◆8月22日(日曜)
我が家のシロナタマメのモヤシは水を何回か交換しています。繭のように白くきれいにふやけて浮かんでいます。
今日は、実家に行って、シロナタマメの若いサヤ(10センチ~15センチ)を熱湯で塩ゆでにして食べました。
さすがに露地栽培のシロナタマメはたくましく元気に育っています。
この時季は30センチ前後のサヤがあちこちにぶら下がっています。
若いサヤはもう少なく、わずかに白い花が咲いたりしている若いサヤを蝶やバッタを脅かさないように採りました。
ちょうど母がお赤飯をふかし終わった残りのお湯があったので、塩を加えて若いサヤを4~5分ゆでました。
意外と早くゆで上がります。
輪切りに細かくきざんで、味噌につけて食べました。
食感はゆでたブロッコリーの茎に似ています。
味は、ちょっと独特の風味がありますが、案外おいしくいただけました。
薬くさい感じとも、えぐみとも食べる人によって感想は様々ですが、マメの緑のサヤの味は悪くありません。
父とサヤごと食べてみましたが、思ったより食べやすいという感想は共通してました。
切り口は、福神漬けの切り口と同じ形です。ひし形をしてます。中に小さく白く見えるのはマメです。
花びらはもうわずかしか残っていません。
酢の物にするほどないので、ほろりと落ちたばかりの白い花びらを拾い上げて食べてみました。
しっかりした歯ごたえがあります。
若い花びらが気のせいかきな粉みたいな乾いたマメの味がしました。
くせがなく、ツマになると思います。酢の物にすれば、きっとおいしいでしょう。
家に持ち帰り、マヨネーズでナタマメの塩ゆでと赤飯を食べました。
シロナタマメの塩ゆでサヤはマヨネーズにも合います。
今晩は、残りを炒め物にして食べてみようと思います。
我が家のシロナタマメのモヤシは水を何回か交換しています。繭のように白くきれいにふやけて浮かんでいます。
今日は、実家に行って、シロナタマメの若いサヤ(10センチ~15センチ)を熱湯で塩ゆでにして食べました。
さすがに露地栽培のシロナタマメはたくましく元気に育っています。
この時季は30センチ前後のサヤがあちこちにぶら下がっています。
若いサヤはもう少なく、わずかに白い花が咲いたりしている若いサヤを蝶やバッタを脅かさないように採りました。
ちょうど母がお赤飯をふかし終わった残りのお湯があったので、塩を加えて若いサヤを4~5分ゆでました。
意外と早くゆで上がります。
輪切りに細かくきざんで、味噌につけて食べました。
食感はゆでたブロッコリーの茎に似ています。
味は、ちょっと独特の風味がありますが、案外おいしくいただけました。
薬くさい感じとも、えぐみとも食べる人によって感想は様々ですが、マメの緑のサヤの味は悪くありません。
父とサヤごと食べてみましたが、思ったより食べやすいという感想は共通してました。
切り口は、福神漬けの切り口と同じ形です。ひし形をしてます。中に小さく白く見えるのはマメです。
花びらはもうわずかしか残っていません。
酢の物にするほどないので、ほろりと落ちたばかりの白い花びらを拾い上げて食べてみました。
しっかりした歯ごたえがあります。
若い花びらが気のせいかきな粉みたいな乾いたマメの味がしました。
くせがなく、ツマになると思います。酢の物にすれば、きっとおいしいでしょう。
家に持ち帰り、マヨネーズでナタマメの塩ゆでと赤飯を食べました。
シロナタマメの塩ゆでサヤはマヨネーズにも合います。
今晩は、残りを炒め物にして食べてみようと思います。
【ナタマメの毒性と調理加工(8月22日草稿2訂版)】
(01) 入門者がナタマメを栽培し、サヤや豆を収穫して調理する際の注意です。
(02) 先ず、栽培しているナタマメがどの種類かを知りましょう。
(03) 豆が真っ白だったか?赤っぽかったか?手に入れたときの状態を思い出しましょう。
(04) 真っ白な豆は、白ナタマメかタチナタマメでしょう。
(05) 赤っぽい豆は、(赤)ナタマメでしょう。
赤ナタマメをナタマメといい、白ナタマメと区別することもあります。
(06) 赤っぽいナタマメは、弱い毒性があるといわれています。赤い花が咲きます。
(07) 白い豆でも、真っ白な花でなく、淡い紫色の花が咲くとタチナタマメであるかも知れません。
(08) 白ナタマメは毒性がないが、タチナタマメは毒性が強いといわれています。
(09) タチナタマメは栽培量が少なく、歯磨きや試薬などの加工原料に使われることが多いようです。
(10) 豆の入手経路も知っておくとよいでしょう。
(11) 乾物屋さんなどで食用として売られているナタマメを自家用栽培した場合は、食用が期待できます。
(12) 種苗店や栽培(農)家などから手に入れた場合は、食用が可能な種類か確認できたらしましょう。
(13) 次にナタマメ一般(タチナタマメを除く)の料理方法を述べます。
(14) ナタマメの調理方法は大きく2つあります。サヤを食べる方法と豆を食べる方法です。
(15) 若いサヤを調理するのが第1の方法で、福神漬けや味噌漬けが有名です。
(16) 秋に収穫した完熟種子(豆)を調理するのが第2の方法で、白餡やナタマメ茶が有名です。
(17)【サヤの調理①】奈良県農業情報・相談センターのホームページによると(以下同じ)、若いサヤは長さ10センチ前後でもぎ取り、加熱して食べるならば問題はないようです。
(18)【サヤの調理②】マメ類に含まれるレクチンの毒性は加熱で不活性化し、通常の量の食用は問題ないらしい。
(19)【サヤの調理③】若いサヤを生のままか、塩を加えた熱湯で茹でた後、みそ漬けやかす漬けにして食べます。
(20)【サヤの調理④】福神漬けも同様で、斜めに輪切りにし、ダイコン、ニンジン、キュウリ、レンコン、コンブなどと、醤油、砂糖、塩で作った漬け汁で漬けます。
(21)【サヤの調理⑤】おもいっきりテレビのホームページによると(以下同じ)、ナタマメの味噌漬けで有名なのが、熊本県あさぎり町の『たちわけ』です。
