議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

問責決議案とは

2015-09-20 | 国会ルール
参議院においては、内閣総理大臣問責決議案が提出されることがあります。

今回の安保法案をめぐる与野党攻防においても、内閣総理大臣問責決議案が、参議院に提出されました。

衆議院の内閣不信任決議案と何が異なるのか、というと、問責決議案が可決された場合でも法的拘束力を伴わないことです。

内閣不信任決議案が可決されたときは、日本国憲法第69条が規定するとおり、10日以内の衆議院解散か、内閣総辞職をしなければなりません。

問責決議案も、「政府に対しその政治責任を問う」ことを内容としますが、結局、法的な意味を有せず、政治的意味しか有しないのですが、事実上の影響力は大きいといえます。

内閣総理大臣問責決議案は、平成20年6月11日、ねじれ国会の下、福田内閣総理大臣に対し、初めて可決されました。

なお、その翌日、衆議院で福田内閣総理大臣の内閣信任決議案が可決されています。内閣信任決議案の可決事例は、3例しかありませんので、そのうちの1例です。

内閣総理大臣に対する問責決議案の可決事例は、平成21年7月14日 麻生内閣総理大臣、平成24年8月29日 野田内閣総理大臣、平成25年6月26日 安倍内閣総理大臣に対し、それぞれ可決しています。

すべてねじれ国会の下での可決です。

衆議院の内閣不信任決議案は、内閣そのものに対して出されますが、参議院の問責決議案は、内閣総理大臣であったり、閣僚であったり、個人に対して提出されます。

よって、今回の安保法案をめぐる最終攻防で参議院に出された問責決議案は、内閣総理大臣、防衛大臣、特別委員長の3人に対するものでした。

なお、ほかに参議院議長と参議院議院運営委員長に対する不信任決議案と解任決議案が提出されましたが、ねじれ国会ではありませんので、これらの決議案はすべて否決されました。

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