◆前回のあらすじ
1978年、sigma社は、自社ロケ用に開発したビデオポーカー機「TV・POKER」をリリースした。当時のビデオゲームのグラフィックは白黒が当たり前で、絵の解像度も低かったが、1979年にはビデオゲームにもカラーが普及し、sigmaも1980年にはカラーモニターに対応した新しいTV-POKERを発売した。
さて、前回の話から少し時代が遡りますが、実を言うと、sigmaのTV・POKERの登場よりも先に、「リアプロジェクター」という表示装置を使用したビデオポーカーというものが存在していました。
リアプロジェクターによるビデオポーカー(左)とブラックジャック(右)。ブラックジャックの方は、ワタシは1978年頃にsigmaのゲームセンター「ビンゴイン」で遊んだ覚えがある。
リアプロジェクターによるビデオポーカーのフロント部分。5枚のカードの絵のそれぞれに、縦に二つの小さな丸い窓があり、上の窓にカードのランク、下の窓にスーツが、リアプロジェクターで表示される。
この写真は、かつてネバダ州バージニアシティにあった「ネバダ・ギャンブリング・ミュージアム」(関連記事:ネバダ・ギャンブリング・ミュージアム(ネバダ州バージニアシティ)の思い出)での展示です。掲示されていた説明文には、「このポーカー機は1970年代の半ばのもので、Raven Electronics社製。半導体を商用に実用化して多くのカジノに導入された初のゲーミングマシンとなったが、ビデオマシンの普及により急速に衰退した。バージニアシティでは1986年終わり頃までのおよそ10年間、稼働し楽しまれていた」とありました。
ただ、現代スロットマシンの父、チャールズ・フェイの孫であるマーシャル・フェイ氏の著書「Slot Machine」第6版の218ページには、Ravenのマシンとよく似たビデオポーカー機の写真が掲載されており、それはDale Electronics社が1970年に発表した「Pokermatic」と言う機械であるとした上で、「最初のポピュラーな自動支払い機能付きポーカー機となった」と書かれています。
どちらの記述が正しいのかはわかりません。文章の解釈次第ではどちらも正しいということもあり得ますが、とりあえずは、フェイ氏の本は長年にわたって版を重ね、現在も販売され続けているので、こちらの方がスタンダードな理解となって行く(既になっている?)のだろうと思います。
ここで一旦情報を整理しておきたいと思います。今、ワタシの目の前には、Dale、Raven、sigma(白黒の方)の三種類の初期のビデオポーカーがあります。
*:Raven社は、1960年代には既にリアプロジェクターを使用したビデオスロットを作っていたので、Dale社製品と近い時期に製造していてもおかしくはなく、「Mid 70's」はバージニアシティに導入された年だと解釈することも可能だと思う。
次に、これら3機種のペイアウトスケジュールを見てみます。
*1:sigmaのMAX. PayはRavenと同じだが、MAX. BetはDale、Raven両社の倍の8ベットなので、倍率としてはDale社と同じである。
*2:DaleとRavenのマシンは、MAX. Bet時のロイヤルフラッシュの倍率にプレミアムが付いているため、MAX. Bet時の倍率は、Dale社は500倍、Raven社は1000倍となる。つまりこの3機種ではRaven社製のマシンが最もペイアウト率が高いと言える。
こうして見ると、リアプロジェクターによるビデオポーカーと、それから8年ほど後に作られたsigmaのビデオポーカーのゲーム内容は、最大賭け金とロイヤルフラッシュに対するプレミアム配当を除き、全く一緒です。この当時、ペイアウト率の計算をどのように行っていたのかはわかりませんが、sigmaのマシンは、既に稼働状況が実証されているDaleやRavenのマシンの仕様をほぼそのままコピーしてきたということなのかもしれません。
(つづく)
1978年、sigma社は、自社ロケ用に開発したビデオポーカー機「TV・POKER」をリリースした。当時のビデオゲームのグラフィックは白黒が当たり前で、絵の解像度も低かったが、1979年にはビデオゲームにもカラーが普及し、sigmaも1980年にはカラーモニターに対応した新しいTV-POKERを発売した。
さて、前回の話から少し時代が遡りますが、実を言うと、sigmaのTV・POKERの登場よりも先に、「リアプロジェクター」という表示装置を使用したビデオポーカーというものが存在していました。
リアプロジェクターによるビデオポーカー(左)とブラックジャック(右)。ブラックジャックの方は、ワタシは1978年頃にsigmaのゲームセンター「ビンゴイン」で遊んだ覚えがある。
リアプロジェクターによるビデオポーカーのフロント部分。5枚のカードの絵のそれぞれに、縦に二つの小さな丸い窓があり、上の窓にカードのランク、下の窓にスーツが、リアプロジェクターで表示される。
この写真は、かつてネバダ州バージニアシティにあった「ネバダ・ギャンブリング・ミュージアム」(関連記事:ネバダ・ギャンブリング・ミュージアム(ネバダ州バージニアシティ)の思い出)での展示です。掲示されていた説明文には、「このポーカー機は1970年代の半ばのもので、Raven Electronics社製。半導体を商用に実用化して多くのカジノに導入された初のゲーミングマシンとなったが、ビデオマシンの普及により急速に衰退した。バージニアシティでは1986年終わり頃までのおよそ10年間、稼働し楽しまれていた」とありました。
ただ、現代スロットマシンの父、チャールズ・フェイの孫であるマーシャル・フェイ氏の著書「Slot Machine」第6版の218ページには、Ravenのマシンとよく似たビデオポーカー機の写真が掲載されており、それはDale Electronics社が1970年に発表した「Pokermatic」と言う機械であるとした上で、「最初のポピュラーな自動支払い機能付きポーカー機となった」と書かれています。
どちらの記述が正しいのかはわかりません。文章の解釈次第ではどちらも正しいということもあり得ますが、とりあえずは、フェイ氏の本は長年にわたって版を重ね、現在も販売され続けているので、こちらの方がスタンダードな理解となって行く(既になっている?)のだろうと思います。
ここで一旦情報を整理しておきたいと思います。今、ワタシの目の前には、Dale、Raven、sigma(白黒の方)の三種類の初期のビデオポーカーがあります。
*:Raven社は、1960年代には既にリアプロジェクターを使用したビデオスロットを作っていたので、Dale社製品と近い時期に製造していてもおかしくはなく、「Mid 70's」はバージニアシティに導入された年だと解釈することも可能だと思う。
次に、これら3機種のペイアウトスケジュールを見てみます。
*1:sigmaのMAX. PayはRavenと同じだが、MAX. BetはDale、Raven両社の倍の8ベットなので、倍率としてはDale社と同じである。
*2:DaleとRavenのマシンは、MAX. Bet時のロイヤルフラッシュの倍率にプレミアムが付いているため、MAX. Bet時の倍率は、Dale社は500倍、Raven社は1000倍となる。つまりこの3機種ではRaven社製のマシンが最もペイアウト率が高いと言える。
こうして見ると、リアプロジェクターによるビデオポーカーと、それから8年ほど後に作られたsigmaのビデオポーカーのゲーム内容は、最大賭け金とロイヤルフラッシュに対するプレミアム配当を除き、全く一緒です。この当時、ペイアウト率の計算をどのように行っていたのかはわかりませんが、sigmaのマシンは、既に稼働状況が実証されているDaleやRavenのマシンの仕様をほぼそのままコピーしてきたということなのかもしれません。
(つづく)
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