(22)【サヤの調理⑥】若いサヤを短くて3ヶ月、長い場合だと1年以上も味噌に漬け込むそうです。
(23)【サヤの調理⑦】サヤには血管を丈夫にし、肌を整えるリジンのほか、βカロテンや食物繊維が豊富です。
(24)【サヤの調理⑧】味噌漬けにすることで、味噌のビタミンEが浸透し、美肌効果や老化予防が期待できるそうです。
(25)【サヤの調理⑨】味噌の原料大豆にも骨を強くし、疲労回復に役立つといわれるイソフラボンが含まれています。
(26)【豆の調理①】農林水産省「消費者の部屋」のホームページによると(以下同じ)、ナタマメの完熟種子はサポニン、青酸配糖体、有毒性アミノ酸(カナバリン、コンカナバリンA)などに由来する有毒成分を含みます。
(27)【豆の調理②】豆の調理方法としては、2日ほど水にさらしたり、煮た後2~3回水にさらしたり、炒ったり、発酵させたりします。毒性分の量により、消失の度合いが違うので注意が必要です。
(28)【豆の調理③】『マメなマメの話』(吉田よし子著、以下同じ)によれば、成熟した豆は数種類の有害物質を含むため、ただ煮ただけでは食べられない。
(29)【豆の調理④】毒性の中で一番怖いのが、消化管内で栄養吸収を妨げたりするコンカナバリンAだそうです。
(30)【豆の調理⑤】ナタマメは繰り返しゆでこぼせば食べられるようになるそうです。
(31)【豆の調理⑥】日本産のナタマメは白餡用なので、何回もゆでこぼしてからすりつぶし、水でさらすので問題ないとのこと。
(32)【豆の調理⑦】インドでは、ナタマメを発酵させ、テンペにして無毒化しているそうです。
(33)【豆の調理⑧】スパスパ人間学のホームページによると(以下同じ)、ナタマメのコンカナバリンAは腎機能を向上させるとのこと。
(34)【豆の調理⑨】ナタマメは強い成分を含み、何度もアク抜きしないと食べられないので、お茶にするのがベスト。コンカナバリンAは熱に強いので大丈夫(!?)とのこと。
《私見》加熱処理して毒性を減らす対象は、いったい何なんでしょうねえ?サポニン?青酸配糖体?コンカナバリンA?ちょっと諸説に矛盾を感じないでもない。。。
(35)【ナタマメ茶の作り方①】ナタマメをフライパンで強火にして炒める。
(36)【ナタマメ茶の作り方②】十分に火が通ったナタマメを、ミキサーで細かく砕く。
《私見》砕いてから炒める方法もあります。ポイントは豆にしっかり火を通すことだと思います。
(37)【ナタマメ茶の作り方③】細かくなったナタマメを煮出してお茶にする。お茶というよりコーヒーに近い飲み方とか。
《私見》漢方では、煎じて飲む方法です。お茶風ならお茶パックに入れて飲みます。急須に入れて飲めば日本茶的、ティーバッグ風にカップに入れて飲めば紅茶式ですね。紙のフィルターでコーヒーのようにドリップすればコーヒー式ということでしょうか。
(38)【補足情報①】『野菜園芸大百科』8巻(農文協編)によると(以下同じ)、若サヤの福神漬け、味噌漬け、粕漬けのほか、近年は開花直前の新鮮な花を酢漬けにし、赤や緑に染色したものが、つまものとして利用されているそうです。
(39)【補足情報②】完熟種子はサポニンを含み有毒だが、塩水や水を何回もとりかえて煮れば安全であると記されています。
(40)【補足情報③】煮豆やきんとんとしても、また肉と煮ても美味であると紹介されています。
《私見》この記述は普通の豆の調理とかわりませんよね。十分に煮て、何度も水を取替え、アク抜きをするという点を除いては。若サヤの主成分はササゲ、インゲンマメと大差ないそうです。有毒物質を除けば、普通のマメということですね。当たり前のお話ですが、調理法も押して知るべしです。普通のマメとの違いでなく共通性に着目すれば。ただし、大きくなれば話は別で、硬くて煮ても焼いても食べられそうもないサヤと有害物質を含むマメ。ここが、普及しずらい原因のひとつなのでしょう。
(41)【補足情報④】『食材図典』<生鮮食材篇>(小学館)によれば、ナタマメには赤花、白花の2系統がある。同属のタチナタマメはサヤが小形でナタマメと同様に用いるが、種子にはアミノ酸のカナバリンを含み、中毒のおそれがあるので水煮してから、2~3回水洗いして利用するとあります。
(42)【補足情報⑤】『食品加工総覧』(農文協編、以下同じ)によると、タチナタマメの完熟種子は毒性があるが、若サヤには毒性はない。白ナタマメはサヤにも種子にも毒性がない。若サヤは熱湯をくぐらせ、うすく切り、サラダの材料にしたりできる。
(43)【補足情報⑥】福神漬けはシロナタマメの若サヤを小口切りにしたものだそうです。
(44)【補足情報⑦】シロナタマメの成熟種子はサヤのまま塩水で十分に煮沸して、ソラマメの代わりに食べることができるそうです。
(45)【補足情報⑧】完熟種子(特に褐色の種子)は、青酸配糖体や有毒性アミノ酸を含み有毒であり下痢をすることがあるそうです。
《私見》有毒性アミノ酸にコンカナバリンAも含まれるとすれば、スパスパ人間学の記述は誤解を生みかねないですね。先ず、無害なシロナタマメを食用として推奨すべきで、(赤)ナタマメやタチナタマメの食用には注意を促すべきです。広い意味でのナタマメ一般と、シロナタマメやタチナタマメと区別した(赤)ナタマメという狭い意味を区別してほしい。次に、コンカナバリンAが加熱にも耐えて温存され、健康増進に役立つような印象を与える表現にも配慮が必要でしょう。もともとコンカナバリンAが無害で有益な成分なのか?有害だが有益でもある(毒にも薬にもなる)成分なのか?はっきりしません。効用が強調されすぎて正確な認識が得られぬまま加熱してもコンカナバリンAが温存され、若ボケ防止などの健康増進に役立つかのごとき印象を与える可能性があります。加熱すると無害になるのか?無害になるということは効用が失われるということなのか?毒性のみ消失して効用は温存されるのか?不明確です。私も腎臓機能改善による尿素減少効果(ボケ防止)を期待してナタマメ栽培を始めた一人なのですが、まじめに栽培して試食試飲する段階になると、もう少し説明がほしいところです。
