不幸せを誰かほかの人のせいにしないということが、自由への基礎であるようです。

蛇足ですが、経済のことをいうと、なずなの学資保険を自分の大学院の学費に使ってしまったわけですが、なずなはもうすぐ、ほかの若い人たち同様、イギリス政府が貸してくれるスチューデントローンで自力で大学に行くので、私は何もしなくてもよく、「お金はあるときに、ほんとにしたいことに使え」というのはまったくそのとおり!

ということで、今回は、母子留学のススメでした。

(間美栄子 2010年 2月1日   http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)

(PS. ちなみに、子供が12歳までは、子供をシュタイナースクールなどの私立の学校に送るための滞在は Parent Visa でもいけます。)