(46)【補足情報⑨】完熟種子は、水を何回も換えて十分に煮たあと数時間水にさらせば毒は除くことができ、食用として利用できるそうです。砂糖煮、いり豆、煮豆やきんとんの材料としたり、カレーに入れたり、肉などと共に煮て食べられるそうです。ただ、(特に商品化など)できるだけシロナタマメなどを利用することが好ましいといった説明になっています。ナタマメ一般には種類により毒性に強弱があるが、調理する前に2日ほど水に浸したり、煮た後2~3回水にさらしたり、煮汁を捨てる操作を繰り返したり、炒ったり、発酵したりすれば毒性がなくなるので食用に利用されているそうです。
(47)【ナタマメの加工①】若いサヤはナタマメ類一般(ナタマメ、シロナタマメ、タチナタマメなど)のいずれも利用できる。
(48)【ナタマメの加工②】完熟種子の加工はシロナタマメを用いるようにし、範囲を広げても(赤)ナタマメまでとすべき。
(49)【ナタマメの加工③】完熟種子を用いる調理加工品としては、主にナタマメモヤシ、ナタマメ味噌、糸引き納豆、ナタマメコーヒーなどがあげられています。
(50)【ナタマメの加工④】シロナタマメ以外の他のナタマメでも前述の処理で毒性がなくなるので調理加工はできるが、毒性と同時に薬効や風味なども失われるため、煮豆や豆きんとんなどの増量剤にしか使用できず、ナタマメを利用する価値も少なくなる。
《私見》この記述は毒にも薬にもならないただの豆にナタマメが変貌してしまうかも?という気になる記述ですね。
(51)【ナタマメの加工⑤】ナタマメの花は酢漬けとして保存し、染色して料理のつまとする。
(52)【ナタマメの加工⑥】ナタマメのやや若いサヤ(15センチ~20センチ)は塩漬けできる。十分の一の量の塩と五分の一の量の水を加え、2週間程度重石をして漬物とし、取り出してさらに十分の一の塩で漬けかえる。塩漬けを原料とし加工食品を作れる。
(53)【ナタマメの加工⑦】ナタマメのモヤシは、容器の中にスノコを置き、豆が底に付かないようにし、水洗いした豆を一昼夜水に漬ける。水は3~5時間おきに換える。容器に豆を入れ、30℃くらいの温水を入れ、しばらく暖めてから水を捨てる。容器に覆いをして放置する。毎日2回くらい20℃の水をかけては水を捨てる操作を続けると2週間程度で豆モヤシができる。
《私見》私がビンの中に水を入れてナタマメを育てようとしたときには、水が少ないと乾いてしまいました。水が多すぎても何日かして腐りはしないか心配でした。数日経つと豆は土に移植して腐ったのと、文字通りモヤシっぽくか弱い芽が出たのがありました。モヤシも育て方があるんですね。
(54)【ナタマメの加工⑧】ナタマメ味噌は、豆をよく洗い一昼夜水に漬けます。途中2~3回水を換えながら豆を煮ます。親指と小指にはさんで豆がつぶれるくらいまで蒸し、皮をむく。別に若コウジに塩を加え、塩切りコウジを作る。水1.8リットルに95グラムの塩を入れた種水で種味噌を溶かし、汁状にする。これらを皮むき豆と混ぜ、容器につめこみ、表面をならして塩をふり、中蓋をして重石をする。夏を越す1年後にナタマメ味噌ができる。
(55)【ナタマメの加工⑨】ナタマメの糸引き納豆は、味噌と同じように煮るか蒸すかして、皮をむいて小割りにし、ワラつとにつめる。43度Cくらいの所に、5~8時間おくとできる。あるいは、納豆菌を溶かした水を皮むき豆に散布し、よく混ぜてタッパー容器につめ、40℃~50℃、湿度95%以上の室温に置く。12時間で熱が出るので、室温を下げ、過湿を防ぐ。25時間たったら少しずつ冷却し、1日涼しい所でアンモニア臭を除き、完成する。
(56)【ナタマメの加工⑩】ナタマメコーヒーは炒って粉にしてコーヒーの代用にする。
《私見》ナタマメ茶とナタマメコーヒーは炒って粉にする点では呼び名の違いともいえます。
(57)【ナタマメの加工⑪】粉末にして1日に4グラム~10グラム服用すれば、生薬として効果があるそうです。茎や葉などを煎じて入浴剤として利用することもできるそうです。
(58)【補足情報⑩ダイズの栄養阻害・有害物質】『大豆』(女子栄養大学出版部86p~,123p~)によれば、ダイズが含むサポニンやイソフラボノイドなどは、ヨード摂取を阻害する。
日本人は海草などヨード摂取が多いので、ダイズを食べて甲状腺異常を起こす心配はないという。ただし、ヨード摂取が少ない国などでは配慮が必要とされている。
ダイズにもトリプシンインヒビター、ヘマグルチニン、サポニンなどの有害物質が含まれている。
これらの3物質は、いずれも水溶性で水を加えれば溶ける。しかし、加熱には比較的強く、100度以下の加熱ではその作用は残る。
たとえば、豆腐製造工程では投入中に18~20パーセント、製品の豆腐にも11~12パーセントのトリプシンインヒビターが残っている。
(市販)豆乳は、130~140度の加熱を行うので、有害物質は完全に失活・除去されて、安全な飲料とすることができる。
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ナタマメ豆知識(4訂版)【大幅改定しました】
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(01) 入門者がナタマメを栽培し、サヤや豆を収穫して調理する際の注意です。
(02) 先ず、栽培しているナタマメがどの種類かを知りましょう。
(03) 豆が真っ白だったか?赤っぽかったか?手に入れたときの状態を思い出しましょう。
(04) 真っ白な豆は、白ナタマメかタチナタマメでしょう。
(05) 赤っぽい豆は、(赤)ナタマメでしょう。
赤ナタマメをナタマメといい、白ナタマメと区別することもあります。
(06) 赤っぽいナタマメは、弱い毒性があるといわれています。赤い花が咲きます。
(07) 白い豆でも、真っ白な花でなく、淡い紫色の花が咲くとタチナタマメであるかも知れません。
(08) 白ナタマメは毒性がないが、タチナタマメは毒性が強いといわれています。
(09) タチナタマメは栽培量が少なく、歯磨きや試薬などの加工原料に使われることが多いようです。
(10) 豆の入手経路も知っておくとよいでしょう。
(11) 乾物屋さんなどで食用として売られているナタマメを自家用栽培した場合は、食用が期待できます。
(12) 種苗店や栽培(農)家などから手に入れた場合は、食用が可能な種類か確認できたらしましょう。
(13) 次にナタマメ一般(タチナタマメを除く)の料理方法を述べます。
(14) ナタマメの調理方法は大きく2つあります。サヤを食べる方法と豆を食べる方法です。
(15) 若いサヤを調理するのが第1の方法で、福神漬けや味噌漬けが有名です。
(16) 秋に収穫した完熟種子(豆)を調理するのが第2の方法で、白餡やナタマメ茶が有名です。
(17)【サヤの調理①】奈良県農業情報・相談センターのホームページによると(以下同じ)、若いサヤは長さ10センチ前後でもぎ取り、加熱して食べるならば問題はないようです。
(18)【サヤの調理②】マメ類に含まれるレクチンの毒性は加熱で不活性化し、通常の量の食用は問題ないらしい。
(19)【サヤの調理③】若いサヤを生のままか、塩を加えた熱湯で茹でた後、みそ漬けやかす漬けにして食べます。
(20)【サヤの調理④】福神漬けも同様で、斜めに輪切りにし、ダイコン、ニンジン、キュウリ、レンコン、コンブなどと、醤油、砂糖、塩で作った漬け汁で漬けます。
(21)【サヤの調理⑤】おもいっきりテレビのホームページによると(以下同じ)、ナタマメの味噌漬けで有名なのが、熊本県あさぎり町の『たちわけ』です。
(22)【サヤの調理⑥】若いサヤを短くて3ヶ月、長い場合だと1年以上も味噌に漬け込むそうです。
(23)【サヤの調理⑦】サヤには血管を丈夫にし、肌を整えるリジンのほか、βカロテンや食物繊維が豊富です。
(24)【サヤの調理⑧】味噌漬けにすることで、味噌のビタミンEが浸透し、美肌効果や老化予防が期待できるそうです。
(25)【サヤの調理⑨】味噌の原料大豆にも骨を強くし、疲労回復に役立つといわれるイソフラボンが含まれています。
(26)【豆の調理①】農林水産省「消費者の部屋」のホームページによると(以下同じ)、ナタマメの完熟種子はサポニン、青酸配糖体、有毒性アミノ酸(カナバリン、コンカナバリンA)などに由来する有毒成分を含みます。
(27)【豆の調理②】豆の調理方法としては、2日ほど水にさらしたり、煮た後2~3回水にさらしたり、炒ったり、発酵させたりします。毒性分の量により、消失の度合いが違うので注意が必要です。
(28)【豆の調理③】『マメなマメの話』(吉田よし子著、以下同じ)によれば、成熟した豆は数種類の有害物質を含むため、ただ煮ただけでは食べられない。
(29)【豆の調理④】毒性の中で一番怖いのが、消化管内で栄養吸収を妨げたりするコンカナバリンAだそうです。
(30)【豆の調理⑤】ナタマメは繰り返しゆでこぼせば食べられるようになるそうです。
(31)【豆の調理⑥】日本産のナタマメは白餡用なので、何回もゆでこぼしてからすりつぶし、水でさらすので問題ないとのこと。
(32)【豆の調理⑦】インドでは、ナタマメを発酵させ、テンペにして無毒化しているそうです。
(33)【豆の調理⑧】スパスパ人間学のホームページによると(以下同じ)、ナタマメのコンカナバリンAは腎機能を向上させるとのこと。
(34)【豆の調理⑨】ナタマメは強い成分を含み、何度もアク抜きしないと食べられないので、お茶にするのがベスト。コンカナバリンAは熱に強いので大丈夫(!?)とのこと。
《私見》加熱処理して毒性を減らす対象は、いったい何なんでしょうねえ?サポニン?青酸配糖体?コンカナバリンA?ちょっと諸説に矛盾を感じないでもない。。。
(35)【ナタマメ茶の作り方①】ナタマメをフライパンで強火にして炒める。
(36)【ナタマメ茶の作り方②】十分に火が通ったナタマメを、ミキサーで細かく砕く。
《私見》砕いてから炒める方法もあります。ポイントは豆にしっかり火を通すことだと思います。
(37)【ナタマメ茶の作り方③】細かくなったナタマメを煮出してお茶にする。お茶というよりコーヒーに近い飲み方とか。
《私見》漢方では、煎じて飲む方法です。お茶風ならお茶パックに入れて飲みます。急須に入れて飲めば日本茶的、ティーバッグ風にカップに入れて飲めば紅茶式ですね。紙のフィルターでコーヒーのようにドリップすればコーヒー式ということでしょうか。
(38)【補足情報①】『野菜園芸大百科』8巻(農文協編)によると(以下同じ)、若サヤの福神漬け、味噌漬け、粕漬けのほか、近年は開花直前の新鮮な花を酢漬けにし、赤や緑に染色したものが、つまものとして利用されているそうです。
(39)【補足情報②】完熟種子はサポニンを含み有毒だが、塩水や水を何回もとりかえて煮れば安全であると記されています。
(40)【補足情報③】煮豆やきんとんとしても、また肉と煮ても美味であると紹介されています。
《私見》この記述は普通の豆の調理とかわりませんよね。十分に煮て、何度も水を取替え、アク抜きをするという点を除いては。若サヤの主成分はササゲ、インゲンマメと大差ないそうです。有毒物質を除けば、普通のマメということですね。当たり前のお話ですが、調理法も押して知るべしです。普通のマメとの違いでなく共通性に着目すれば。ただし、大きくなれば話は別で、硬くて煮ても焼いても食べられそうもないサヤと有害物質を含むマメ。ここが、普及しずらい原因のひとつなのでしょう。
(41)【補足情報④】『食材図典』<生鮮食材篇>(小学館)によれば、ナタマメには赤花、白花の2系統がある。同属のタチナタマメはサヤが小形でナタマメと同様に用いるが、種子にはアミノ酸のカナバリンを含み、中毒のおそれがあるので水煮してから、2~3回水洗いして利用するとあります。
(42)【補足情報⑤】『食品加工総覧』(農文協編、以下同じ)によると、タチナタマメの完熟種子は毒性があるが、若サヤには毒性はない。白ナタマメはサヤにも種子にも毒性がない。若サヤは熱湯をくぐらせ、うすく切り、サラダの材料にしたりできる。
(43)【補足情報⑥】福神漬けはシロナタマメの若サヤを小口切りにしたものだそうです。
(44)【補足情報⑦】シロナタマメの成熟種子はサヤのまま塩水で十分に煮沸して、ソラマメの代わりに食べることができるそうです。
(45)【補足情報⑧】完熟種子(特に褐色の種子)は、青酸配糖体や有毒性アミノ酸を含み有毒であり下痢をすることがあるそうです。
《私見》有毒性アミノ酸にコンカナバリンAも含まれるとすれば、スパスパ人間学の記述は誤解を生みかねないですね。先ず、無害なシロナタマメを食用として推奨すべきで、(赤)ナタマメやタチナタマメの食用には注意を促すべきです。広い意味でのナタマメ一般と、シロナタマメやタチナタマメと区別した(赤)ナタマメという狭い意味を区別してほしい。次に、コンカナバリンAが加熱にも耐えて温存され、健康増進に役立つような印象を与える表現にも配慮が必要でしょう。もともとコンカナバリンAが無害で有益な成分なのか?有害だが有益でもある(毒にも薬にもなる)成分なのか?はっきりしません。効用が強調されすぎて正確な認識が得られぬまま加熱してもコンカナバリンAが温存され、若ボケ防止などの健康増進に役立つかのごとき印象を与える可能性があります。加熱すると無害になるのか?無害になるということは効用が失われるということなのか?毒性のみ消失して効用は温存されるのか?不明確です。私も腎臓機能改善による尿素減少効果(ボケ防止)を期待してナタマメ栽培を始めた一人なのですが、まじめに栽培して試食試飲する段階になると、もう少し説明がほしいところです。
(46)【補足情報⑨】完熟種子は、水を何回も換えて十分に煮たあと数時間水にさらせば毒は除くことができ、食用として利用できるそうです。砂糖煮、いり豆、煮豆やきんとんの材料としたり、カレーに入れたり、肉などと共に煮て食べられるそうです。ただ、(特に商品化など)できるだけシロナタマメなどを利用することが好ましいといった説明になっています。ナタマメ一般には種類により毒性に強弱があるが、調理する前に2日ほど水に浸したり、煮た後2~3回水にさらしたり、煮汁を捨てる操作を繰り返したり、炒ったり、発酵したりすれば毒性がなくなるので食用に利用されているそうです。
(47)【ナタマメの加工①】若いサヤはナタマメ類一般(ナタマメ、シロナタマメ、タチナタマメなど)のいずれも利用できる。
(48)【ナタマメの加工②】完熟種子の加工はシロナタマメを用いるようにし、範囲を広げても(赤)ナタマメまでとすべき。
(49)【ナタマメの加工③】完熟種子を用いる調理加工品としては、主にナタマメモヤシ、ナタマメ味噌、糸引き納豆、ナタマメコーヒーなどがあげられています。
(50)【ナタマメの加工④】シロナタマメ以外の他のナタマメでも前述の処理で毒性がなくなるので調理加工はできるが、毒性と同時に薬効や風味なども失われるため、煮豆や豆きんとんなどの増量剤にしか使用できず、ナタマメを利用する価値も少なくなる。
《私見》この記述は毒にも薬にもならないただの豆にナタマメが変貌してしまうかも?という気になる記述ですね。
(51)【ナタマメの加工⑤】ナタマメの花は酢漬けとして保存し、染色して料理のつまとする。
(52)【ナタマメの加工⑥】ナタマメのやや若いサヤ(15センチ~20センチ)は塩漬けできる。十分の一の量の塩と五分の一の量の水を加え、2週間程度重石をして漬物とし、取り出してさらに十分の一の塩で漬けかえる。塩漬けを原料とし加工食品を作れる。
(53)【ナタマメの加工⑦】ナタマメのモヤシは、容器の中にスノコを置き、豆が底に付かないようにし、水洗いした豆を一昼夜水に漬ける。水は3~5時間おきに換える。容器に豆を入れ、30℃くらいの温水を入れ、しばらく暖めてから水を捨てる。容器に覆いをして放置する。毎日2回くらい20℃の水をかけては水を捨てる操作を続けると2週間程度で豆モヤシができる。
《私見》私がビンの中に水を入れてナタマメを育てようとしたときには、水が少ないと乾いてしまいました。水が多すぎても何日かして腐りはしないか心配でした。数日経つと豆は土に移植して腐ったのと、文字通りモヤシっぽくか弱い芽が出たのがありました。モヤシも育て方があるんですね。
(54)【ナタマメの加工⑧】ナタマメ味噌は、豆をよく洗い一昼夜水に漬けます。途中2~3回水を換えながら豆を煮ます。親指と小指にはさんで豆がつぶれるくらいまで蒸し、皮をむく。別に若コウジに塩を加え、塩切りコウジを作る。水1.8リットルに95グラムの塩を入れた種水で種味噌を溶かし、汁状にする。これらを皮むき豆と混ぜ、容器につめこみ、表面をならして塩をふり、中蓋をして重石をする。夏を越す1年後にナタマメ味噌ができる。
(55)【ナタマメの加工⑨】ナタマメの糸引き納豆は、味噌と同じように煮るか蒸すかして、皮をむいて小割りにし、ワラつとにつめる。43度Cくらいの所に、5~8時間おくとできる。あるいは、納豆菌を溶かした水を皮むき豆に散布し、よく混ぜてタッパー容器につめ、40℃~50℃、湿度95%以上の室温に置く。12時間で熱が出るので、室温を下げ、過湿を防ぐ。25時間たったら少しずつ冷却し、1日涼しい所でアンモニア臭を除き、完成する。
(56)【ナタマメの加工⑩】ナタマメコーヒーは炒って粉にしてコーヒーの代用にする。
《私見》ナタマメ茶とナタマメコーヒーは炒って粉にする点では呼び名の違いともいえます。
(57)【ナタマメの加工⑪】粉末にして1日に4グラム~10グラム服用すれば、生薬として効果があるそうです。茎や葉などを煎じて入浴剤として利用することもできるそうです。
(58)【補足情報⑩ダイズの栄養阻害・有害物質】『大豆』(女子栄養大学出版部86p~,123p~)によれば、ダイズが含むサポニンやイソフラボノイドなどは、ヨード摂取を阻害する。
日本人は海草などヨード摂取が多いので、ダイズを食べて甲状腺異常を起こす心配はないという。ただし、ヨード摂取が少ない国などでは配慮が必要とされている。
ダイズにもトリプシンインヒビター、ヘマグルチニン、サポニンなどの有害物質が含まれている。
これらの3物質は、いずれも水溶性で水を加えれば溶ける。しかし、加熱には比較的強く、100度以下の加熱ではその作用は残る。
たとえば、豆腐製造工程では投入中に18~20パーセント、製品の豆腐にも11~12パーセントのトリプシンインヒビターが残っている。
(市販)豆乳は、130~140度の加熱を行うので、有害物質は完全に失活・除去されて、安全な飲料とすることができる。
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ナタマメ豆知識(4訂版)【大幅改定しました】
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【ナタマメ豆知識】(なた豆予備知識)【8月22日3訂版】
《表記》ナタマメ、ナタ豆、なたまめ、なた豆、刀豆、鉈豆
《別名》刀豆(とうず)、トウズ、帯刀(タテハキ)、たちはき、タチハキ、剣の豆
《学名》Canavalia gladiata
《中国名》刀豆
《英語名》Sword Bean, Jack Bean(⇒《注意》参照)
《特徴》
熱帯原産の1年生豆科植物。春~初夏に蒔き、秋に収穫する。
たくましい成長力が特徴。2メートルから3メートルに蔓(つる)が伸び、30センチもの大きな鞘(さや)に親指の先くらいの豆ができる。
1年生として栽培されるものの、多年生的な栽培も可能といわれる。
寒さに弱いので露地栽培は1年生として扱われる。
中国福建省などの南方で多く栽培され、国内では九州や中国地方の一部など
栽培地域は限られている。園芸愛好家もときおり栽培しているが、初心者向けの一般的な栽培知識や食用知識はあまり普及していない。
若い鞘(さや)はきざんで福神漬けに入れられ、知らずに食べている植物でもある。
鹿児島県吉田町の「薩摩ナタマメ」、兵庫県春日町の「丹波のナタマメ」など伝統・商用栽培地がよく知られる。
種子の数は、10個から14個くらい。
豆は直接食用とせず、ミキサーで粉砕後フライパンで焙煎し、「なた豆茶」として飲用することが多い。
毒性処理後、白餡や素麺、歯磨きなどにも利用されるが、処理には経験知識を要する。
近年、含有物質に様々な医学的効用も指摘され、注目を浴びつつあるが、同じ豆科の植物である「大豆(ダイズ)」に比べ、まだ未知の部分が多い。
後述するように、ナタマメにも様々な種類があり、医学的効用も、どの種類の豆なのか、ある程度把握しておくのがよいと思われる。
入門者(初心者)は、毒性の問題に注意して栽培、試食試飲(お茶など)する必要がある。
《自生種》千葉県以南の暖地の海岸には、ハマナタマメ (Canavalia lineata)が自生し、蔓(つる)で砂浜に這い広がり、大きな群落を作る。種子の数は2個から5個くらい。
《海外呼称あれこれ》
・中国別名:
刀豆子(daodouzi)、大弋豆(dayidou)、大刀豆(dadaodou)、関刀豆(guandaodou)、馬刀豆(madaodou)、刀培豆(daopeidou)
・英語別名:
Sword Bean, Jack Bean, Japanese Jack Bean
《注意1》シロナタマメは毒性がなく、(赤)ナタマメは弱い毒性があり、タチナタマメは強い毒性がある。
ナタマメは総称として使われる場合と、毒性のないシロナタマメに対比して、ナタマメとタチナタマメと分類名称が使われる。
分類名称のナタマメは赤い花と種子(豆)を特徴とし、タチナタマメは種子(豆)が白くシロナタマメと区別しにくい。
タチナタマメの花は淡い紫色で、種子自体もシロナタマメより小さく、ヘソが短いなどの特徴を持つ。
入門者はシロナタマメとタチナタマメの区別をすることが特に食用や薬用を目的とする場合に重要である。
農林水産省「消費者の部屋」(平成15年10月回答)によると、完熟した種子によっては、
溶血作用のあるサポニンや青酸配糖体、有毒性アミノ酸のカナバリンやコンカナバリンAなどに由来する有毒な物質が含まれ、シロナタマメの種子には毒性はなく、ナタマメの赤い種子には毒性分が僅かに、褐色の種子には多く含まれ、特にタチナタマメの完熟種子には強い毒性があることから、注意が必要とされる。
「消費者の部屋」によると、一般家庭で「毒成分のある」「なた豆」を調理する場合は、2日ほど水にさらしたり、煮た後2~3回水にさらしたり、炒ったり、醗酵したりすれば毒性はなくなるが、含まれている毒成分の量によって消失の度合いが違うので、完熟種子を利用する際は、シロナタマメを用いるほうがよいと思われる。
ケンブリッジ大学出版の『穀類豆類』(Grain Legumes, 1990, Smartt,J.)によると、
ナタマメは、Canavalia属Canavalia亜属のマメで、Canavalia属は4亜属51種から構成される。
赤と白の区別を学問的に書くと、次のようになる。
ナタマメは2つの変種から構成されている。
Canavalia gladiata var. gladiata は、赤みがかった種子と花を持つ。
Canavalia gladiata var. alba は、白い種子と花を持つ。
中国福建省の健康医薬品メーカーのホームページ(http://www.fzrm.com/)を見ると、赤い(褐色の?)Jack Bean の写真が掲載され、学名は次のように表示されている。
Canavalia gladiata jacq. DC.
《注意2》別種の白い豆に毒性のあるタチナタマメ(Canavalia ensiformis)がある。
アメリカでは、Jack Beanというと、タチナタマメを指すことが多いようである。
タチナタマメの英語別名には、次のようなものもある。
One-eye Bean(西インド)、Feijao de Porco(ブラジル)、Horse Gram、Chickasaro Lima Bean、Overlockなど。
なぜ、タチナタマメの英語別名が多いかというと、アメリカ文化圏ではこちらが多く栽培されているからだと思われる。原産が南米との説もある。
《注意3》英語名Jack Beanには、俗称"ジャックと豆の木"(カスタノスペルマム)という豆科のナタマメとは異なる鑑賞用の木もある。
成長すると40メートルに達し、やはり大きな鞘に豆をつける。学名はCastanospermum australe Beany。
分類上はマメ科の1属1種の常緑高木とのこと。
別名、モートンベイチェスナッツ、ブラックビーン、グリーンボールなど。
《注意4》英語名のSword Beanは、中国名の英訳と思われ、あまり慣用されていない印象。
厳密には、英語俗称のJack Beanは、狭義のナタマメを指していないことになる?
試しにマイクロソフトの『エンカルタ』百科事典(http://encarta.msn.com/)で、"Jack Bean"を検索すると、タチナタマメ(Canavalia ensiformis)が表示された。
《補足知識》
ナタマメの含有成分の一つコンカナバリンAが、腎臓機能(フィルター再生機能)改善に効果があるとテレビ番組『スパスパ人間学』などで紹介され、(若)ボケ防止が期待されると一躍脚光を浴びたが、タチナタマメを中心に抽出検証されてきたコンカナバリンAのレクチンとしての効能については、補足説明が必要と思われる。
レクチンとは、免疫反応産物以外の、糖結合性のたんぱく質または糖たんぱく質で、細胞や複合糖質を凝集するもの。
コンカナバリンAはレクチンの一つで、1919年にJ.B.Sumner がタチナタマメから精製し、結晶化した。
これは、精製された最初の赤血球凝集素だという。
1969年には、L.Sachs, M.Inbar がコンカナバリンAも悪性化細胞を凝集することを発見した。
大豆(ダイズ)や小麦胚芽とともに、タチナタマメのレクチンは、ガン細胞に対して強い凝集活性を持ち、ウイルス感染細胞などへの応用が期待される。
リンパ球分裂促進活性も持ち、免疫生化学への応用も期待される。
大豆(ダイズ)や小麦胚芽が世の中の注目を集めてきた一方、タチナタマメは加熱処理などの経験的専門的な知識がないと食用が難しい(人体に有害な物質を含む)ことから、これまでは、一般の関心を呼びにくかったものと思われる。
また、1998年にイギリスのロウェット研究所から発表された報告で、遺伝子組み換えジャガイモを食べたラットの免疫力が低下したという実験に組み込んだレクチン合成遺伝子がタチナタマメなどのものだったことから(報告の信憑性が疑問視される反面)、タチナタマメが恐ろしいものという誤解も一部に招いた可能性がある。
《表記》ナタマメ、ナタ豆、なたまめ、なた豆、刀豆、鉈豆
《別名》刀豆(とうず)、トウズ、帯刀(タテハキ)、たちはき、タチハキ、剣の豆
《学名》Canavalia gladiata
《中国名》刀豆
《英語名》Sword Bean, Jack Bean(⇒《注意》参照)
《特徴》
熱帯原産の1年生豆科植物。春~初夏に蒔き、秋に収穫する。
たくましい成長力が特徴。2メートルから3メートルに蔓(つる)が伸び、30センチもの大きな鞘(さや)に親指の先くらいの豆ができる。
1年生として栽培されるものの、多年生的な栽培も可能といわれる。
寒さに弱いので露地栽培は1年生として扱われる。
中国福建省などの南方で多く栽培され、国内では九州や中国地方の一部など
栽培地域は限られている。園芸愛好家もときおり栽培しているが、初心者向けの一般的な栽培知識や食用知識はあまり普及していない。
若い鞘(さや)はきざんで福神漬けに入れられ、知らずに食べている植物でもある。
鹿児島県吉田町の「薩摩ナタマメ」、兵庫県春日町の「丹波のナタマメ」など伝統・商用栽培地がよく知られる。
種子の数は、10個から14個くらい。
豆は直接食用とせず、ミキサーで粉砕後フライパンで焙煎し、「なた豆茶」として飲用することが多い。
毒性処理後、白餡や素麺、歯磨きなどにも利用されるが、処理には経験知識を要する。
近年、含有物質に様々な医学的効用も指摘され、注目を浴びつつあるが、同じ豆科の植物である「大豆(ダイズ)」に比べ、まだ未知の部分が多い。
後述するように、ナタマメにも様々な種類があり、医学的効用も、どの種類の豆なのか、ある程度把握しておくのがよいと思われる。
入門者(初心者)は、毒性の問題に注意して栽培、試食試飲(お茶など)する必要がある。
《自生種》千葉県以南の暖地の海岸には、ハマナタマメ (Canavalia lineata)が自生し、蔓(つる)で砂浜に這い広がり、大きな群落を作る。種子の数は2個から5個くらい。
《海外呼称あれこれ》
・中国別名:
刀豆子(daodouzi)、大弋豆(dayidou)、大刀豆(dadaodou)、関刀豆(guandaodou)、馬刀豆(madaodou)、刀培豆(daopeidou)
・英語別名:
Sword Bean, Jack Bean, Japanese Jack Bean
《注意1》シロナタマメは毒性がなく、(赤)ナタマメは弱い毒性があり、タチナタマメは強い毒性がある。
ナタマメは総称として使われる場合と、毒性のないシロナタマメに対比して、ナタマメとタチナタマメと分類名称が使われる。
分類名称のナタマメは赤い花と種子(豆)を特徴とし、タチナタマメは種子(豆)が白くシロナタマメと区別しにくい。
タチナタマメの花は淡い紫色で、種子自体もシロナタマメより小さく、ヘソが短いなどの特徴を持つ。
入門者はシロナタマメとタチナタマメの区別をすることが特に食用や薬用を目的とする場合に重要である。
農林水産省「消費者の部屋」(平成15年10月回答)によると、完熟した種子によっては、
溶血作用のあるサポニンや青酸配糖体、有毒性アミノ酸のカナバリンやコンカナバリンAなどに由来する有毒な物質が含まれ、シロナタマメの種子には毒性はなく、ナタマメの赤い種子には毒性分が僅かに、褐色の種子には多く含まれ、特にタチナタマメの完熟種子には強い毒性があることから、注意が必要とされる。
「消費者の部屋」によると、一般家庭で「毒成分のある」「なた豆」を調理する場合は、2日ほど水にさらしたり、煮た後2~3回水にさらしたり、炒ったり、醗酵したりすれば毒性はなくなるが、含まれている毒成分の量によって消失の度合いが違うので、完熟種子を利用する際は、シロナタマメを用いるほうがよいと思われる。
ケンブリッジ大学出版の『穀類豆類』(Grain Legumes, 1990, Smartt,J.)によると、
ナタマメは、Canavalia属Canavalia亜属のマメで、Canavalia属は4亜属51種から構成される。
赤と白の区別を学問的に書くと、次のようになる。
ナタマメは2つの変種から構成されている。
Canavalia gladiata var. gladiata は、赤みがかった種子と花を持つ。
Canavalia gladiata var. alba は、白い種子と花を持つ。
中国福建省の健康医薬品メーカーのホームページ(http://www.fzrm.com/)を見ると、赤い(褐色の?)Jack Bean の写真が掲載され、学名は次のように表示されている。
Canavalia gladiata jacq. DC.
《注意2》別種の白い豆に毒性のあるタチナタマメ(Canavalia ensiformis)がある。
アメリカでは、Jack Beanというと、タチナタマメを指すことが多いようである。
タチナタマメの英語別名には、次のようなものもある。
One-eye Bean(西インド)、Feijao de Porco(ブラジル)、Horse Gram、Chickasaro Lima Bean、Overlockなど。
なぜ、タチナタマメの英語別名が多いかというと、アメリカ文化圏ではこちらが多く栽培されているからだと思われる。原産が南米との説もある。
《注意3》英語名Jack Beanには、俗称"ジャックと豆の木"(カスタノスペルマム)という豆科のナタマメとは異なる鑑賞用の木もある。
成長すると40メートルに達し、やはり大きな鞘に豆をつける。学名はCastanospermum australe Beany。
分類上はマメ科の1属1種の常緑高木とのこと。
別名、モートンベイチェスナッツ、ブラックビーン、グリーンボールなど。
《注意4》英語名のSword Beanは、中国名の英訳と思われ、あまり慣用されていない印象。
厳密には、英語俗称のJack Beanは、狭義のナタマメを指していないことになる?
試しにマイクロソフトの『エンカルタ』百科事典(http://encarta.msn.com/)で、"Jack Bean"を検索すると、タチナタマメ(Canavalia ensiformis)が表示された。
《補足知識》
ナタマメの含有成分の一つコンカナバリンAが、腎臓機能(フィルター再生機能)改善に効果があるとテレビ番組『スパスパ人間学』などで紹介され、(若)ボケ防止が期待されると一躍脚光を浴びたが、タチナタマメを中心に抽出検証されてきたコンカナバリンAのレクチンとしての効能については、補足説明が必要と思われる。
レクチンとは、免疫反応産物以外の、糖結合性のたんぱく質または糖たんぱく質で、細胞や複合糖質を凝集するもの。
コンカナバリンAはレクチンの一つで、1919年にJ.B.Sumner がタチナタマメから精製し、結晶化した。
これは、精製された最初の赤血球凝集素だという。
1969年には、L.Sachs, M.Inbar がコンカナバリンAも悪性化細胞を凝集することを発見した。
大豆(ダイズ)や小麦胚芽とともに、タチナタマメのレクチンは、ガン細胞に対して強い凝集活性を持ち、ウイルス感染細胞などへの応用が期待される。
リンパ球分裂促進活性も持ち、免疫生化学への応用も期待される。
大豆(ダイズ)や小麦胚芽が世の中の注目を集めてきた一方、タチナタマメは加熱処理などの経験的専門的な知識がないと食用が難しい(人体に有害な物質を含む)ことから、これまでは、一般の関心を呼びにくかったものと思われる。
また、1998年にイギリスのロウェット研究所から発表された報告で、遺伝子組み換えジャガイモを食べたラットの免疫力が低下したという実験に組み込んだレクチン合成遺伝子がタチナタマメなどのものだったことから(報告の信憑性が疑問視される反面)、タチナタマメが恐ろしいものという誤解も一部に招いた可能性がある。